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【Zeal & Ardor】時期尚早?いやいや、早くも2022年のベストアルバム候補「Zeal & Ardor」!!

マニュエル・ギャノーによるプロジェクト、Zeal & Ardor(ジール&アーダー)が4年ぶり3枚目となるセルフタイトルアルバムをリリースしました。

ブラックミュージックやゴスペルとブラックメタルを融合させた新たなジャンルを開拓している今注目のバンドです。

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なんとアルバム全14曲中6曲が事前にシングルリリースされるという太っ腹ぶり。そんなに出しちゃって大丈夫か?という心配は全くの杞憂。とんでもなく素晴らしい傑作に仕上がっていました。

それでは早速各曲を紹介していきます。


1. "Zeal & Ardor" – 1:58 

アルバムタイトル曲。近年の映画でよく使われるような重低音SEと抑え目ながらもエモーショナルなボーカル、コーラスが入り悪夢の幕開けを告げる。

2. "Run" – 3:16 

シングル発表曲 呪術的なウィスパーヴォーカルやトライバルなミドルテンポからブラックメタル然としたサビへの行き来を繰り返す。これでウォーミングアップは完了という感じ。


3. "Death to the Holy" – 3:07 

ブラックミュージック と苛烈なエクストリームさが融合した「らしさ」満開の曲。「Death to the Holy!」というステートメントがふてぶてしくて良い。後半にはジェントっぽいパートも顔を出す。

4. "Emersion" – 3:34 

Perfumeかと思うようなポップさで幕を開けたかと思いきやトレモロリフandブラストビートand絶叫で深い絶望の穴にたたき落される。でも大丈夫。後半のパートで暗闇に差し込む一筋の光、未来への希望を感じさせてくれる。 


5. "Golden Liar" – 3:43 

シングル発表曲 切ないメロディが主旋律。遠い記憶の底から鳴るような口笛に琴線を触れられながらサビではきちっとカタルシスを感じる大作タイプの曲。4分足らずの長さでここまでドラマチックさを演出できる手腕に脱帽。


6. "Erase" – 4:01 

シングル発表曲 そうだよね、ここでこういう曲欲しいよねってタイミングでぶち込んでくれます。うねったり尖ったりするギターサウンドやドラムビートといったロックテイストが前面に出たダイナミズム溢れる曲。

ちょっと「CHAOS A.D」期のSEPULTURAっぽさを感じる。

7. "Bow" – 2:13 

これもシングル発表曲 つまりアルバム5〜7曲目が事前に発表されてたという事。 ただ発表順はこの並びではなかったのでアルバムで通しで聴く事で各曲に新たな一面が見えるように考えたのではと思う。

この曲はブラックミュージックテイスト強め。実はアルバムではこの曲がオープニングになるんじゃないかなと勝手に思っていた。

ちょうどアルバムの真ん中に位置するのでここが転換ポイントですよ、というメッセージか。


8. "Feed the Machine" – 2:39 

案の定、仕切り直したように新鮮なテイストの曲。

激烈なスクリームと金属性の高いギターが火花をあげて交錯し2分台であっという間に駆け抜ける。 リフとビートのがっつりシンクロパートや曲タイトルからフィアファクトリーやメシュガーを想起。


9. "I Caught You" – 4:07 

 この曲は特に好き。

細かくギアチェンジしてテンポを変えながら最高潮に達する。

ちょっとオルタナやインダストリアル、グルーヴメタルの要素あり。

あとシステムオブアダウンの雰囲気も感じたり。

それにしても最後の1分に入ってから一度だけ出てくるパートがあったりして贅沢。それが「ダレ」をなくしてる。


10. "Church Burns" – 3:03 

シングル発表曲  なんとも背徳的なタイトルの曲。ゴスペル調のメロディで「Church Burns」って言われるとなぜかドキっとする、、

ピアノのもの悲しい旋律とディストーションギターが絡む哀愁ソング。


11. "Götterdämmerung" – 3:03 

シングル発表曲 Zeal & Ardorはこれまで名前は知っていたけど大した理由もなくスルーしていたけどこの曲を聴いてノックアウトされた「ハマるきっかけ」の曲。

目の前の邪魔者を薙ぎ倒していくような力強いパートから一瞬ひいたと思ったら喉元に噛みついて致命傷を負わせる必殺曲。

「Götterdämmerung」の意味をググったら

神々の黄昏(たそがれ)《悪の軍団との戦いにおける神々の滅亡》, 社会[秩序, 組織]の崩壊

とありました。


12. "Hold Your Head Low" – 4:43 

このバンド、つくづくフィーリングが心地いいなと思う。絶対「Götterdämmerung」の次はこの曲が良い。

比較的ゆったりとした、ブラックメタルにおけるバラードのような曲。

でもボーカルはたっぷりエモーショナル。この対比にやられるんだよなあ 「Hold Your Head Low」=神に頭をたれよ みたいな意味なんですかね 

アルバムのエンディングに向けて着陸態勢に入った感じ。


13. "J-M-B" – 1:54 

 ここから締めに入ってると思います。

コース料理でいうデザート。

爽快感のあるショートチューン。ちょっとフュージョンっぽさがあるのかな。


14. "A-H-I-L" – 2:36 

この曲は締めのコーヒー。

これまでの旅路を振り返りながら火照った体を徐々に冷ますような、でも次なるドラマの始まりを感じさせるようなナインインチネイルズっぽいインスト曲。


全14曲。44分。
44分しかないとは思えない、まるで2時間以上のドラマチックな映画を1本観終わったくらい心が小旅行に旅立つ感覚を堪能しました。

アーティストの事を理解しようと努力が必要な、それで初めて素晴らしさが分かる作品もあるんですが(それもまた楽しい)、今回の作品は一切その必要がない。

ただただ轟音に、美しい旋律に身を委ねれば良い作品でした。


2月に何を言ってるんだと思われるかもしれませんが個人的には間違いなく2022年のTOP10に入る名作。

是非皆さんも聴いてみてください!

国内盤出してほしいなあ。。

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