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アルゼンチンの「豊かさ」について考えた @Buenos Aires

Hola, Mika ち!元気?
あなたは今、いつものように一人旅ではなくて、あなた自身の家族とヨーロッパにいるということが不思議なような、嬉しいような、どんな日々を送ってるんだろう?何を感じてるんだろう?、と興味深々です。

あなたの、あんなに素敵な文章を読んでから、「豊かさ」について色々ずーっと考えていたのだけど、例えば今日のアルゼンチンの空の青さを見せてあげたいなぁ。


決して写真に収まることのないこの国の空は、この地に足を踏み入れた移民の誰もが心奪われたこそ、国旗にもなっているのだと思うのね。
私、アルゼンチンの国旗の水色と雲の白、ぎらぎらした感じの太陽が、でも少し上品に気取って真ん中にいる感じが大好き!

この国の豊かさ、それは私が大好きなトコロということになると思うのだけど、一つは「何か特別なコトをしないで幸せを感じられる瞬間が多い」ことかな。

例えば、友達に会うにしても「何をする」とか「どこに行く」っていうのは大事じゃないんだよね、ただ休みの日の午後に、近所の緑の多い広い公園に行って、マテ茶を回し飲みしながらボーっとしたり、とめどなくおしゃべりしたり、日が暮れて少し寒くなったら、「じゃ、そろそろ帰ろうか?」っていうそれだけ。

こっちの人は動物が大好きだから、彼等も“ペット”というよりは家族か友達の一人という感じで気ままに楽しく過ごしてる感じで、そんな家族だったり友人達だったり恋人同士がのんびり、何もすることなく時間を過ごしているのを見ると、「本当に豊かな国だなあ」って思うんだよね。
(実情としては日に日に生活が苦しくなってる人が大半という事実はあるのだけど。。。)

それが首都のど真ん中であれ、田舎のひたすら平原が広がる場所であれ、皆のその感じは何も変わらなくて、お陽様の光を求めながら過ごすそんな日曜日が一番幸せだな、って感じるんだ。

あとはね、いつもMikaちと話すように、いつでもどこでも音楽や芸術が街中に溢れてるのは素敵だよね。
外の景色が見えない地下鉄はあまり好きじゃないんだけど、いつだって車両には思わず苦笑してまう程下手くそな大道芸人的な人から、何でこんなとこでこんな美しい音楽に出逢えていいんだろう、と感謝してしまう程のミュージシャンまでいるのには驚かされるし、そんな下手っくそな人さえ必ず笑顔で見守って、幾らかのお金を渡してる人がいるのを見るのも好き。

踊り出しちゃう乗客の女の子達がいたり、物乞いですら「上手いな、この人!」って思う様なスピーチをしてる人には思わずお金を渡しちゃうのも楽しい感じ。

あとは、「自分も他人も卑下しない感じ」は“豊かさ”だよね。
さっきもね、お父さんが娘ちゃんを肩車しながら
「君はこの国で一番の美人さ~ん♪」って歌いながら歩いていって、いいなあ、全世界に向けて「君は素晴らしい!」っていってる感じ!って思ったんだ。

日本だと四十を迎える女=おばさん、なんて馬鹿にされたり自分で嫌になったりする風潮もあるのかもしれないけど、昨日も「こんなに若くて綺麗で、他に何を求めようってんだ!?」と言われて、有り難いことだわ…。と感謝したよ。

あとは何と行っても、100年前とかの豪華で華麗な装飾のあるヨーロッパ風の建築物とか大好きなんだけど、これって「歴史から来る豊かさ」だよね。
これは日本なんて全然負けてなくて、アルゼンチンはヨーロッパの歴史が持ち込まれたから、この美しさがある訳で、日本の千年以上の歴史の上に成り立つ美っていうのは、どの国にも負けないと思うんだ。

新しくて清潔なものが好きで、古臭いものは少しずつ消えて行くのはどの国も同じかもしれないけれど、四角いだけでのっぺりしてて、味気ないツルツルのビルやマンションが立ち並んでいくのを見ながら寂しくなるよ。
きっと日本にいる外国人もそう思ってるんだろうな、と思いつつ。

そして最後に「ひとりぼっちにさせてくれない温かさ」かな。
寂しがり屋の独り好きとしては、たまに「ほっといてくれていいんだけどな…。」と思わなくもないけど、この国はイベントごととかでお店とかで独りで座ってると、「独りなの?私達の席に来る?」って声かけてくれる人が必ずいるんだよね。
私が外国人というだけではなさそうで、例えば誰かといた席で友達とかが先に帰ってしまって独りになる人がいると、「私達の席に来る?」って声かけてるし。

生まれた時から家族や友達とわいわいしてるこの国の人達には独りって結構耐えがたいみたいなのよね。
日本に来てたラテン圏の先生達もいつも私達の受付の横に遊びにきておしゃべりしてたのは、独りでいたくないからなんだよなー、っていつも思ってた。

世界のシステムやサービスが均一化していけばいくほど、それぞれの文化の良い部分が消えていくのかもしれないな、と心配になるのだけど、この国も本当の「豊かさ」をどこに見出していくかで大きく変わってきたし、更に加速してしまうのかもしれないな、と思うのだけど、私が大好きなラテンな人達ののんびりした感じ、家族や友人を大切にする感じ、なくならないといいな、と心から思う日曜日でした。

ところで、安倍さんとトランプさんの会見観て、すごく嘘っぽい笑顔をたたえてる安倍さんより、苦虫をかみつぶしたような顔のトランプさんの方がまだ好感が持てる気さえしたのは、私がアルゼンチン人化してるからかしら?

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