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そっと支える【感想文の日 59】

こんばんは。折星かおりです。

第59回感想文の日、今夜感想を書かせてくださったのは雅樹(かつお)さんです。

雅樹さんはこれまで9回にわたって、「推し記事」を募り、おすすめ・サポートをする「サポート企画」を開催されています。私も以前取り上げていただいたことがあったのですが、今回改めて記事を拝読し、企画のパワフルさに圧倒されました。そのほか、現在お住まいの地域での取り組みやお好きだというビールのお話など、記事の内容はとっても彩り豊か。一週間、楽しく拝読いたしました。改めて、ご応募くださりありがとうございます!

それでは、ご紹介いたします。

■「乾杯」って「キス」みたい。

友達と、先輩と、後輩と。これまでに数えられないほどの乾杯をしてきた、お酒が大好きな雅樹さん。失敗もたくさん経験したけれど、今ではお酒を「美味しく嗜む」喜びを感じているのだと言います。そして年月を経るとともに変わったものが、もうひとつあったそうで……。

今回拝読した中で、個人的に一番ぐっときた作品でした。冒頭で語られるのは「何千回とやってきた」というテキーラでの乾杯。

レモンをかじって口の中をさっぱりさせる。
それでも口と鼻から「ムワー」っと
テキーラ独特のアルコールの匂いが溢れる。

テキーラが喉元を通り過ぎ、身体の中心がぐっと熱くなる感覚がこちらまで伝わってきます。賑やかなこの乾杯はきっと、友達とのものでしょう。

しかし、結婚されて家族が増えた今、「乾杯」は全くの別物だと雅樹さんは感じているそうです。子どもたちが寝たあと、奥さまとふたりで、ちょっぴりいいグラスとお酒で。早く帰ることが出来た日には、水の入ったグラスを持った子どもたちと。

「乾杯」って「キス」みたい

夫婦二人でゆっくりと過ごす時間も、子どもたちと賑やかに過ごす時間も、確かな「愛」がそこにある。おいしいお酒を飲んだときのような、心地よい温かさが残りました。

■3歳の息子から「財布が欲しい」と言われ、泣きそうになったお話。

「ぼくね、おさいふが欲しいの」。3歳の息子さんの突然の告白に、雅樹さんは衝撃を受けたそう。しかし雅樹さんはその理由を聞き、「なるべく早く、買いに行こうね」と約束をします。自分の気持ちを言葉にしようとする息子さんの様子を見つめ、丁寧に対応する雅樹さんの愛情が溢れる、素敵なお話です。

3歳の息子さんが切り出した、「おさいふが欲しい」という願い。驚きながらも、息子さんの思いをじっくりと聞き、その様子を細やかに切り取る雅樹さんのまなざしが印象的です。

少し恥ずかしいのか、
遠慮をしているのか、
いつもよりも弱々しい口調で、

この言葉を発するまでの彼は、
見たこともない表情をしていた。

自分の中にある気持ちをを、ゆっくりと言葉にしてゆく息子さん。彼が口にした理由に、雅樹さんは心打たれたそう。


「おかねを貯めて、パパとママにお土産を買ってあげるの」

何て可愛らしい理由なんでしょう!3歳にして「おさいふが欲しい」と思うなんてしっかり者だなぁ、と読み進めていたのですが、その中に隠されていた息子さんの願いに、思わずきゅんとしました。

その思いに応えることを決めた雅樹さんは、1週間後、息子さんとともにショッピングモールへ出かけます。

「子供用の財布」ではなく、紳士服売り場で財布を探しました。

雅樹さんが選んだのは、おもちゃ屋さんやこども服のお店ではなく「紳士服売り場」。息子さんの思いを尊重しようとする雅樹さんの姿が伝わり、心をぐっとつかまれました。

息子さんが選んだのは、キャラクターものではない、ブラックのシンプルでコンパクトなお財布。裏面のカードポケットには、トーマスのカードを入れることもあるそう。3歳らしいふるまいもまた、とっても可愛らしくて頬が緩みます。

当然、僕もまだまだ勉強中。
1つずつ、ゆっくり、楽しく、
一緒に学んでいこう。

「1つずつ、ゆっくり、楽しく」。雅樹さんの思いがひしひしと伝わる優しいお話、ぜひ読んでみてくださいね。

■遺してくれた言葉を肚に。

義理のおじいさまが亡くなられる前、最後の力を振り絞って雅樹さんに遺した大切な言葉の数々。何度も聞いた言葉でも、出会って数年しか経っていなくても、必死に交わした言葉は雅樹さんの心にいつまでも残っています。まっすぐに、飾ることなく綴られた言葉が胸に迫るエッセイです。

最後に、雅樹さんも「今一度見つめなおしたい」とコメントを寄せてくださったこちらのお話を。

何度も聞いた言葉だが、
最後に、ふり絞る声で放たれたこの言葉は
重みが違った。全然、違った。

写真を交えて紡がれる、義理のおじいさまとのやりとり。声を出すことも辛いはずだけれど、おじいさまは亡くなられる前、10分も雅樹さんに話をし続けたそうです。

「でも、もっと大事にしなくてはいけない人がいる」
「それは、雅樹君、君自身だよ」

雅樹さんの手を握り、話し続けるおじいさま。雅樹さんも、必死に耳を傾けます。

会話の半分以上は、聞き取れなかった。
でも一言一句聞き逃さぬよう。忘れぬよう。
必死で聞いた。

出会ってからの時間は、わずか5年。義理のおじいさまと雅樹さんが過ごした時間は、決して長くはありません。それでも、雅樹さんの誠実な振る舞いを、おじいさまはしっかりと見つめていらっしゃったのでしょう。

雅樹さんやお子さんの手を握った写真はもちろん、見出し画像に使われているピースサインのおじいさまの写真がとっても素敵。作品を拝読したあと、改めて画像を拝見しました。「我慢・辛抱・忍耐」と雅樹さんに何度も伝えてこられたおじいさま自身も、きっと「我慢・辛抱・忍耐」を「肚に落とし込んで」過ごしてこられたはず。受け継がれ、巡る思いに熱いものがこみあげました。

***

今回のご紹介をもって「感想文の日」はお休みをいただきます。また再開する際には、改めてご案内いたします。

読んでくださったかた、ご参加くださったかたみなさまへ、心からの感謝を込めて。

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