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住んでみても分からない事 イタリア人のこだわり

シチリア島の州都、パレルモからの発信。 ボンジョルノ。

四半世紀イタリアに暮らしながら、その一部を中部トスカーナ地方で、かなりの歳月を南イタリアシチリア島で暮らしているわけだけど、、いまだにどうしても分からないことが幾つもある。 その1つが「食のこだわり」。 

パスタの形状とソースの組み合わせなどは分かりやすくて納得出来る、一理あるから。 でも分からないことも本当に多い。

食に関して言うと、まず絶対的にこだわるのが「産地」。 もちろん国内産でなくてはいけない。 これは分かる。 スーパーへ行くとオランダ産のトマトやパプリカ、イギリス産のキュウリ等が並んでいる。 イギリスはキュウリのサンドイッチが有名だけど、どうして輸入しなくてはいけないのか?寒いオランダで作られたトマトを(夏は暑いのは知っているけど)、どうして南イタリアへ持ってくるのか? オレンジの産地のシチリアで、どうしてチュニジア産のオレンジを食べなくてはいけないのか?

だからまぁ、皆んな国内品を選ぶ、出来れば。 ここまでは良しとして、次に「自分の住んでいる州で採れたもの」となる。 ここから先は現在住んでいるパレルモでの話と、一応お断りを入れなくては。 北イタリアの日々の暮らしは見えてこない所も多いので。

パレルモでは「ナポリのトマト? 駄目だよシチリア産でなくては」となるのだ。 ナポリのトマトもかなり美味しいんですけどね。 そしてシチリア産なら良いのかと言うと、そうはいかない。 「これカターニア産(カターニアは島の反対側。200Km位の距離がある)? パレルモ産はないの?」と。 笑える。 更にパレルモ産なら良いかと言うと、それでも駄目だったりする。 パレルモ県は結構広いから、なるべく自分の住んでいる近くで収穫したものを望む。 これでおしまい? いえいえ実はまだあって、「これ、自宅の庭で採れたやつ、売っているのよりずっと美味しい」と。 つまり、最終的には「おらの庭(もしくは畑)のが一番」となる。

ある意味理解できる、私も庭でトマトを育てているし、自分で育てた物には愛着がある。 だけれども、必ずしも美味しく出来るとは限らないと思っている。 シチリア人の相方が「美味しい、美味しい」と言って食べる庭のトマト、年によっては皮が厚過ぎて、種が多くて、水っぽい。 私は美味しいと思わない。 でも彼は美味しいという。

ここ、これが長年住んでいても分からないことの一つ。 実は彼らは味音痴なのか? 日本だって家庭菜園をなさっている方は沢山いて、出来上がりを食べて美味しいか今ひとつか判断する。 去年より味は落ちるけど、やっぱり自分で作った物は愛おしいよねと言いながら食べるのなら分かるけど、それを美味しいと言われると???となってしまう私。 確かに無農薬で安全だけれども、私は口に入れて美味しい物を食べたい。 湯むきしたら一回り小さくなってしまい、更に種を取ると食べるところがなくなってしまうようなトマトにはあまり興味を抱けない。 

時々畑を持っている友人達から色々なお裾分けを頂く。 美味しい物もあり、上記のような「ちょっとこれは・・・」という物もある。 それを「美味しいから、最高だから」と言われて頂くと、頂いておいてこんな失礼な事を言ってはいけないのだと百も承知だけど、どうしても疑問が浮かぶ。

彼らは実は味音痴なのか?

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