私の履歴書 介護のお仕事編③-5
フランチャイズ系泊まりのあるデイサービス
[ある日の送迎]
デイサービスなので
[送迎業務]があります。
ちょっと恐ろしい目にあいました。
新規の利用者さん(Wさん)
認知症が悪化してきているとのこと
同居の娘さんのレスパイトケアでのご利用。
※レスパイトとは、一時的中断、延期、小休止などを意味する英語。 日本では、主に育児、介護、障害、医療の分野で使われる。(Wikipediaより)
平たく言うと、お母さんをデイサービスに行かせている間、自分の時間を確保するって事です。
Wさん、前情報ではとても拒否が強く…
暴力行為もチラホラ…
それでも娘さんの強い、強い希望で
デイサービス利用と至ったのです。
我が施設は
どんな困難事例も受け入れる
がモットーでしたから、彼女を受け入れない
理由が無かった訳ですけど…(^^;
初日のお迎えの日がやって来た…
ある冬の寒い朝…
Wさん宅にお迎えに行く担当が私でした(夜勤明け)
お宅に着き
「おはようございます!ありがとうございます(これが施設の挨拶w)お迎えに参りました(о´∀`о)」
娘さんが、ドアをそっと開けて
「おはようございます、よろしくお願いします。
ちょっと待ってて下さいね。今連れてきます。」
と、奥の部屋に行かれた…
玄関先に聴こえる声…
[お母さん、出掛けるから、これ持ってちょっとこっちに来て❗]
[@₩&○☆※€~]
[なに言ってるの、今日は行くって言ったでしょ‼️]
[£$☆#@¥~‼️💢]
母と娘の揉める声が聴こえる…
(次のお迎えの時間が迫ってるなぁ…どうしよう…)
そんな事を思いながら待っていると…
「すみません、なんだか立ち上がらなくて…」
拒否が強いと聞いていたので、他の利用者さんの送迎を終らせてから、また向かう事を伝えるのだったが…
「いえ❗私も約束の時間があって、今すぐ出ないとならないんですよ、中に入って立つのを手伝ってくれませんか❓」
デイサービスのお迎えは、お宅の中に入らず
ドアtoドアなんですけど…(^^;
娘さんも必死…
取りあえず施設に電話をし訳を話すと
(うん、じゃあ他の送迎は○○さんに行って貰うから、なんとか連れてきてねー)
と言う事だったので…
お宅の中に入り←本当はイケナイw
Wさんに挨拶をすると
W「何しに来た❗出てけ❗」
(相当な拒否ぶり…どうしたもんかな…💧)
娘「お母さんを迎えに来たのよ。」
W「どこに‼️」
娘「仕事によ❗遅れるとご迷惑よ。」
(え?仕事…?)
なるほど、自営業だった彼女は、仕事熱心な人だったらしい…
私「そうです、お迎えに参りました。お仕事先までお送りしますよ。」
W「そうかい、じゃ、お願いしようかな。悪いねぇ。」
なんとか、立ち上がり、荷物を持ち
娘「お母さん、しっかり働いてきてね❤️」
娘さんと私、目を合わせニッコリ…
したのもつかの間‼️
送迎車に乗る段階で
W「あんた(娘)が乗らないとあたしも乗らない‼️」
娘、私「えぇぇぇぇーーー‼️Σ(゚Д゚)」
さぁ、どうしようか…
娘さんも必死…
娘「私が先に乗りますから、母が乗ったら反対側のドアから出ます。その隙に行っちゃって下さい‼️」
(行っちゃって下さいって…ww)
上手く行くか、一か八かだ…
娘さん、乗車→Wさん乗車(私がシートベルト締める)→娘さん、反対側のドアから出る…
私は挨拶もそこそこに、お宅から車を走らせたのでした(;´д`)
言うまでもなく…車中は、もう大変な事に…
たった5~6分で着く距離なのですが
しばらく送迎車を走らせ、ある交差点で
信号待ちをする為車を止めると…
W「降ろせぇぇぇ~‼️」
叫びながら、後部座席から
私の首をいきなり絞めてきたのです‼️((( ;゚Д゚)))
えぇっ?シートベルトいつ外したん?!
正直心臓が飛び出そうになる程驚きました
( ;∀;)
W「降ろせ❗降ろせ❗降ろせぇぇぇ~‼️」
私「もうすぐ仕事場に着きますから❗離して❗」
今度は私の上着の首の部分を引っ張り出すWさん…
(力が半端ない…私よりずっと背の低い小柄な人なのに…何?この馬鹿力は…)
仕方なく上着を脱いで、彼女に渡したとたん
W「助けて‼️助けてください‼️出して❗降ろして❗助けてぇー‼️」
道行く人に車の窓を叩きアピールするWさん(^^;
道行く人が、運転席にいる私を不思議そうに見る…
慌てて私は「違います」と言わんばかりに手を右左に振るw
「デイサービスの送迎中です~😅」
と助手席の窓を開けて叫ぶw
道行く人は「あぁ‼️」と言うような顔をして
立ち去って行くのでした。
(誘拐犯ですか…私はw)
送迎車の後部窓も、ドアも開かないようにしてある為そのまま信号が変わった時点で、送迎車を走らせる事にした。
(早く、施設に着きたい一心で)
それから、彼女はずっと送迎車の開閉ノブを
「ガチャガチャ」と動かし続けていた。
なにかブツブツ呟きながら…
朝8時半に送迎に出て…
施設到着10時半❗
サラッと書いてますが…実はお宅で色々
ネゴシエイトしてたんです…(;´д`)
娘さんのお出かけの約束どうなったんだろう…
送迎車を降りて、施設に入るまでがまた
時間がかかりましたw
入ったら入ったでずっと玄関先に座って
そこから一歩も動かぬこと石の如し…
昼食も玄関先で食べる始末
彼女のデイサービス利用初日は
そんな感じで、終るのでした。
夜勤明けで送迎…眠いのも吹っ飛ぶほど
強烈な出来事でした…
それからのWさん…
気になりますよね…
なんとか慣れてくださり
お風呂にも入れるようになり
お泊まりも出来るようになりました。
娘さんの「自分時間」も確保出来ました。
「本当は、仕事熱心で何かしていないと、落ち着かない…でも色々忘れてしまって、自分がどこにいるのか分からなくなる。」
不安でいっぱいなんだろうな…
なるべく安心するような、声をかけ
タオルを畳んだり、お皿を洗ってくれたり
どんな状態でも「お母さん」な人でした
今までずっとそうして生きてきたんだから。
お泊まりの夜寝ないでいる私を見て
「早く寝なさい」と言って、自分の毛布を
肩に掛けてきてくれるそんな人でした。
最初に首を絞めてきたのは
怖かったから、知らない人に連れ去られる
そんな怖さからだったんだと思う。
何をするにも「理由がある」と
私にとっても勉強になる事柄だったんだ。
ちょっと怖かったけど、痛かったし…
それより…施設での「利用者カンファレンス」の
様な物は開催されなかった。
その当時
「ガチンコ勝負な受け入れ」しかしてなかった…
今考えると、恐ろしい話だ。
まだまだ地獄は続くのです…
後日、そのデイサービスを辞めた私に
連絡が来た…Wさんがお亡くなりになったと…
通夜のお知らせだった。
だいぶ離れてしまってたが…
お焼香に向かう事にした
娘さんが、私の事を覚えていて下さり
「ホントにその節はありがとうございました。」
と、仰って…なんとも言えない気持ちになった。
涙が止まらなかった…Wさんの安らかな顔を見て
「貴女に出会えて光栄でした。」
言葉をかけて、冬空を見上げた。
[私の履歴書 介護のお仕事編]③-6に続く
最後までお読み頂きありがとうございます
(*´ー`*)
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