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長男1回目 3

なぜ学校に行かないのか

子供が「学校に行きたくない」と言った時、大半の親は多かれ少なかれ焦るだろう。このまま不登校になったらどうしよう・・・と恐れ、その事実を認めたくないと思うのは当然のことだと思う。
体が弱く、学校になかなか通えなかった私は「学校に行くことは良いこと」という概念を持っていた。だからなおさら、自分の子供が休むことに恐怖心に似た感情を抱いていた。

長男自身にぜんそくなどの目立った身体症状があれば、もちろん無理させずに休ませていた。
が、観察していると、ぜんそく以外の身体症状の場合は午後を過ぎるとほぼなくなり、夕方から夜にかけて、元気いっぱいになる。
食欲も旺盛、ゲームを止めるよう声掛けしても延々止まらない。(一応当時は1日2時間までという約束をしていたが、コソコソやっていた)

当然、夜になればなるほど元気にゲームをしている姿を見て、仕事から帰宅した彼の父は怒った。
「長時間ゲームしてるから、朝起きられないんだ!!」

最初の頃は、私もほぼ同様の対応だった。
朝、何度起こしてもグズグズ動けない長男を無理矢理引っ張り起こして、服を着替えさせた。でもどんどん時間が掛かるようになり、さらに朝ごはんも食べられなくなっていた。
その姿はやはり父の逆鱗に触れる。
朝から怒鳴り声。それに対する長男の泣き叫ぶ声。逃げて隠れる次男。
阿鼻叫喚。

さらなる追い打ち

人は、理解できない出来事に遭遇すると、どうするだろうか。
まずは自分の脳内にある知識や、膨大な過去の経験をひっくり返して、理解できるヒントを探すのではないだろうか。似たような事例や経験に結び付けて、自分のわかる範囲内で答えを出そうとする。
それが自然の摂理なのかもしれない。

「学校に行かない」という選択肢がそもそも自分の脳内にはなかった親にとって、長男のそれは理解不能だった。
最初に、無理矢理結び付けて捻りだした原因は「ゲームのやり過ぎ」という短絡的、かつよくある回答になった。
当然のようにゲームを長男から取り上げる戦法に出た父親に対し、長男は絶望と反発心しか持たない。が、その頃にはすでにパワーもなくなってきていたのだろう、泣き叫ぶこともないまま、目からはどんどん光が消えていくのがわかった。

私はこの時になってやっと、このままではいけないと思った。
もしかしたら「ゲーム」が悪なのではなく、何か別のことが長男の中で起きているんじゃないだろうか。
基本的にワンオペでここまで来ていた私にとっては、父親のようににわかに子供の様子を見ているのとは訳が違うという自負もあった。
感情が止まったようになってしまった長男の替わりに、私が闘い、しっかり時間を守らせることを条件に「ゲーム」を取り返した。

なぜそうしたのか。
もちろんどれが正しかったかなんて、今でもわからない。
ただ、長男がイキイキしている場が、その時は「ゲーム」にしかないように見えたから。
それを取り上げるとすべてが崩れ去りそうな気がしたからだった。


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