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【お礼】アナグラム歌会によせて

先月末まで行われていたみえるさん主催の「アナグラム歌会」にて、参加させていただいたアナグラム詩『季節のめぐり』を「みえる式部賞」にお選びいただきました。
企画・運営をされたみえるさん、拝啓あんこぼーろさんあきやまやすこさん、この歌会に関わられたみなさまに、心から感謝申しあげます。

参加させていただいたのは、自由に設定したお題のフレーズを任意の回数繰り返し、その中に使われている文字を使い切って別の言葉を作る「みえる式部部門」。詩もアナグラムも初めてだったのですが、書き始めると時間を忘れてのめり込みました。使いたい言葉をまずは作って、残った文字を整理して、その中からさらに言葉を作り出す。普段の文章ではあまり使わないような凛とした言葉に出会えたときの感動は、まるで宝探しのようでした。久しぶりに開いた広辞苑のいい香りにうっとりしながら、改めて「日本語」の美しさを味わうひとときを過ごしました。

歌会の最後にいただいた「みえる式部部門」と「やすこ納言部門」の作品をまとめた詩歌集のデータも印刷して、さっそく製本しました。切って折って貼って、と作業をしながら、普段何気なく手に取る「本」への愛おしさがこみあげました。表紙とページの間には、みえるさんがまとめてくださった「アナグラム歌会流星群」のページにちなみ、きらりと眩しい黄色の遊び紙を忍ばせて。余白の中にたたずむ言葉の美しさは、また格別です。

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今回「アナグラム歌会」に参加させていただいて感じたのは、限られた文字数の中での表現の難しさと奥深さでした。いろは唄でもリフレインでつくる詩でも、透明だったり、ぱっと鮮やかだったり、鋭かったり、出来上がるものには決して真似出来ないそれぞれの世界がある。みえるさんが編んでくださった「詩歌集」のページをめくりながら、世界を縦に、横に、斜めに切り取る「そのひとらしさ」溢れる作品の世界に、今も浸っています。


最後に、「みえる式部賞」のサポートで購入させていただいた『たやすみなさい』(著:岡野大嗣)から、心奪われたものをいくつか。

夏空はいちめんソーダフロートでぼくらは底にいるさくらんぼ
缶コーンスープのプルタブを立てて路地に空気の甘くなる夜
駅前に本屋があるということの概念をわれわれは愛そう

詠われるのは「知らないのに覚えがある、知っているのに覚えはない」(あとがきより)光景。ひとつひとつの短歌が切り取る世界があまりにも鮮やかで、短歌ってこんなにすごいんだ……!と、どきどきが止まりませんでした。けれど、きっとこんなにわくわくしながらページをめくることができたのは、「アナグラム歌会」で「限られた文字数の中での表現」の難しさを身をもって感じていたから。改めて、新しいジャンルの「書く」を経験させてくださった素敵な企画に、心から感謝申しあげます。

今回の「アナグラム歌会」は終了したけれど、引き続き作品は受付中とのこと。またぜひ、参加させていただこうと思っています。

みえるさん、みなさま、本当にありがとうございました!

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