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仮契約しかけた古民家



1 空き古民家情報

空き家情報は突然やってくる。
自治会の副会長Oさんから空き家情報があると、5/25に母から連絡を受け、翌日にはご挨拶に。その場で物件を見に行こうといわれ、ついていく。自治会副会長Oさんはフットワークが軽く、どんどん話が進んでいく。物件はOさんによると、50とか100万円くらいじゃろぅと。どんな物件かワクワク♪
自治会のある地域センターから約1km。私が求めていた南向きの縁側のあるトタン屋根のザ・古民家!倉庫が2つと母屋からつながった増築部分もあり、広さは理想的。状態は比較的良くて、特にトイレが綺麗で修理の必要なし。風呂はかなり古くて改修の必要あり。母屋には雨漏りが2~3箇所あるが、修理済みで雨漏りのシミが天井に残るだけだと。床も抜けていないし、おそらく傾いてはいない。キッチンも改修されているようで、流し台も比較的新しく、床もしっかりしているので掃除すれば使えそう。押し入れに小動物が出入りしていたようで、障子や壁、天井などが破れている。不用品もかなりあったようだが、処分して片付けられている。
山林、畑もついている。田んぼはご近所の農家に一部依頼して作付けしてもらっているが、依頼していない田んぼ2枚は付けてもいいと。なかなか理想的な物件。期待が膨らむ。
その場で、所有者Kさんの息子さんにOさんが連絡をしてくれた。金額は建物がある土地の評価額の250万円。Oさんの話からはちょっと高いと思ったが、状態が良かったのでこんなもんかなと思い、金額については何も言わず、その場で関心ありとの回答をした。

2 とんとん拍子!?

元々の所有者は現地から車で1時間くらい離れたところに住所があって、冬以外は滞在して、野菜を作ったり、土地の整備(草刈り等)をされていたようだったので、物件の状態は良かった。
3ヶ月くらい前に亡くなられて、相続された妻は他県に住む息子さんと同居予定で、この物件も処分したい様子。法事のため現地に来られたKさんに会うこととした。奥さまも息子さんもとても気さくで話は弾む。息子さんは建築デザイナーで事務所を経営、古民家改修のデザインも無料でしますよ、と。解体も手伝うし、簡単な修理ならすぐにできる、などなど話が盛り上がる。奥さまも「あなたみたいな人に譲れたら嬉しいわ」なんて言われて、いい感じ。
この時点で市の空き家再生補助金事業の利用を考えていることも伝えると、必要であれば見積りも出しますよ、と。どんどん話が進んでいく。これは決まるのかな、と、ドキドキしながら、やることをやっていかなきゃと補助金事業について問い合わせをしたり、家族や友人に話していく。
いつも空き家を一緒にみてくれる友人にも伝え、一緒に見てもらった。「やりたいことに合うサイズの物件だね!」と。
同時に所有することへの不安はなかなか頭から離れない・・・

3 農地問題

Kさん(土地所有者の息子さん)から、農地の引き渡しに関する書類があるから、自治会Oさんから受け取ってほしいという連絡。確認をすると、現在米作りを依頼している人に譲る手続きを進めている、と。使っていない2枚の田んぼについてもその人に譲ることにしているとのこと。なぬ??それは私もちゃんと意思表示をしていないのに、すでにそんな話になっているとは!!
私も取得を考えていたことを伝えると、話を進めてしまっているので、もう変更は難しい。自治会Oさんに私から相談することとして一旦話を終えた。Oさんに電話をかけると「わしから言ってみるよ」と。
後日、Oさんを訪ねると、KさんがOさんに「すでに譲る話をしているから難しい」と連絡されていたようで、田んぼを私が取得するという話はどうしようもなくなっていた。
田んぼは直接見に行って、山がせり出していて扱いにくく、手入れも大変そうで、結局は取得しないことで了解した。
興味がない感じが伝わってしまったのは、私が明確な意思表示をしなかったのが良くなかったが、ここで、ちょっとKさんに対して不安を感じるようになった。

畑の取得に関しては、農業委員会に承認されるための手続きが必要。今回、この手続きについて窓口に相談に行ったので、少しは理解したつもり。農地を譲り受けるには、私がちゃんと農地として活用するのかが問われる書類の提出が必要で、現在どのくらい農業をしているのか、今後、年間どのくらい農業に従事するのか、どんな機械や施設を使うのか、作付けする野菜は何か?等々、必要事項を記入して、農業委員会の承認を受ける必要がある。こりゃ、大変だ(汗)

4 それでも契約を考える

農地問題やKさんの対応の不安はあったものの、取得に向けて動いていた。
まずは、補助金。H市の空き家再生事業の補助金を利用検討。空き家の取得と改修で経費の2/3、最大300万円の利用が可能。ということは、500万円を初期投資するとして自己資金は200万円。空き家取得費用が250万円だから、改修の予算は250万円になる。この予算で事業計画書を作成。市役所に電話で問い合わせたときに聞いた内容を中心に書いてみたが、事業計画書を一から作るのは初めて。サラリーマン時代にもここまでの書類は作ったことがなかったなぁと振り返る。
よく分からないなりに、まず現状把握のための情報収集。この事業の目的や内容、今後のタイムスケジュール、収支計画などを盛り込み、ファミレスに通い詰めて、作ってみた。
不動産契約なんてしたことないから、不動産業を営む友人に契約での注意点など聞いたりしたが、知らないことだらけだった。事業計画書もアドバイスをもらって、手直し。
分からないなりに作った事業計画書を片手に、市役所の窓口へ。
昨年度対象となった事業計画書を参考に見せてもらったら、足りないものばかり。。。地域活性化につながる事業内容をしっかり盛り込まないといけないと指導を受ける。それも、具体的な地域の団体やグループへ話を通しておかないといけないらしい。私がこの地域の出身者であっても、長いこと住んでいなかったため、その辺の情報は乏しい。でも、自治会や家族の情報で何とかなるかと思ったら、実際に活動しているグループはあまりなさそう。自治会には情報がないようで、もしかしたらグループを作ることから始めなければいけないかも。作るのはいいけど、事業としては既存のグループと連携が必要らしい。なかなか難しそうだ・・・。
それでも、気を取り直して、事業計画書を練り直していたら、Kさんからいきなり、「母が心配して精神的に追い詰められているようなので、明日手付金を払ってほしい。自分の銀行口座を送るので送金してください」と連絡が。ちょ、ちょっと待って!そんな話はしていなかったし、契約するつもりで動いていたけど、そんな急に。払わないわけではないけど、契約書も何も交わしていないのに、いきなり手付金は払えないことを伝えると、「自分は新築物件をうる会社に勤めていたが、申し込み時に手付金を払うのは普通。10%が難しいなら5%でもいいから」とかなり強引。これには私も「Oさんと会う約束をしているので、そこで相談してからにさせてください。それもできないならこの話を進めるのは難しい」と伝えたところ、しぶしぶ了解され、Oさんに会いに行った。(この時、会う時間までは決めていなかったが、Kさんは「Oさんに何時に会うか聞いたら決まっていないと聞いたけど、大丈夫なのか?」とまで言われて、どんどんKさんに対する不信感が募る)
Oさんに会うまでの数日間で、不動産業の友人に手付金のことについて相談し、仮契約書をネット検索しながら自分で作成。それを持ってOさんと相談。仲介人にはOさんになってもらうことで契約をとりあえず進めることに。ここまでの間にOさんは手付金を支払うことを待ってもらうように説得してくれていた。Oさんは止めると思ってたよ、と言いながら、畑の登記簿を出してくれたりしたが、私もこのまま進めていいのか、その時点でも迷っていた。

5 最終判断

仮契約書は、そのままKさんに送っていただいたようで、2枚返送されてきたとの連絡がOさんからあった。
それまでに、私は、古民家を活用して地域活性化に取り組む女性に会ってヒントをもらった。彼女はコロナ対策の補助金を利用して古民家改修をして、結果的に地域活性化活動をしているバイタリティ溢れた人物。そこでは地域の婦人会がお弁当を作ってその地域で販売している。ただ、保健所の審査に通るキッチンの改修に費用が掛かった。これをコロナ補助金利用しているが、地域の住民が集う場となっている。シェアスペースとして古民家を利用しているので、ヨガや刺繍教室なども行われている。古民家は地域の方に借りているが、定期利用をしているグループがあるので、収支は成り立っているとのこと。
彼女のアドバイスは「屋根の修理」が必要なら、莫大な費用が掛かるから、私がどうしてもこの古民家でやりたいことが明確ではないなら、購入を見直した方がいいかも、と。
ということで、Oさんとの約束の日の午前中に、古民家改修を手掛けている友人と現地で会う約束をした。改修費用がどのくらいかかるのか、ざっくり見積りをお願いした。
詳細は省略するが、予想以上に屋根修理が必要ということが分かった。緊急性はないが、数年のうちにまた雨漏りが起こることを考えると、トタン屋根のペンキは塗っておいた方がいい。そのためには足場を組む必要があり、業者に頼むと、最低でも80万円はかかる。屋根の修理だけで最低でも100万円はかかりそう。浴室に100万円、改修費の残り予算は50万円しかない・・・そんなのすぐに吹っ飛んでしまう。
地域活性化を目的とした補助金を利用するということは、地域貢献事業で儲けを出してはいけないということ。購入後に改修をする必要が出てくるのは目に見えているのに、儲けを出さない事業で改修費を捻出することはできない。補助金利用することが、今後の事業の足かせになり、結局地域貢献もできなくなる。土地所有者への不信感も募ってきている。

その日の午後、Oさんに見積もりの内容を伝え、もう契約はしないことにしてもよいかと伝えた。これだけ動いてくださったのに、申し訳ない。。。
すぐにKさんに連絡をしてくださり、うまく話していただいたようで、電話を替わることはなく、了解されたとのことだった。

Oさんは、その後、他にはないかなぁと資料を改めてみてくださり、賃貸物件があることを思い出され、「今から行ってみよう!」と。早速ついていったが、その物件は今後は貸し出さないことにしたということで、話は進まなかったが、こんなに振り回しておいて、まだ心配してくださるOさん。本当にありがたい限り。

さてさて、まとめて書いたので、長文になってしまった。自分の覚書となってしまっているが、古民家取得の旅、どう展開するのかな?



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