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30年ぶりに初心にかえって「書く」と向き合う

京都ライター塾第4期アドバンスコース受講レポート 
第1回:型を使って書く



 京都ライター塾との出会い

 2024年3月初旬。高3ひとり息子の進路が決まった。4月からは神戸市内にある夫の実家(築45年の空きマンション)で、彼は一人暮らしを始めることになる。
 息子は小学校に馴染まず、当時は友だちと遊ぶ機会も限られ、自宅で私と過ごす時間が多かった。そんな息子であったのに、大学生活は一人暮らしを希望し、その実現に向けて精進し、それを叶える日が来るとは! 彼の将来を憂えて、モヤモヤしていた、10年前の私に教えてあげたい姿だ。
 小学校では不登校気味だった息子に手を焼いたが、中高生時代の彼は友人たちに恵まれ、親が拍子抜けするほど、学校生活を楽しんでいた。
ところが息子の心配事が減るのと入れ替わるように、実母と義母に認知症が現れた。そのうえにまた、二人の母ともに癌が発覚し、医療関係機関との頻繁なやりとりが私の日常になった。その二人の母と、そして義父も看取った年月を経て、これから家を出ようとする息子を前に、ふと考える。

 目の前のことで精一杯だった私の日々は、ひとまず落ち着いたのでは

 しばらく家族のサポートを優先して、仕事は無理のない範囲でやってきた。しかし57歳になった現在、もっとキャリア形成につながる何かをしたい、今から私ができる仕事はあるのだろうか? 
 頭に浮かんだのは、「書くこと」。けれども、これは無理っぽい。キャリアというより、趣味でやることのような気がする。ライティングスキルや知名度が相当に高い人だけが、ライターを仕事にできるのだろうから。
 そんなふうに思いながらも、ライター仕事に関する情報が気になって、スマホ検索をして発見したのが、江角悠子さんの「京都ライター塾」。次の文面に、私はくぎ付けになった。
 
ライターとして活動するためには、文章力+α が必要だと分かったのです。

この「+α」とは

●仕事を取ってくるための企画力
●依頼された仕事を理解するコミュニケーション能力
●自分の仕事に値段をつける、お金の管理をする金銭感覚
●仕事を選ぶときの考え方
●スケジュール管理能力
●フリーでやっていくための在り方

 書くを仕事に! 京都ライター塾より

  「企画力」「金銭やスケジュールの管理能力」「仕事の選び方」「フリーの在り方」… 
 これは、第一線で活躍するライターさんが知識や経験、いわばその大切な知的財産を惜しみなく伝えてくださる講座である。私に余裕がなくて、ライター仕事のことを失念している間に、このようなありがたいものが存在していた! 驚きとともに、食い入るように読み進めると、さらに心を鷲掴みされるフレーズに出会う。

「書いて、しあわせになる」
 京都ライター塾は「ライターになること」が目的でも、ゴールでもありません。理想の暮らしを叶えて幸せになるために、ライターとして活動する。そのための「書くを仕事にする」方法を余すことなくお伝えします。

 書くを仕事に! 京都ライター塾より

  このオンライン講座、ぜひ、やってみたい! 次に開講される京都ライター塾には、申し込んでみよう!! その時を心待ちにしながら、江角さんのメールマガジンに登録した。

 受講を決意、そして開講当日まで

 息子の一人暮らし準備と複雑な進学手続きに追われ、さらに年度末業務のために出勤日も増えて、慌ただしくしていた3月下旬。
「京都ライター塾アドバンスコース」開講の案内メルマガが届いた。アドバンスコースは、ライター塾を卒業された方向けのもの。私には場違いだという認識だったが、ひとまず開講日をチェックしてみる。
 4月から9月の毎月、最終水曜日午前。なんと私の出勤確定日に、どれも重なっていない。これはご縁があるのかも? うわずった気持ちで、講座の内容を確認。しかし、というか、やはり、私はこの場にそぐわない。いきなりアドバンスコースを受講するのは、ハードルが高すぎる。
 私がライターらしき仕事をしていたのは、約30年前。ある非営利団体の広報部に所属して、社内報や情報紙の編集仕事の一環で、取材や記事を執筆をしていた。
 当時もライティングを専門的には学んではいなかった。ましてや現在の主流であるWEBライターの業務に至っては、その媒体への投稿方法すら、私はわかっていない。
 ただアドバンスコースには、身につけたいスキルも多く、とりわけ気になる内容もあった。

「エッセイの書き方」

 日記も書いていない私だが、実は書いてみたいテーマで、頭の中がいっぱいになっているから。
 「ホスピスでの母の看取り」「神経鋭敏な弟との距離感」「ぼっち状態だった息子に友だちが増えて、一人暮らしをするまでの過程」「私が対人援助職に向いていないと悟った理由」「哲学対話に参加したら、癖になるぐらい楽しめた」などなど。

 これらを綴って『note』にあげてみたいという、気持ちはある。興味を持ってくれる人がいるかどうかは、ともかくとして。
 まず私は、「京都ライター塾」で学んで、それからアドバンスコースも受講してみたい。
 「京都ライター塾」は、次いつ開講されるのだろう? その他にも気になることをまとめ、問い合わせフォームから、主催者の江角さんに質問を送信。
 すぐに詳細な返事があった。「京都ライター塾」は少なくとも年内の開講予定がないこと、しかしアドバンスコースの特典でお得に動画によって「京都ライター塾」の内容は得られること、また『自己分析ノート』も各自で手に入れられること。
 そして4月からのアドバンスコース受講へと私の決意が傾く、ひとことがあった。
 「(ライター塾を)来年まで待つのはもったいないような気がしていて」
 
 私の気がかかりの核心を突いている。
 今このタイミングで芽生えた、ライティングを磨きたい気持ちを蔑ろにすると、また「書くこと」から遠ざかってしまう予感。
 来年のことはわからないが、昨年の「京都ライター塾」開講日を確認すると、私の出勤確定日に重なっている日もある。ならば今回の講座スケジュールの日程が、私に都合よく並んでいるのは、縁があるということなのかな。                             
 考えあぐねた結果、受講を決意。アドバンスコースの内容に、どうにかついていけるよう「京都ライター塾」の動画視聴も申し込み、まとめて送信してもらうことにする。それらを開講日初日までに、チェックしようと考えた。     
 申し込み後に送られてきた動画は、想定以上に盛りだくさんの内容で構成されていた。短時間でまとめて学ぼうなんて、私には無理であったと思い知る。最初のうちは、メモをとりながら視聴していた。ところが中盤以降は、開講日直前に家事をこなしつつ、倍速で聞き流すという有様。いかにも準備不足としか言いようのない状態で、開講日初日を迎えることになった。
 これらの動画は計画的に、できるだけアドバンスコースの内容に合わせて、都度ごとに視聴して、じっくり学んでいきたい。

 

いざ受講! 印象に残った私の学びポイント

 江角さんはライターだけでなく、大学講師の仕事もされている。その実績も感じながら受けたオンライン講座だった。わかりやすい資料と聞き取りやすい声のトーンのおかげで、不安や緊張でいっぱいの私の頭にもなめらかに内容が入ってきたからだ。
 冒頭で、受講生を安心させてくれる声かけがあったのも、嬉しかった。「どんな自分も他人も否定しない」という、講座ルール。それを明言されたことで、ガチガチと固まっていた気持ちが、リラックスしていく。

  一回目の講座で印象に残った私の学びポイントと、それに伴う感想や気づき、さらに知りたくなったことなどを交えながら、つぶやきのように書き出してみる。

1 文章のゴールは『誰かの態度(思考)を変容させること』

 2 いい素材を集めるにはしっかり話を聞く
・インタビューでの取材相手の沈黙を恐れない。
沈黙を恐れて次々と質問を重ねると、相手の思考をさえぎってしまい、肝心な話を聞き逃すかもしれない。

・目の前の人との会話を楽しむことが肝心。

・相手の答えをさえぎらない。

~以下は私の感想とつぶやき~

取材時間が限られているのに、脱線話を楽しげに語る相手への対応は?
その場合に、本来の話題に戻ってもらうための有効な言葉のかけ方はあるのか?
脱線話から拾えるいい素材もあるはず。あえてその話をさえぎらず、自然に話の方向を修正したいが、話を戻すその見極めポイントがあるのならば知りたい。

 3 文章には型がある。

 型にはめて書くと悩まない。ところが、型にはめて書くのは難しい。
無意識に自分の手慣れた方法で書いてしまいがち。
まず型を知り、それにならって「書く」練習が必要。

 4 個人的エピソードを入れて、共感できる記事を書く
 個人エピソードの入った例文 
スフレは本当にふわふわの食感で淡雪のような口どけ。繊細であっという間にしぼんでしまうような気がする。

~以下は私の感想と気づき~
オノマトペ「ふわふわ」 比喩「淡雪のような」
 これらの表現方法を使いこなせるようになると、取材現場で得たリアルな五感を生き生きと的確に伝えられるのだろうか? 
 オノマトペや比喩表現センスを磨き、身につける方法とは?
それらを意識的に見聞きすることだろうか。
印象に残ったフレーズなどを、日常的にメモすることがその有効な手段?

 私がハッとした、最近見つけたお気に入りの比喩
「青田のように付箋が茂っている本」
 本から飛び出すおびただしい付箋を、青々と茂る水田風景に見立てた感性の瑞々しさに圧倒された。こんな詩的センスに憧れる。

  参加メンバーのみなさんからの刺激も大きかった。それぞれの受講動機や職業、これまでの経歴、推しの紹介からうかがい知る各々のキャラクターなど、興味深いことばかり。みなさん一人ひとりにインタビューして、じっくり話を聴いてみたくなったほどである。
 
 私がメンバーの発言で、激しく同意したのが、かずよさんからぽつりと聞こえた「編集さんのチェックがない文章を公開するのが怖い」というもの。広報部に所属していた当時、私の原稿が紙媒体の情報紙に掲載される前には、上司や同僚からの容赦ないチェックがあった。事実確認をはじめ、「この表現や情報で傷つく誰かがいないか」という視点からの考察も欠かせなかったように記憶している。
 かずよさんの発言の真意とは異なるのかもしれないが、私がSNSに投稿できない理由がそこにもある。
 この課題は、講座を受講しながら、ゆっくりじっくり考えてみたい。

 

受講後の私 ~思考と行動の変容~

 第1回目の講座の終了後、私の頭の中には、さまざまな思い、考え、気づきがあふれ、それらが消えてしまわないうちに、スマホのメモにできるだけ入力していった。
 こんなに体系的にライティングを学べる方法があること、記事を書く仕事を始めた30年前の私に教えてあげたい。書けなくて書けなくてなんとか書いても「よし! これで大丈夫」と言ってもらえなくて、泣きたい毎日だったから。
 文章の型を分析する方法がわかっていただけでも、当時の私はどれだけ救われたことか。
 江角さんの講座は、アーカイブで何度でも確認できるし、貴重な資料もPDFで受信してプリントアウトできる。何よりもライターに必要な感性や好奇心を養える気がする。
 かずよさんの漫画、『16歳で帰らなくなった弟』をネットコミックで読んだ。私は昨年にネットコミックにはまり、電子コミックサービスに課金したポイントが残っていたのだ。この作品を描いた人と同じ講座で学ぶなんて、大変ありがたい。
 江角さんをはじめ、メンバーのみなさんから感化されても、自分と比べず優劣をつけないようにして、ゆっくりでも試行錯誤しながら学びたい。
 私はしどろもどろになってばかりの受講生だが、しっかり失敗したほうが脳に学びが記憶されるはず。この講座では、うまく立ち回るよりも、トライアンドエラーの精神の前向きな厚顔オバサンでいこうと思う。
 そして初心にかえって私の「書く方法」を身につけよう。