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ポール・オースター「オーギー・レンのクリスマス・ストーリー」

 クリスマスの人情ものが好きで機会があれば読み、良い物は蔵書にしてます。
 オー・ヘンリー、ディケンズ、カポーティ、村上春樹などなど。

 柴田元幸さん訳のこの作品を「MONKEY」で見つけたので、買ってみました。

 短編1作だけの本です。正方形でタダ・ジュン氏の個性的な版画が挿画になっており、クリスマスプレゼントにぴったりな作りになっています。

 ストーリーの前半はオースターの作品によくあるように、主人公はNY在住の小説家、その彼がオーギー・レンというタバコ店の販売員と知り合い、ひょんなことで彼からクリスマス・ストーリーを得るとい経緯が記されます。

 後半はオーギー・レンによるクリスマスのとある出来事の話になります。
 確かにクリスマスらしいハート・ウォーミングなモチーフですが、素直に心を温められるというわけにはいかない、ひねくれた筋が今風であり、オースター風でもあります。

 読後感は悪くなく、カラッとしていていい感じです。通の読書家へのクリスマス・プレゼントに良いかも。

 ところで、オースターには「ナショナル・ストーリー・プロジェクト」というアメリカの普通の人たちから送られた普通じゃない出来事の話を集めた本もあります(No.1〜3まで)。

 この中にもクリスマス・ストーリーらしい話もあります。でも、僕は3冊とも読んでるのに、どんな話があったか思い出せない。本を開いたら思い出すと思うけどな。

 本当はちょっと肌に合わないオースターだけど、また読んでみたい気もしています。

20231030



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