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自分の頑張りを認めたら、少し収入が上がった話

2人の子供が不登校になり、約3年前に努めていたパートを辞めた。
体調不良の子供達だけを家に置いて仕事に行くのが気がかりで、目に見えて仕事のミスが増えた。集中力も持たない。元々気持ちの切り替えが下手な方。メンタルも弱りに弱っていた。このままではミスを繰り返し、職場にも多大な迷惑がかかってしまう。先輩にも相談し、その後退職を願い出た。

ただその頃は、夫も体調不良から長年勤めていた会社を辞めて転職したばかり。ある程度覚悟はしていたけど、夫の収入は予想以上に激減し、それを私のパートでなんとか補うことでギリギリ踏ん張っていた。だが私が退職したことで、家計はあっと言う間に赤字に転落した。


子供のために家にいたい。が、生活のためには少しでも収入が必要。
特に資格や特技も持ち合わせていない。パソコンも苦手で、オンラインの仕事もハードルが高い。
パート先の社長に正直に現状を伝え、退職と同時に、工場の内職に転向させてもらった。
ありがたかった。

パート先だった工場は、家から徒歩5分程の所にある。家族経営の小さな工場で、私が勤めていた当時は社員とパートを合わせても全員で20人もおらず、社員は社長や営業部長、経理担当を含め5人ほどしかいなかったため、現場は実質パートさんだけで仕事をまわしていた。
必然的に責任感が強く、さらにもの凄く仕事が出来るパートさんばかり。私が入った時はまさに猫の手も借りたい程忙しかったようで、色んな部署に仕事のヘルプに入った。忙し過ぎてよくわからないまま気がつけば使用期間の3ヶ月を終了し、正式にパートとして採用された。

実はパートとは言え、社会復帰するのは14年ぶりだった。最初に会社に面接の電話を入れる時は、緊張しすぎて手が震えた。面接もガチガチで挙動不審。面接には10名以上来たらしいが、その中でよく受かったなと思う。家が近くで良かった(笑)

入社後3日目で、社長に「教えるから自分で機械を動かして。新しい商品の担当になるから。」と言われた時にはめっちゃビビって、思わず社長に「これ、私がやるんですか?」と聞き返してしまった私…。
(当たり前やん。他に誰がいるの?と怒られた。)

機械も自分で動かし、納期調整も資材の発注も全部自分で判断しないといけない。仕事は体力もいり、精神的にもめっちゃハードだった。時には派手にやらかしたりして、自分のあまりの仕事の出来なさ加減に泣いた時も。おばさんになってから、職場で泣くことになろうとはつゆ程も思っていなかった。

でも周りのパートさんはみんな優しい人ばかりで、私はいつも助けてもらっていた。
仕事に対する考え方や大事なことも、ここでたくさん教えてもらった。本当に色々あったな(涙)。



パートを退職し、内職をスタートしてからは、距離の近さと、元々働いていて他の内職さんより商品に詳しい、というアベレージを活かし、とにかく会社に通って数をこなした。

内職はとにかく地道な仕事だ。ひたすらおんなじ作業の繰り返し。幸いな事に私は同じ作業の繰り返しが苦痛なタイプではなく、むしろ同じ作業をどれくらい早く丁寧に出来るか、精度をあげていくことが楽しかった。
あれ、私内職めっちゃ向いてるかも。

ある日会社に納品にいったら、社員さんから、あるパートさんからの伝言で、kaoriさんの担当した商品が次工程で凄くやりやすくて「この仕事した内職さんを抱きしめたい!毎回お願いしたいくらい!」って言ってましたよ。と言われた。
え〜っ。嬉しすぎ!

たとえ地味な内職でも、次工程の人がやりやすいよう、いつも早くきれいに丁寧にを心がけていた。
それがちゃんと伝わって、喜んでくれる人がいる。凄く嬉しかった。私の方こそ、その人を全力で抱きしめ返したかった(笑)


ただ、内職仕事は単価がひたすらに安い。
時給1000円越えのこのご時世に、1つ仕上げて0.5円や1円というシビアな世界。収入を増やすには、ひたすら数をこなすしかない。家事と子供の世話の合間に、夜までひたすら作業する日々。眠い。

会社が超忙しい中、自己都合で退職したという負い目もあり、『この内職急ぎでお願い!』と言われると断れない。迫りくる納期の恐怖は身にしみている。『わかりました。なんとかします!』といつも断らなかった。そんな時は、大抵夜の12時を回っても仕事をする事になる。

翌日急ぎで仕上げた商品を持っていくと、いつも『ありがと〜!めっちゃ助かった!』と喜んでもらえる。夜中まで仕事するのは正直しんどいけど、お世話になった仕事場に恩返し出来ているようで、嬉しかった。「役に立っている」と実感できた。


学校を卒業して働き出してからずっと、周りの人全てが自分よりも優秀に思えた。『私は頑張っても人並みに仕事が出来ない』と、心の中でもがき続け、ずっと苦しかった。
1つの仕事が長続きしない。人とも上手く付き合えない。私は社会に適応出来ない人間なのか。「私は不器用だから、努力して頑張らないと役に立たない」「給料泥棒だと思われたくない」そう思うがゆえ、いつも過剰な時間働きがちになる。

今回の内職でも、だんだん労働時間の歯止めが効かなくなりつつあった。セルフブラック企業状態。外に働きに出ている時は時給なので、まだ頑張った時間分お給料に反映された。でも内職では、いくら頑張ったところでお給料の額は知れている。

家事と育児と内職に明け暮れる日々。
自分の時間がとれないことに、少しずつ気持ちも体も削られ始めた。毎日が矢のように過ぎていく。体も心もずっしり重い。
私、一体何のために仕事辞めたんだろう…。そんな時、たまたまスピリチュアルな本を読む機会を得てさらにnoteの世界を知った。

noteには色んな人がいて、色んな人生を送っている。毎日様々な記事を、毎日読み漁った。

私は本当に、ずっとこんな働き方で、こんな生活を続けて幸せなのだろうか。疑問が湧いた。

その頃内職仕事の方は、たくさん内職さんが辞めたことで、いつの間にか私がベテラン勢に数えられるようになっていた。
一口に内職といっても、簡単なシール貼りから、針金に金具を入れて輪っかを作り、規定の大きさと長さに合わせた後ペンチで金具を固定する、みたいな複雑なものまで多岐に渡る。(以前社長に聞いたら製品の種類は1000以上は軽くあると言っていた)

内職さんにも得手不得手があり、人により出来る商品が限られている事もある。私の場合は他の人よりとにかく数と種類をこなしていたため、時間のかかるややこしい内職が回ってくることが多い。
時間がかかる程、収入は減る。

また、もと会社にいたよしみもあり、新規商品が出来ると、どのくらい内職に時間がかかるのか測って教えて欲しいと頼まれる。これまで何度も、スムーズな内職のやり方と所要時間をまとめたレポートを書いて提出していた。

でも、このレポートを書く時間はお金が発生しない。無償で、ただのボランティア。
いつものようにレポートを書いていたある日、夫から「それも立派な仕事なんやから、お金請求したら?」と言われた。さらに「いつも急ぎで頼まれてやってるやつも、割増言えるんとちゃうの?」

…いいのかな。それが普通なの?

過去急ぎの内職仕事をやって、割増を頼んだ内職さんはいない。会社側も「内職さんは上手に使えばいい」というスタンスであることも、会社に勤めていた側なので知っている。


そんな時、たまたまYouTubeで動画を見た↓

これ、私の事だな。

延々と終わらない、お金の課題。受け取る準備がないと、受け取れないのか…。


…そうだよね。私、頑張ってるよね。
ちゃんと仕事して、会社に貢献してるよね。
…だめ元で、社員さんに相談してみようかな…。

翌日勇気をだして、いつも内職を出してくれる社員のA君に相談してみた。

A君は、私がパートで入社した1ヶ月後に入ってきてほぼ同期。年は一回り程下。私がパート時代は他部署であまり接点がなかったのと、A君自身が元々が口数の少ないシャイボーイだったのであまり交流することがなかった。

でも私が内職に変わってからはほぼ毎日会い、ちょいちょい「仕事上手いこと回ってる?」とか「子供さん元気?(当時子供が生まれたばかり)」とか聞いているうちに、どうやら心を開いてくれたらしく、内気同士なりにも信頼関係が出来ていた。

それでも、『内職単価を上げて欲しい』と相談することは前例がなく、『厚かましい』と思われそうで、私は心臓バクバクで、内心めっちゃビビりながらもなんとか話しを進めた。

でも、予想外にA君の反応は早かった。
『僕もそれ、考えてたんです。』

え、そうなん?

『〇〇さんにはいつも無理言って助けてもらってるし、そもそも物価も上がってるのに内職単価がずっと上がらないのもおかしいですよね。1度社長に掛け合ってみます。原料単価も上がってるので、すぐに内職単価に反映するのは難しいかもしれないけど、事務所は内職の現状あまりわかってないと思うので、とりあえず今後急ぎの仕事の時は、僕の裁量で単価上げさせてもらいますね。』

マジで。いいの?
こんなにあっさり話通って。
もっと早く相談しても良かったのか…?

その後の内職は、急ぎの時はちゃんと単価を上げてくれた。超急ぎの時は単価を倍にしてもらえることも。新規商品についても、社員のA君と相談しながら、内職をしている自分が単価を決定できるというよく分からない状態になることもあった(笑)

そんなこんなで先月。
また、新規商品があると会社から連絡が来た。しかも社長が直々に説明したいと言っているらしい。

新規商品は季節もので、12月までの限定7万本。
ただ、毎日一定数納めて欲しいので、会社に激近な私に指名が来たらしい。派手な傷がつくと困るので、丁寧に仕事していた実績も買われた。

試しに1000本やってみてくれる?と言われて持って帰ってやってみた。金具を入れて結束するだけで作業自体は簡単。ただ、物が大きいので運搬が大変なのと、会社が近すぎるがために、逆に車の燃費が悪くなり、毎日となるとガソリン代が高く付く。

翌日商品を納品し、正直にガソリン代がばかにならないし、重いので腰も心配だから運搬してもらえるとありがたい、と伝えた。
社長が検討してくれて、しばらくしたら社員さんが自宅まで運搬&引取をしてくれるようになった。
めっちゃ楽ちん。

商品単価も良くて、今まで2日から3日かけて1500円とか一週間かけて3000円だったのに、今回の仕事は1日で3000円稼げる。土日も休める。
(土日はずっと娘の高校見学や体験授業で埋まっているため、かなり助かる。)
時給で働くよりは収入は劣るけど、以前の事を考えれば格段に楽に稼げる。いたれりつくせり。

なんか急に、色々変わった。

これはやはり、収入に関する制限をかけていたのは、自分の意識と無意識だったのか…?

自分を卑下する行為は結局、ろくな結果を産まない。過剰評価も行き過ぎると良くない気はする。自分の能力を客観視して、冷静に判断できるようになるのがやっぱりベストなのかな…。

社会に出ると、なんでもこなせる「オールラウンダー」を求められる。私自身も、ずっとそれを目指していたが出来なくて、結局自分で自分を腐らせた。

オールラウンダーを目指すのはもう諦めよう。
結局、『出来ること』しか出来ない。
出来ない事は、素直に出来る人に頼もう。
そうすれば、いちいち自分の能力に絶望しなくて済むはず。自分を卑下しなくなる。

私は今まで、自分を無駄に追い込んでいたんだな。
そもそも頑張る方向を間違っていた。
しんどかったな。

これからは、『自分が出来ること』を見つけて頑張ろう。自分を認めれば良いエネルギーが発生し、きっとお金も上手いこと回ってくるだろう。

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