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詩 「浜辺の猫」(詩は無料で読めます)

 かつて私は小さい頃

 浜辺で猫の最期を見た

 誰もいない浜辺で

 それはただぽつんといた

 もくずに見紛うような

 そんな儚くも

 綺麗とは言えない猫だったけど

 私は幼心に

 何にも負けない美しさを感じた

 月の灯りを頼りに

 人のアスファルトで爪を削りながら

 よろよろと頼りない足取りで

 最期の場所に向かう

 果たしてその砂浜は

 思い出だったのか

 憧れだったのか

 それとも未開の地だったか

 その猫がなぜそこを

 選んだのかはわからない

 だけど絶対に

 この猫は偶然じゃなく

 この砂浜を選んだ

 冬の薫る冷たい浜で

 たった独りで

 願わくば私も

 その隣で眠りたかった

 この猫はきっと私だから

 今もその姿が

 脳裏に焼き付いて離れない

わたくしの解釈

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