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(連載)ポジティブ心理学第4回「古代から続く幸福への探究」

第3回では「幸福の要素」ということをお伝えしました。
幸福の要素の中で、自分で変えられない生まれ持った要素もあるけれど、いくらでも変えられる要素もたくさんある、ということ。
今回は幸せの種類、についてのお話です。
では、さっそく、その扉を開けてまいりましょう。

幸せの種類

さて、幸せの要素は大きく3つ(S、C、V)に分けることができるというのが前回のお話でしたが、幸せの種類はどうでしょうか?
幸せの種類は大きく分けて2種類あると言われています。

その幸せの種類は
ヘドニア
ユーダイモニア
です。
実はこれはもともと古代ギリシアで唱えられた概念で、アリストテレスがその大切さを提唱しました。古くから人は「幸せ」について考えていたんですね。
そして現代も変わらず人は幸せについて考えている。そう考えると古から人の心はずっとつながり続けているような感覚を覚えます。

ヘドニアは「快楽の幸せ」です。
例えば美味しいものを食べたとき、お風呂にのんびり浸かったとき、友達とおしゃべりしているとき、など主に五感を通して感じる幸せです。たいていが短時間で幸福感が消えてしまうのがヘドニアの特徴です。
よくパーティが終わった後にポツンとした気持ちになったりすることがありますが、それがヘドニアが消えることで生じる感覚ということでしょうか。きっとパーティの間はヘドニアを感じていたということになりますね。

私が挙げた3つのヘドニアは
◆布団に入りながら眠るまでの20〜30分ストレッチや軽いヨガをしているとき
◆家に帰ってきて、ご飯食べながら母と話すひととき
◆時間を気にせずに過ごせる休日

ユーダイモニアは「強みを活かし意義あることに打ち込む幸せ」です。
例えば何かを目指して勉強しているとき、ピアノコンクールで優勝するために練習しているとき、などに感じる幸せで、こちらについては長時間続くことが特徴です。また、気持ちとして苦労や困難を伴うこともありますし、ある程度長い期間打ち込むことで幸せを体感できるものがユーダイモニアです。

私が挙げた3つのユーダイモニアは
◆資格取得のためや仕事のための勉強をしているとき
◆本を読んでいるとき
◆仕事だと「形作る」ような作業をしているとき。例えばパワポで資料を作るとか、ディスプレイのための材料を作ったりとか。形として見えるものが私は好きなのかなと思います。

2つの幸せのバランスが大事

「快楽」と聞くとヘドニアが悪いもののように感じてしまうのは勤勉な日本人だからでしょうか。なかなか快楽という言葉は受け入れられにくいものですが、実はどちらも良い悪いというものではありません。
例えば、ユーダイモニアを追求する中で苦労や辛い思いもありますが、そんな時にヘドニアによってやる気が復活したりもします。
まだ、ヘドニアが何らかのきっかけとなって、ユーダイモニアにつながっていくこともあります。ヘドニアを感じている時というのはネガティブ感情よりもポジティブ感情が高まるので精力的に何かに取り組みたい気持ちを高めてくれたりもします。
だから、どちらも持っていて、バランス良く幸せを感じる方がいいのです。
「小さな幸せ」の積み重ねが「大きな幸せ」も運んできてくれる、そんなイメージでしょうか。

ヘドニア、ユーダイモニアへの依存は怖い結果に

一見ヘドニアかと思われるようなものでも中毒や依存症に結びつくものもあります。
例えば、大量の飲酒、ギャンブル、薬物などは、最初はちょっとした軽い気持ちで手を出し、繰り返すうちに抜け出せなくなります。これは本当のヘドニアではありません。

一方、ユーダイモニアにも本当ではないものがあります。
その代表例が「やりがい搾取」と呼ばれるもの。
これ、以前からけっこう問題になってますよね。

やりがい搾取とは、自分の生きがいややりがいといった「自己実現の欲求(マズローの欲求5段階)」を周りが悪用することです。結果として例えば企業なら「やりがい」を振り翳して安い賃金で働かせたり、とか。
これ、自分でも全然気づかないことがありますよ。
実は私も自分自身で経験したことがあります。うまいこと心の操作されてんじゃないかな、、、と気づ毛羽いいけど、もし気づかないまま数年数十年と進んじゃうと自分で自分を見失いますから、今振り返るとすごく怖いものです。
「やりがいある仕事を任せてもらってるから、どんな環境が悪くても自分は幸せなんだ」と思い込んでしまうんです。これは本当に怖いこと。一度ハマるとここから抜け出すのもかなり大変です。
なので、あなたが今持っている「やりがい」が本当に自分が望んだ形なのか、よく考えると押し付けられたやりがいではないか、立ち止まって考えることもとても重要ですよ。

ヘドニアもユーダイモニアも本当に自分の欲しているものなのか、本当に自分の心から湧き出ているものなのか、見極めながら幸せを探究していくことが大事ですね。
そして、もし古代の人々が「幸せ」や「心」について探究することをしなかったとしたら、、、もしかすると、現代でここまで哲学や心理学というものが発達もしていなかったのかもしれません。時の流れと人のつながりというのは本当にすごいパワーをもたらすものなんだな、と勉強しながら感じました。

ということで、長々とお付き合いいただきありがとうございます。
第5回も続きます。
またお会いできたら嬉しいです。

あなたの幸せを願っています。

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