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日々の手入れ

スイトピーの花を摘んだ後、花の手入れをします。
綺麗なスイトピーを育てるためにとても大事な作業です。

マメ科の蔓は1ヶ月で約1メートル伸びるとされています。
あっという間に背丈も抜かされて、ぐんぐん伸びて、蔓(巻きひげ)やわき芽も絶えず増えていくので気温が高くなってくると手入れ作業に追われるそうです。
そして繊細なスイトピーは、茎が伸びていく段階で少しでも障害物に当たると真っ直ぐ伸びず曲がってしまいます。そのため一本一本丁寧に作業を進めないといけません。

いつの間にか大きくなってるわき芽。

スイトピーの畝は、ハウスによって異なりますが2種類あります。
ひとつは鋼線に誘引させるものと、ネットに誘引させるものです。マメ科の植物であるスイトピーはどんどん伸びていくと倒れてしまうので、蔓をネットなどに沿わせていく必要があります。この作業を誘引と言います。
鋼線側は洗濯ばさみに似ている器具(写真でちらっと見えていますが、洗濯ばさみの先端が丸くなった形)で支柱に蔓を固定し、ネット側は普段使われる洗濯ばさみを使用します。伸びてきた巻きひげとわき芽を摘み、スイトピーの蔓が伸びた分だけ洗濯ばさみの位置を上げていきます。
洗濯ばさみを止める位置もスイトピーの成長の妨げにならないように、節の成長の長さを考えながら止めていきます。ここで洗濯ばさみを止める位置が低すぎたり、高すぎたりすると蔓が曲がってしまうのでスイトピーの成長に負担のかからないような位置に止めます。曲がった花も個人的には可愛いけれど、商品として出荷するためには真っ直ぐな花を作らなければいけません。
巻きひげとわき芽の伸びが激しかったり量が多いと一畝(鋼線とネット両側)でわたしの場合は1時間半はかかります。(慣れていないこともあるけれど。作業が遅いこともある、けども、、)
一日手入れをした帰り道は頭の中が巻きひげとわき芽のことでいっぱいです。それぞれの形がふと目の前に浮かんできてしまうくらい。でもプチプチ取れていくのもまた面白い感触!

そしてもう一つ大切な、巻き下げという作業があります。

少し説明しましたが、マメ科のスイトピーはどんどん成長して伸びていきます。種を蒔いてシーズン終わりの片付けには抜いてしまうのですが、その頃にはスイトピーは全長3〜4メートルほどになっています。伸びたまま放っておくと倒れてしまうので、ある程度の高さまで伸びたら蔓を地面を這わせ、別の場所に固定し直します。うまく説明できるか分からないので図を、、

上側が伸びてきた蔓です。支柱近くと書いてしまいましたが正しくは支柱最上部あたりまで伸びてきた様子です。ここから下の図のように100〜120センチくらいまで下げます。
まず上の図、右端から何本分かの蔓を元の光線から外して(オレンジのマーカーで示してるところ)別の鋼線に一旦逃がしておきます。そして蔓が外された鋼線に、紫のマーカーで矢印をつけているように横から蔓を伸ばして洗濯ばさみで止めていきます。最初に逃した数本は鋼線の反対側、ネット側に止めていくことになります。ネット側も同様に蔓を地面に這わせて別の場所に止めていきます。これを繰り返していくので、鋼線とネットでぐるぐる蔓を回していきます。
蔓を別の鋼線に這わせる時大切なことは、なるべく蔓を真っ直ぐ立ち上げていくようにしないといけないことです。植物は自然のものなので変な曲がり方をしていたり、手入れの段階でねじれてしまっていたり、なかなか素直な蔓ばかりではありません。そこを出来るだけ、自然に蔓が立ち上がっているような状態にするため無理矢理でなく蔓をよく見て真っ直ぐ鋼線とネットに沿って立ち上げていきます。
巻き下げ作業は鋼線側とネット側を合わせて早い人でも4時間程作業に時間がかかるそうです。これでも作業が早く進むよう改善されているようですが、、
わたしは不器用で新しいことに慣れるまで時間がかかるタイプなので初めて作業を教わった時、一日で終わらないかもしれない、、と思いました。少しずつ、本当に少しずつ慣れてコツを掴めてなんとか作業が進められた気がします。
時間と手間のかかる手入れ作業は、どうすれば効率よくスピーディーに進められるか、生産者の方々は日々考えているようです。巻き下げも高さを変えていくので立ったりしゃがんだりの辛い体勢で行うことになります。
1本1本の花が農家さんの日々の努力で生産されていることを身をもって知ることが出来ました。

花摘み、巻きひげとわき芽の手入れ、巻き下げ、この3つの作業を教えていただきました。最初説明を聞いている時は分からなかったことも、全部の作業を経験することでひとつひとつが繋がっていることに改めて気づきました。
作業に慣れるまで大変でしたが、翌花摘みの朝に元気に咲いているスイトピーを見るとなんだかホッとします。丁寧な作業を心がけた分だけ綺麗な姿を見せてくれるスイトピー。この気持ちもきっと花農家さんの力のもとになっているんだろうなと感じました。

もうちょっと続きます〜〜

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