見出し画像

猫に服を着せる

そう、猫に服を着せる、です。

ぼんちゃんの左足のがんが大きくなるにつれ、腰とお腹の腫瘍も少しずつ大きくなり、残念ながら、背中の方は血が滲むようになりました。ぼんちゃんが舐めてしまったのもあります。

がんに侵されたところの皮膚は再生力が弱く、そのうち、患部はむきだしの状態になります。

前回記載したように、滅菌パッドと薬で処置をして、キネシオロジーテープで止めるのですが、これが安定しない。まず周辺の毛をバリカンで刈り落としてもらうのですが、それでも安定しませんでした。

しっかりと保護されていないと、患部を舐めたり、モノに擦れたりして菌に感染し、患部が化膿するとやっかいです。エリザベスカラーをつけるよう提案されたのですが、カラーはいろいろと私たちの状況には使えませんでした。

まず、カラーを嫌がりました。そして、カラーを常時つけていると、食べたいと思う時に食べることができず、食べようとする意欲とその機会を逃してしまうのではないだろうか?と恐れたからです。さらに、足の腫瘍のせいですでに歩くことに支障がありましたが、カラーをつけるとバランスを崩して、さらに歩けなくなりました。

そういうわけで、ガーゼを安定させるために胴着を着せることを選択しました。


画像1

初めて胴着を着た日。さんざん大騒ぎした後。私の腕には深い爪痕が残りました・・・。肩の部分で毛糸を絞って調節するタイプです。


胴着は多分市販のものがあると思いますが、我が家では必要になった時、いつもこんな風に古着を利用して作ります。

画像4

この子のために作った5枚。作ってからも、痩せていくので丈をつまんだり、脚が出る部分は伸びてくるので、ステッチを加えたりと、微調整が必要になりました。


素材はできればウール、薄手のハイゲージのニットを使用します。ニットは伸縮性があるので体にフィットするのと、ウール素材は保温と吸湿性に富むため、猫も気持ち良いと思います。

ところで、いぬやねこを飼っている方はすでにご存知だと思いますが、タオルやシーツに毛布類そして古手のニットなどは、猫が病気になったり怪我をすると、結構使うことがありますので、我が家ではいつも数枚づつストックしておくようにしています。猫は肌触りの良いものを好むので、そうしたものがあれば尚良いと思います。


画像3

足を噛んだり、腰やお腹を舐めようとして怒られると・・・・。こんな風に顔を隠しました。おかしいやら悲しいやら、胸が痛みました。


これらの胴着は実はとても簡単に作れます。ただ、丁度良いサイズに作るのにはちょっと工夫が必要です。試着してくれるようであれば、それが一番なのですが、ぼんちゃんはとにかく嫌がったので、軽く体にあてて目分量で作りました。

身頃の部分の前と後ろでそれぞれ1枚ぐらいの検討ですが、もともとの衣類のサイズやデザイン、そして猫の体長や体重によって違うので、実際にあわせてみるのが一番です。

毛並みの方向のせいで、どのようなものでも、胴着の類はお尻の方に向かってずれてゆきます。肩のあたりで、ある程度、また苦しくない形で、止まるようにするのがなかなか難しいです。猫の胴着は前脚、後脚の4つの穴が必要です。(前脚あたり、肩周辺からお腹までをおおう必要がある場合は、ひょっとしたらジャケットだけでもいけるのかもしれませんが、下肢の場合は、どんどんずれて脱げてしまいますので脚穴は四つ開けます。)


画像2

これは一番最後に作ったもの。肩の部分がラグランになっています。これが一番フィットしました。痩せて小さくなったので、脇のところで丈をつめて体にあわせるようにしました。


胴着は、血がついたり、トイレで失敗したりと、汚れることが多いので、着替えが必要になります。足の包帯を引きちぎって、血だらけになったことも何度かありました。そんな時、さらに、トイレで汚すことが重なったりすると、2枚ぐらいでは全く足りなくなってしまいます。すぐに洗って乾かすようにして、最低3枚くらいは用意しておくのがよいと思います。

この猫にはガーゼをとめるために胴着を着せましたが、以前、腎臓の機能が低下した猫に服を着せたこともあります。いずれも病状が悪化し、胴着を着せる必要がどうしても出てきたという状況での選択でした。

今、ぼんちゃんは、出血による貧血がひどく、心臓も弱ってしまい、自分で立ち上がって動くということができないので、おむつをしています。おむつでかろうじて背中の腫瘍を覆っているガーゼが止まるので、胴着をやめています。数ヶ月胴着を着ていたので、おむつのみに変えた時は、しばらくの間、冷えたりして風邪をひかないように気をつけました。