学童指導員だった時のこと【小一女子のダイバーシティの知】

いま休校中で学童に長期間通う子ども達は、日々どんな風に過ごしているのか、授業参観や学校公開もない学童での出来事の一部を綴りました。

私は数年前まで都内の小学校内に設置されている学童に正規職員として勤めていました。

学童では当たり前ですが、学年の違う子ども達が同じ空間にいます。5年生男子の激しい小競り合いの脇で、入学したばかりの小さい1年生が遊んでいたりします。

身長差30センチくらいあるやん。
私160センチあるけど190センチの人同士が小競り合いしてたら逃げるって!

ちょっ、もっと周り見て!!みんな自分に集中しすぎ!
あと数十センチ逸れてたらケガするって!!

ってのが日常茶飯事で学童指導員は、そのスレスレに介入して体をはって安全管理が第一の仕事です。

そして最も心を砕くのはいざこざの仲裁です。
安全管理は、導線の確保や住み分けとルールの徹底で大概はできます。

ただケガをするようなケンカや、いじめに繋がることには大人の介入が必要な時があります。

今回の件は小一女子同士のいざこざです。 

【泣き声はいつも突然】
いつも生意気を言い大人にも対等な気持ちでいる女の子が、突っ伏して泣いていました。
私が気付いた時には泣かせた子は謝罪をして、泣いている子の気持ちが晴れるのを友達4人が囲って待っている状態でした。

私はケガの有無を確認し、皆から事実確認していました。(不可抗力によりぶつかり、より痛い方が泣く案件でした。)

「謝ったしもうおしまいで良いよね。早くしないと外遊び終わっちゃうよ!」
(※小学生にとって校庭で自由に長時間遊べる時間こそ最重要事項なので、そこも知っていただきたい。悪気全然ない。むしろ子どもらしくて大変良いことです。)

と、このいざこざには第三者の子が言ってしまいました。その言葉にカチンときた泣いていた子は、

「何でそんなこと言うの!?」
と今までとは違うベクトルで怒りあらわに。

ヒロインモードに入って入るときに言っちゃいけないよねー。わかるわー。彼氏とかに似たようなこと言われたらブチキレるよね。うんうん。

あ、これ一筋縄で終わらないやつだなと悟った私は個別に話す対応に変更。

失言した子には、
「悲しんでいる時には、早く泣き止んでって言われたら嫌な気持ちになるよね。遊びたい気持ちはよく分かるよ。待ってたもんね。でも言っちゃいけないタイミングあるんだよ。」
と言う主旨を彼女の言い分も聞きつつ話して納得してくれました。 

さて泣いていた子です。
 
女子「何であんなこと言えるのか意味わかんない。」
私 「そうだね。」
女子「私だったら友達が泣いてる時に、早く遊びたいとか思わないよ。」
私 「そうなんだ。」
女子「うん、絶対ない。」
私 「そうだね。あなたはそう言った心の成長をしているんだね。」
女子「...??」
私 「クラスには背の高い子もいれば、小さい子もいるでしょ。勉強や運動がすぐできる子もいれば、ゆっくりな子もいるじゃん。」
女子「うん。」
私 「心の成長もね、早い子もいればゆっくりの子もあいるんだよ。でもそれが早いから偉いとかゆっくりだから悪いとかないんだよ。」
女子「うん。」
私 「みんなそれぞれで成長の仕方が違うんだ。だから今回は言ったらいけないって分からなかったんだよ。」
女子「そっか!」
私 「特に心は見えないから、成長してるか分からないよね。大人でも心が成長してないこともあるんだよ。私もあるかもしれないし!」
女子「はははっ!!何か分かったかも。」

と納得したようで、その後仲良く校庭で遊びに行くことができました。

数日後にまた、その子達にいざこざが発生しました。
(学童では毎時間いざこざが発生します。)

私が話を聞こうとしたら、その子が
「心の成長の違いだよね。」
とこそっと私に囁きウィンクしてきました。

そして、小一女子なりにいさござを解消していました。

こんな早く成長しちゃうのかー!!と私が勝手に胸きゅんしてパワーをもらった出来事でした。


【終わりに】
その子がどんな風に大人になるのかは、私はもう関われないので分かりませんが、多様性を知り、受け入れる糧の一粒になれたら嬉しいです。

今の学童の現場がどんな状況か、私には計り知れません。けれど職員は能力や経験の差はありますが、皆目の前の子ども達がより良い時間と経験を享受できるよう必死になっていると思います。

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