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ドイツの幼稚園に入れたらこんなことがありました④

今回も、転園する前の最初の園でのエピソードを書きたいと思います。元々小規模の園でしたが、娘が3歳の時に、新しく4人の子供たちが入ってきました。

その子たちは、シリア難民の子供たちでした。

6歳の女の子2人と男の子1人、そして5歳の女の子1人が加わりました。

その子供たちが初めて園にやってきた日の午後、私が娘を迎えに行くと、私を見て男の子はビックリし、女の子たちは好奇心たっぷりの目で見ていました。おそらくアジア人を見るのが初めてだったのでしょう。アラビア語で何やら話していました。

男の子は少し内気な感じでしたが、女の子たちは皆明るい感じでした。その後、子供たちは園の雰囲気にも少しずつ慣れていったようでした。

しかし、先生はドイツ語で話しかけるので、子供たちとの意思疎通は、しばらくは難しそうでした。

子供たち同士はアラビア語で話してしまうので、先生からアラビア語は分からないわ、と言われてしまう場面もありました。

しかし、時間が経つにつれて、特に女の子たちのドイツ語が段々と上達してきました。男の子はまだ単語1つでどうにか伝えようとしていました。

娘を迎えに行った時に、女の子たちに話しかけられることもありました。そして、私の娘がどこの部屋にいるか教えてくれました。

そんな中、園で保護者参加のイベントがあり、シリアの親御さんたちも参加していました。もちろんドイツ語は話せないのですが、ジェスチャーで他の親御さんともコミュニケーションを取っているようでした。

私もその中の1人のお母さんと隣同士になった時、少し話す機会がありました。もちろん言葉としては分かりませんでしたが、シリアでは爆撃があって大変な状況だったということを伝えてくれているようでした。

それまで日本に住んでいて、難民の方と接する機会というのがなかったので、ニュースを聞いたりしても実際のところを理解することはできていませんでした。

しかし、このように国外に逃れてきた難民の方と話す機会があり、言葉も分からない国で、家族親戚身を寄せ合い生活をしていく、ということが部分的にですが、どういうことなのか感じる取ることができました。

ただ、4人中3人が6歳なので、数ヶ月後には小学校入学ということになります。ドイツは1年遅らせて7歳で入学することも可能です。
今後もドイツで生活していくのなら、子供たちはやはりドイツ語ができるようにならないと厳しいだろうなと思いました。

上達できるかはもちろん子供のセンスにもよります。しかし、ドイツにいるからといって、全員が全員ドイツ語がドイツ人と同じように上手に話せるようになるか、それはそんなに簡単ではありません。

小学校の先生をしている知り合いのドイツ人とお話した時は、移民の子供でドイツ語と母国語を同じレベルで話せるようになる子は少ない、と言っていました。

色々なパターンがあるようですが、

ドイツ語はある程度できるようになっても、ドイツ語モノリンガルのレベルにはいたらない子

ドイツ語はドイツ語モノリンガルのレベルと同様になるが、その反面母国語を話したがらなくなる子(この場合、親とのコミュニケーションに問題が生じる)

などがいるそうです。

そして、もっとも良くないパターンが
ドイツ語母国語共に中途半端なレベルでしか話せない子
いわゆるダブルリミテッドと言われる、どちらの言語も未発達、中途半端という状態です。

今まで、バイリンガル教育の本を読んでいて、ダブルリミテッドという言葉が出てきた時、何で母国語も中途半端になるのか理解できませんでした。

しかし、家で親と話す会話で出てくる単語や言い回しは限られていますし、日常会話は何となくできても学校で教科として教わらないと抽象的な表現や新聞に書かれているような内容を理解できるようにはならない、ということをドイツに来てから初めて理解しました。

もちろん園に来た難民の子供たちのドイツ語レベルが、その後どこまで上達するかは分かりません。しかし、相当の努力が必要なことは間違いありません。

私は、難民問題や移民問題など専門家でも何でもないので、詳しい現状や対応策については分かりません。しかし、ドイツでの経験は、ほんの少しですが、実際の人々に触れ、どういう問題なのか理解するための視野を広げてくれたと思います。

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