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さらさらと流れる【感想文の日㊵】

こんばんは。折星かおりです。

第40回感想文の日、今夜感想を書かせてくださったのは春野うみさんです。

現在大学生の春野さんは、大学の授業がオンラインになって時間に余裕ができたことから「思ったことを日記感覚で吐きだす場に」とnoteを始められたそう。思い入れのある映画や音楽のことなどを綴る言葉はどれも瑞々しく、流れるように入ってくる心地よい文章をたっぷり楽しませていただきました。改めて、ご応募くださりありがとうございます!

それでは、ご紹介いたします。

■飛び跳ねて叫びたい!

昨春の外出自粛期間中、アニメや映画、アイドルの動画などを見て、おうち時間を満喫していたという春野さん。もともとインドア派で外出の自粛は苦ではなかったけれど、唯一「外出」を伴う趣味を我慢していたのだとか。それは「ロックバンドのライブに行くこと」。こちらのnoteでは、2019年に参加したという「忘れられないライブ」の興奮と、ライブハウスへの愛情が熱く描かれています。

狭くて、爆音で、ものすごく楽しい!

ライブ会場ならではの身体の奥まで響く音、くらくらするような熱気。直接味わうことができなくなって久しいけれど、それが目に浮かぶようなまっすぐな言葉が素敵です。春野さんが「忘れられないライブ」と綴るのは高校生の頃にYoutubeで見つけたバンド『ハルカミライ』の幕張メッセワンマンライブ。上京したら絶対ライブに行くと決めていたとのこと、初めて目にしたときの喜びはきっとひとしおだったと想像します。

ぎゅっと集まりもみくちゃになったファン。広い広い会場に満ちた、誰かのくしゃみも聞こえてしまいそうな静寂。観客の大合唱に立てた鳥肌。ライブ後半年が経っていることを感じさせない、フレッシュな描写が光っています。そして、中でも魅力的だったのがこちら。

ポエマーみたいと笑われるかもしれないが、あの日、知らない人たちにもみくちゃにされながら私は本当に今まで生きてきたことに、ハルカミライに出会えたことに感謝したのだ。

いつかまた必ずやって来る、「爆音の中で笑える日」。思い出のライブを振り返ったり、今だからこそ出来る方法で応援をしながら、その日を楽しみに待ちたいと思います。

■井の中の蛙、働いて大海を知る

大学1年生の4月、春野さんは近所のお寿司屋さんでアルバイトの面接を受けました。初めての回らないお寿司屋さんや履歴書に緊張していたけれど、拍子抜けするほどあっさりと合格。ホールとキッチン業務全般を担当する、怒涛の日々が始まります。しかし、1カ月ほどするとむくむく沸き上がってきたのは「辞めたい」という気持ち。その気持ちを乗り越えて、今どんな思いでアルバイトを続けているのか。春野さんの視点で「はたらく」を切り取った、爽やかな作品です。

初めてアルバイトをしたとき、私もつまづきました。パートさんとぎくしゃくしてしまったり、イレギュラーな対応であたふたしたり。先輩から怒られて、電車の中でぽろぽろ泣いていた日もあったなぁと懐かしく思い出します。こちらの文章の中で、春野さんはアルバイトで感じた苦しさをこのように描いています。

使えない奴だと思われたくなくてわかったふりをしては失敗したり、焦って注文を取り違えてしまったりと、先輩と同じように手際よく仕事をできない自分が嫌になってしまった。高校生まで優等生で通ってきた私にとって、仕事ができない自分を認めることが一番つらかった。

隠すことのないまっすぐな思いが、鋭く刺さります。これまでうまくやって来られたからこそ感じる痛みは、苦しいですよね。

それでも「まずは三カ月」と決めて頑張っているうちに、徐々に常連さんとのおしゃべりを楽しめるようになったり、お給料が増えたり。今も同じお寿司屋さんでアルバイトを続けている春野さんは、アルバイトを始めた頃とはまた、違う思いでいるようです。

私は自分が思うより仕事ができないし落ち込むことも多いけど、「はたらく」っていうのはそういう壁にどんどんぶち当たっていくことなんだと思う。壁に当たるたびに自分の欠点が見えて、乗り越えるときにまた一つ強くなる。

壁にぶつかるとつい落ち込んでしまうけれど、それが「はたらく」ということ。力強い言葉に、こちらの背筋もぴんと伸びる心地がしました。

■友達になりたい「数字」を決めよう!

私たちの身近にある1~9の数字と、もしも仲良くなるとしたら……?一匹狼、理想の上司、甘え上手な年下タイプなど、春野さんがそれぞれの数字のプロフィールを作成。無機質な数字が何だか可愛らしく見えてくる、楽しい作品です。

最近はいろいろなものが擬人化されているけれど、数字は初めて拝見しました!まっすぐなところがあったり、ころんと丸い部分があったり、その部分を本当に見事に性格として表現されています。

「2」
地に足がしっかりついた形からもわかる通り、ちょっとやそっとのことでは揺るがない土台があります。しかしただ強いだけではなく、新しいことをどんどん取り入れられる柔軟性もある数字ですね。理想の上司像だと思います。
「4」
直線で囲まれた部分から分かる通り、自分の内に秘めた感情をあまり他人に見せたがりません。また、少し神経質で、恐らくプリントを1ミリのずれもなく折るタイプです。人に厳しく、自分にも厳しいストイックな数字なのではないでしょうか。

春野さんは「5」「8」と友達になりたいそう。私は「2」と「3」かな、と思っています。ほかの数字もぜひ、春野さんのページで読んでみてくださいね。

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毎週土曜日の「感想文の日」、感想を書かせてくださる方を大募集しています!(記事の公開日を1~2日程度調整させていただく場合があります。現在、4/10以降の回を受け付けています)

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