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名盤紹介『Red Hot Chili Peppers/Blood Sugar Sex Magik』

はい!名盤紹介コーナーの第二回目はこちら!
Red Hot Chili Peppers、通称レッチリの"Blood Sugar Sex Magik"です!!

一度見たら忘れられないデザインですよね。やっぱり名盤はジャケがいい!


あのね、これ書く前にそーとー迷いました。
何を迷ったかって……
もうひとつの名盤"Californication"とどっちを取り上げるかだよね。

個人的にはブラッドシュガーとカリフォルニケイションがレッチリの2強だと思ってるんだけど、どっちかと言われたら……うーん。

決め手になったのはドライな曲が多いから、かな。ブラッドシュガーにしたのは。より媚びがないというか。

もちろんカリフォルニケイションや他のアルバムにも名曲は多いんだけど、いかにも人気曲っぽいのが多くてね……(なんだそりゃ)

まあでもこれからレッチリのことについて包括的かつ大雑把に書いていくつもりなので、アルバムの好みは人それぞれあるでしょうが気にしない!笑

今回も洋楽よくわからん勢代表としてはりきってレビューしていきます!!


レッチリとは?

さてこのレッチリとはどういうバンドなのか?
ひとことで言えばファンクロックですかね。ジャンルとしては。

アメリカのバンドですが、日本でも人気でよく洋楽の入り口として挙げられますね。
ダニーカリフォルニアという曲でデスノートともタイアップしましたし。

あまたのメンバーチェンジだったり、アルバムごとの雰囲気の違いだったり、そういうバックグラウンドも含めて楽しめるバンドです。

で。
このファンクロックというジャンルの曲があんまり日本人にとって聴き慣れていないんじゃないかなと、個人的は思うんです。

まあ聴いてもらえばわかるんですけど、基本的にはボーカル、ギター、ベース、ドラムの4人の音。

余計な音が入っておらず、最近の巷の曲と比べるとどこかスカスカな印象を受けることでしょう。

おまけにどこか単調。
コード展開は少なく、ミドルテンポの曲ばかり。全部英詞でほとんどラップ。
スッと入ってこない。
この圧倒的JPOPとの差がどこか壁を感じるとしたら挙げられる要因なんじゃないでしょうか。

もちろん邦楽にもHIPHOP文化はあったり、そういうアーティストも多いのですが……
キャッチー性がそれとはまるで違っていて、洋楽特有の取っ付きにくさを感じます。(というか邦楽がキャッチーに作ってある)

さっきからけなしてばっかじゃん!!とお思いでしょうが、いくら伝説的なバンドといっても邦楽を聴き慣れた耳で一聴しただけだとぶっちゃけこの程度の感想なんじゃないでしょうか。

ここからはそんなレッチリのおすすめの聴き方について語っていきたいと思います。

レッチリの聴き方

俯瞰する

まず。
Aメロ!Bメロ!キャッチーなメロディーでドカーン!!みたいな期待はひとまず置いといてください。

そういうよくある展開から離れて、全く別の考え方をします。
言うなれば『レッチリ聴く用の脳みそ』を準備するんです。

そして、ボーカルと一緒になって歌うというよりは、バックで鳴っている音にも注目してリズム&グルーヴに身を任せてみましょう。

幸い、ほとんどの場合メンバー編成分の音しか鳴ってないので、各々の楽器が何をやっているか聴き分けやすいはずです。

そうやってまずは全体を俯瞰する気持ちで一周聴いてみましょう。
難しく考えずに、へ〜こういう曲なんだ〜くらいの気持ちで。
最初は退屈に感じるかもしれませんが、聴くうちに自然と慣れてきます。

リズム隊に注目する

レッチリはリズム隊(ドラムとベース)がスバラシイです!
ボーカル、ギターももちろんスバラシイのですが、他のバンドサウンドに比べてリズム隊が力強くガツンガツン抜けてきます。

特に、ベースはよく聴こえないボンボン鳴ってる楽器という先入観はこのバンドでは当てはまりません。

実はフレージング的にはそこまで難しいことはやってないんですが……
マネてみても同じ音にならないんですよね。このへんはベーシスト、ドラマーの方ならわかるはずです。

「ドラムがドシッとしてて安定感あるな〜」
「この"ペッ!"とか"プッ!"とかベースの音なの?!」
みたいな、新しい発見をしながら聴いてみると楽しいですよ。

切なさを味わう

レッチリの曲は『ちょっと切ない感じ』がキモになってきます。
後期になるにつれそういう『ちょっと切ない感じ』が含まれている曲が多く登場してきますが、この要素を楽曲ごとに耳で探しながら聴くと味わいが深くなります。

逆に初期の頃だとそういう切ない系というよりはハジけた感じの曲が多いのですが、それはそれで物足りないんですよね。

このへんは個人の感想なのですが、切ない系で押していくならバンド名変えるべきだったんじゃないかなと思います。
だってレッド!ホット!チリペッパー!ですよ?
どう考えてもアップテンポで激しいバンド演奏が連想されるじゃないですか。

それがなんか切ない曲を演奏して感傷的にさせて……
力強いバラードで本来の魅力を損なわず……ってのもなんか後付けな感じがします(絶対怒られる)。

まあ、きっといろんな事情があるんだろうなとは思いますが。
少なくとも感傷的な曲を冠していくバンド名じゃないな〜と思います。

……以上、余談でした。

で、この話題からタイトル回収していくわけなんですが。

この"Blood Sugar Sex Magik"というアルバムが、いわば分水嶺というか。臨界点というか。

この前、この後で作風が変わるんですよね。それまでのとにかく激しい感じ(Mother's Milk)からちょっぴりセンチな雰囲気(Californication)を押し出す感じに。

(厳密にはこの後に"One Hot Minute"というアルバムもあるのですが、ギタリストがジョン・フルシアンテじゃなかったこともあって一旦置いときます。)

このアルバムの特徴

ということで、やっとこさ名盤紹介に入っていきます(笑)。

この"Blood Sugar Sex Magik"というアルバム、ひと言で言うなら『妖しい』です。

使ってるコードや進行もそうなのですが、「その音入れるとダークになるよね」って音を何回も繰り返したり。

グルーヴに関する記事で同じことを何回も繰り返すと安心に繋がるとか書いたんですけど、繰り返しすぎで逆に落ち着かなく、結果スリリングになっている楽曲が多いです。

そして、とにかく『重い』!!
メンバーの演奏がかっちりまとまっているというのも要素としてあるのですが、とにかく重心が低い!!
ドシッ!ドシッ!と相撲のすり足・張り手のようなグルーヴが感じられます。

この辺に一役買っているのがやはりドラムのチャドスミス!
彼の存在が非常に大きいです。

少し先述しましたが、フレーズとしてはそこまで大したことないんです。
ミドルテンポの8ビート。
『初めてのドラム』みたいな教本に載ってそうな内容で、そこまで難しくないんじゃ……と思ってしまいます。

でもしかし!パワーがケタ違いなんですよ!
ドラムという楽器そのものを鳴らす上手さといいますか。そのタイミングでその音をその強さで鳴らすのが上手いといいますか。
レッチリ聴いた後に他の曲を聴くと軽く感じるレベルなんです。

おまけに、よく聴くと一音一音のスキマにゴーストノート(小さな打撃音)が無数に入っているのです。こういうテクニックもグルーヴに一役買っているのでしょう。

一聴して俯瞰した後は各々の動き・パートが何をやっているかに注目していってほしいのですが、この強力なドラムの上にみんなが乗っているバンドサウンドなんだという視点を持ってみるととても楽しめるんじゃないかと思います。

おすすめの楽曲

最後に、ここからは収録されている楽曲について掻い摘んで解説していきます。

必聴は9曲目の"Give It Away"ですね。
ライブでもよく演奏されるお決まりのナンバーで、メンバーが横一列でうねりを出しながら突き進んでいく楽曲です。

実はベースがサビでほとんど何も弾いていないんです。
サビでグアッと盛り上げなくてもメロのグルーヴで十分踊れるし、なんならブレイクを取り入れてメリハリに貢献しているんです。

他、いろいろあるのですが……
11曲目の"Under the Bridge"も必聴でしょう。
バラードなのですが、この曲を皮切りにメロウ路線が加速していったと言われる名曲です。

全体的な構成としてはシンプルな楽曲が多いです。
ただ、これ本当に主観なんですが、"Breaking the Girl"は3曲目じゃない方がよかったような……ちょっと毛色が違う曲が割と早い段階できちゃうので、このへんもっとキラーチューン入れて畳み掛けてほしかったような。

まあでも私の趣向や理解をはるかに上回る範疇でいろいろ決まっているのでしょう。
それが特徴と言ってしまえばそれまでですしね。

最後に

私がベースを始めてひと月ぐらいのとき、当時のサークルの先輩が「こういう弾き方もあるんだよ」って言ってスラップ奏法をやってみせてくれて。
なんだこれ!?となったのをつい最近のように思い出します。

それがレッチリの"Higher Ground"でした。

そこまでフリーに憧れていたわけじゃなかったんですが、それからというものフレーズをコピーしてみたりスティングレイを買ってみたり。
実は影響を受けていたのかもしれませんね。
こういうベースはカッコいい!という刷り込み?は確実に私のベース人生に残っています。

そうそう、この間レッチリのライブに行ったばっかなんですよ。
2024/5/18@東京ドームです。

カリフォルニケイションでサポートのキーボードの人がちょっと演奏してて、それ以外はほとんど4人だけの音でした。

それなのにすごいグルーヴで。
そうそう!こういう化学反応をやりたいんだよ!!の連続で。
まさにバンドサウンドの真骨頂を目の当たりにしました。本当に観に来てよかったと思ったし、バンドサウンドクリエイターを名乗るからには絶対に観ておかないといけないとさえ思いました。

確かに感動したし楽しかったけど、私の立場じゃそれで終わらせちゃいけない。

DTMで完全に再現はできないかもしれない。
もう平面に音を並べるなんて次元じゃない。
だけど、ちょっとは追いつきたい。
ファンというよりは、実はずっと側にいたバンド。
そんな感じです。

かおりP


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