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熱海の空き家リノベーシ[before-After] 〜オーナーと入居希望者の間〜

「畑付きの家で、家庭菜園しながら暮らしたいんですよね〜!!」と移住コンサルティングの利用者さん(ご夫婦)から相談され、ご紹介したのがこの家。

すると「建物の中以外は、全部気に入りました!」と。ところが、奥様は「水回りがイヤね〜」と。そして、「室内以外は全部気に入ったのですが、この室内、どうにかならないですかね〜?」と相談されました。これが事の始まりでした。


11年間ものあいだ、空き家になっていた物件。


この物件の管理人さんに話を聞くと、前回の入居者が退去する時にトラブルがあったそうです。(入居者だけじゃなく不動産会社とも・・)それからというもの、物件オーナーさんは賃貸に消極的になってしまい気がつけば誰も住まない状態で11年も経過していたそうです。

物件の写真を見てもらいながら、話を進めますね。

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この物件の敷地(みかん畑)の管理人さんが、建物管理をやってくれていたおかげで建物の状態は良好でした。そして何よりも「リビングを出たらすぐに畑!」という配置がとても魅力的でした。

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しかも畑から海が見える!(ありそうでないんですよね〜)

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室内はどこもかしこも「使えなくもないだろうけど・・・」という状態。

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清潔感がないというか・・笑

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全体的に薄暗い・・・・

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玄関も、「ただいま!」と入った瞬間にテンション下がる薄暗さ。空間の広さや作りはしっかりしてるだけにもったいない!!!

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広さはあるけど、寒々しいお風呂。写真だと綺麗に見える。笑 

物件オーナーさんに相談してみた。


「Nさん(物件オーナー)、住みたい人が見つかったのですが、内装がキレイにならないか?との相談が来ておりまして・・」と。

すると、「そうだな〜。風呂は変えてあげた方がいいかもと思ってるが、キッチンはまだ使えるから直すつもりはないですね」との回答。

「お風呂だけの改修をお考えだったんですか??」と私はドキっとしてしまいました。もしかしたら中途半端に風呂だけに改修費をかけてしまい、無駄な投資になってしまったら誰もハッピーじゃなくなる可能性があるなと。

不動産屋だったら、これをそのままお客様に伝えて終わってしまう話。

だけど、せっかく本気で住みたいと言っている人が現れたのだし、今回の方が退去した後も次の入居者がすぐ見つかるイメージが湧いたこともあり(移住相談をやっているのでニーズを把握しているので)オーナーさんに納得していただける提案を出し続けました。

(仕様書を作ったり、工務店3社に見積もりをとったり、見積もり内容を細かくチェックして減額プランを考えたりと、我ながらよくがんばったな〜と!)

そこから、紆余曲折の6ヶ月を経て(この話は長いので、別記事で書きます)ようやく改装工事が完成したという話です。(before-afterの前振りが長くてすみません・・)

Before-After

私は子供の頃から凝り性で、デザインや質感など細部まで気になってしまう性分。例えばトイレのペーパーホルダーも「同じ値段ならかっこいいのを選びたい!」と時間をかけてもいいものを探したくなります。けれど、今回物件オーナーさんはそこまで求めていない。

そこで、ペーパーホルダーのように簡単に取り替えができるものについては気にしないようにして(完成したものを見たらやっぱり気になっている私)、照明器具や壁床など専門業者の設置工事するものは、こちらで選ばせてもらいました。

(過去の仕事で身についていたリノベーションの知識とスキル。このような形で役に立つことが面白いなと)

〈玄関〉
扉まわりのガラスが印象的な玄関。レトロさとガラスの質感にマッチする照明器具を選びました。それ以外は何もしてないのですが、いい雰囲気に。


【before】

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【after】

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〈玄関内部〉
昭和レトロな雰囲気を味わえるポテンシャル空間!できるだけ今あるものを活かしつつ「薄暗い&薄汚い」を解消しつつ清潔感のある空間にするために、ここで職人さん達とウンウン唸ってました。

新しくした部分と、残した部分が調和しない仕上がりになると、古さが悪目立ちして違和感のある空間になるので、それだけは避けたくて、現地で職人さんと知恵と意見を出し合ったのもいい思い出です。

【before】

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壁は塗装屋さんに、現場で色を調合してもらいました。工務店の方からは「どれも同じに見える」と言われたけれど、塗装職人さんが納得がいくまで付き合ってくれて感謝です。

乾燥すると色が変わるので、仕上がりを確認するまではドキドキでした。 

【after】

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天井は、状態が悪かったので下地を入れてクロス貼り。「白い天井」は、選ぶクロスによって質感が変わるのでサンプルを取り寄せて現地で合わせながら選びます。(マンションのリノベーションを組織の一員としてやっていた頃は、ここまでやることはなかったですね〜)

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照明器具は、現地の写真をみながら照明屋さんのサイトを夜な夜な物色。そして、自宅に届いた商品を現地に運び「イメージ通りかしら?」と確認。ここまでやってようやくひと段落。

〈洗面所〉
窓があって採光はあるのに薄暗かったので、明るく清潔感のある女性をイメージ。歯を磨いたり顔を洗ったりする場所なのに、清潔感がない洗面所って落ち着かないですからね。
【before】

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【after】

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床も一部剥がれていたので下地をやり直してクッションフロアに交換。このクッションフロアも厳選したものの中からサンプルを取り寄せて、現地で既存の床との相性を確認しながら選びました。これは想像以上に良かったので、また他の現場でも使いたい。

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鏡は固定されるものなので選ばせていただき、大工さんにガッチリ壁に固定してもらいました。鏡の下にタイルを貼りたかったのですが予算が足りず断念。これはタイルではなくクッションフロアなんですよ〜!

〈お風呂〉
写真だと綺麗に見えるのですが、実物を見ると「寒そう!」「掃除が面倒くさそう!」となるお風呂。見た人は全員これはちょっと・・となっていました。【before】

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【after】

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追い焚き付きのユニットバスを入れました。窓は1つしか作れないとのことで泣く泣くひとつ潰すことに。。

〈キッチン〉
予算内に納めるために、キッチンの仕様を落として「ザ賃貸キッチン」を選ぶことになったのですが、もっと時間をかけてよければいろいろ探してみたかったな〜と思うところです。

【before】

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【after】

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ピカピカのキッチンパネルで清潔感たっぷり。個人的にはマットな質感のこれ↓も候補に挙げていましたが、オーナーさんの意向を尊重しました。
https://www.r-toolbox.jp/service/塗装のキッチンパネル/

キッチンの面材は、貼って剥がせる壁紙みたいなものをDIYするのもいいですよね。ちなみに、この物件はオーナーに事前申請をすればDIYしてもOKな契約にしたので、棚などは最低限しか設置していないのが特徴のひとつです。
https://kabegamiyahonpo.com/products/list.php?category_id=1124

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〈リビング〉
このカーペットをフローリングにする提案をしたのですが、物件オーナーさんは、「このままで使えるのだから床は改装はしない」という話に。入居者希望者さんはどうしてもフローリングにしたいとのことだったので、入居希望者さんの費用負担で改修した場所です。

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【before】

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【after】

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関わる人全員のHAPPYを考え続けた6ヶ月間を経て。

過去13年間、マンションリノベーション再販や仲介業をやってきた中で、この物件が一番記憶に残る物件になりました。入居希望者が見つかってから半年間、この物件に関わる人全員とコミュニケーションを継続的にとらせていただくことで実現したリノベーション&賃貸借契約だったな〜とジーンときます。

工事完了の施主チェックの今日、全員が集まってくださったので記念撮影をしました。右から、熱海の不動産屋Irodori株式会社の佐藤由加さん、物件オーナーさん、わたし(中屋)、大曽根建築設計の大曽根社長、この物件の敷地みかん畑の管理人さん。

みなさんの協力のおかげで、11年間空き家だった物件が蘇りましたよ〜!!!

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家も喜んでいます!!!

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わかりやすくお洒落な物件よりも、その物件らしさを味わえる内装にすることができたら、愛される物件になるんだな〜ということを学ばせていただきました。それから、現場に足を運ぶことの大切さを学びました。

リノベーションの仕事は、本質的にやればやるほど幸せな人が増える仕事だと実感!刺激も学びも多くて面白いです。関わる人たち皆がHAPPYになる最高の仕事だな〜と改めて感じさせていただきました!

今回関わってくださった皆様に、心から感謝です!!!!


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こちらも読んでいただけると嬉しいです。中屋がなぜ今の仕事をしているのかがわかる内容となっております。






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