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水星土星の「できる」と金星の「好かれる」を分ける話

2023年3月30日のツイートに加筆修正したまとめ

あー!なんか急に降ってきた。「絵が下手だと見てもらえないしちやほやされないし絵を描くのは好きだけど全然注目されない横で絵が上手で人気の人を見ると苦しいばかりだし」的なやつ、アストロ語彙で腑分けする目処が急についた。水星土星問題と金星問題を分けよう。

あと金星の中の「楽しい・気持ちいい」と「人に好かれる」も分けよう。

あといつもの縦軸横軸問題な!

まず、「客観的事実としての絵の上手下手」と「絵が多くの人に好かれる」は違うのね。重なるところはあるけれど、重ならない部分もある。

「『見て見て!』した絵を見て、それを好いてくれる人」は「客観的に見て絵が上手いから好いてくれた」訳じゃないのね。「他人の主観でその絵が気に入った」の。

「客観的に技術面で上手い絵」は水星とか土星ね。「主観的に魅力的な絵」は金星ね。絵を好いて反応をくれる人は金星で「この絵好き!」と感じてるんであって、水星や土星で評価してるわけじゃないの。採点する義理ないんだから。「見ていて快いかどうか」「好きか嫌いか」であって「上手い」じゃない。

絵じゃなくてピアノでも文章でもいいんだけどさ。自分がヘタクソなうちは「みんなに人気の絵描き/ピアノ弾き/文字書きはみんな自分より絵やピアノや文章が上手い」なもんだから、他人を見るとき「技術的に見て自分より上手い(水星)」と「人に好かれる魅力がある(金星)」をごっちゃにしちゃうのね。

「技術的にそれほどハイレベルじゃないけど魅力的で好かれる絵や演奏や文章」ってあるのよ。「見る聴く読む人が快いと感じやすい/不快に感じづらい」ようなものがあるの。「絵はそんな上手くないけどこの人のマンガ面白いなあ!」とかさ。もちろん技術(水星)はないよりあった方がいいんだけれど。

技術(水星)が高ければ魅力(金星)を底上げしてくれるわけだしね。逆に足りない技術(水星)を魅力(金星)で底上げしてもいいわけなんだけども。

「注目が欲しいなら人気作品のファンアート描いてみれば?」はピアノで言えば「人気アニメの主題歌弾いてみた動画を上げてみれば?」みたいなもんよ。これは水星(技術)を金星(人気・魅力)で底上げするやりかたの方ね。

「技術(水星)を高めて魅力(金星)を底上げする」方向性もある。「元がそれほどでなくとも、お化粧でカワイイは作れるわけだから化粧の技術を磨いて化ける」みたいな方向性。これも悪くはない。むしろ王道。ただし技術(水星)を伸ばすにはそれなりの訓練(土星)が必要。体(月)に覚えさせるから。

技術(水星)を伸ばすのはそれなりの訓練が必要。時間がかかる(土星)。若ければ若いほど、自分の技術が追いつくのを自分で待っていられない、我慢がきかない、すぐ結果ほしい。気持ちだけはわかるよそりゃ。若くて未熟なうちはそんなもん。

でもそこで「最初から才能ある人(まあ『月』の資質で色や空間認知が『秀でている』人はいる)はすぐ人気出る!自分は才能もなければ技術もない、他人から相手にしてもらえない!」と言うのはまあ、キツい喩えだけど「美人だからいいな!化粧うまくていいな!私ブスだからモテない!」と泣くようなもの。

そりゃつらくはあるだろうよ。世の中に美人とブスはいる。とびきり美人というわけではないが化粧の腕で魅力を補っているチャーミングな人もいる。自分には地顔のよさも化粧の腕前もなくて、更に今更腕を磨いても生まれながらの美人よりモテる気がしない……となれば若けりゃ若いほどつらくはあろうさ。

だけど、つらがっている間は魅力が増すこともないんだから、どこかでつらがることをやめて魅力を増やす方向へ切り替える必要があるんだよね。

ってことで再度「金星」の出番だ。他人が「この絵キレイかわいいかっこいい好き!」と感じるのは「上手下手の採点」ではなく「それを見て心が動いたから」だよ。

他人がその絵のどこに心動かされてイイねしたのか、拡散したのか、それは数字には現れない。たまに言語化してくれるありがたい他人もいるけど、大抵はそこまでしてはくれない。

自分はどうかな? 「この人の絵かわいいキレイかっこいい好き!」と思ったとき、必ず心が動いているはずだけど言語化できる?

「自分は何に魅力を感じるのか、いま見た他人の絵や文章のどこに心(金星・美を感じとるセンサー)を動かされたのか」って、自分で追ってる? 金星(魅力)を水星(言葉)で掴まえてる?

そこで掴まえたもの、自分に取り入れようとしている?

「他人に好かれる」とは、「他人を魅了する」「他人の『好き』を掴まえる」こと。他人の「好き」を掴まえるには、まず自分の「好き」を掴まえることから。自分は何に魅了されるの? 何が好きでどんな魅力がほしいの? そこが掴めないと、それを手に入れる具体的な方法論(水星)も見つからない。

なんかだいぶRTされてるんだが(当番比)

広く大勢の人を魅了したい(モテたい、ちやほやされたい)ならば、「大勢の人は何に魅了されているのか」を調べてそこに自分の作品を寄せていくのが近道(それでも多少の時間は必要)。「人気作品や人気絵師はどこが魅力的であんなにも見てもらえるのか」の分析と自作への応用。嫉妬してる暇ないわよ。

まあ今後も比較はしちゃうだろうし、劣等感を覚えたり嫉妬したり羨んだりして「イーッ!」となっちゃったりはするんだろうよ、人間なんだし。縦軸志向で競争心が強めだと特に比較・劣等感・嫉妬・羨望は出やすいと思うしつらいと思う。でも、こういう感情も波があるからさ。マシなときに軌道修正してこ。

縦軸志向で比較・劣等感・嫉妬・羨望が強い人でも、そのこだわりが弱まるときもあるから。そのときに横軸感覚広げてこ。「この人は自分より上か下か」ではなく「この人の作品はどんな魅力でこんなにも大勢から見てもらえているのか」とか「この人の作品のどこに自分は魅了されたのか」とか見ていこう。

まあ、「メジャーに人気なものに自分はさっぱり魅力を感じない。やっぱり自分が魅了されるものは『あっち』より『こっち』で、どうも『これ』を好く人は少ないようだ」とわかってしまったら、もう覚悟して「他人から人気は取れないけれど私はこれが好き」の道を行くだけですわね……それは仕方がない。

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【2024年追記】
「できない自分にイライラしてイーッとなっちゃう」や「他人は『簡単に』達成や注目を得ているように見えて自分と比較してひがんじゃう」については「比較と勝ち負けでものを見ている姿勢と、その姿勢から生まれる不満な気持ちの問題」です。「こういうイライラした気持ちが湧きに湧いて練習が手につきません。どうしたらいいでしょう」と誰に相談しても即効性のある答えも慰めも返ってくることはあまりないです。「その気持ちを噛みしめたり反芻したりすることをなるべく控えて、その気持ちが湧いていない隙をついて練習を再開しよう」くらいしか他人の言えることはないです。それが絵でもピアノでも、他の手先をつかう作業でも文章を書くことでも同じ。

イーッとなる気持ちは湧くときには湧いてしまうもので、湧いてしまえばしばらくはその気持ちに心を奪われてしまってどうしても手や足が止まるものです。人間、そういう仕様であるからこそ、「イーッとなっていないときにやれる『上手くなるための練習法』」を少しずつでも身につけておく必要があります。それがないと結局何をしたらいいのかがわからなくて「イーッとなっていないときはボーッとしている」で何も前に進まなくなるので。

これは「月(赤ちゃん的な自分・ただいまこの瞬間のお気持ち)」と「太陽(おとなの自分・理想としてはどうなりたいのか)」の折り合いの話。太陽の理想へ近付くには技術(水星)を身につけることが必要で、それは「この瞬間のお気持ち」である月に耽溺していたら身につく時間がない。月が泣き止んでいる隙をついて少しずつトレーニングする。

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