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家族だからこそ対話は大切。

卒業式を前に、次男(小6)の同級生のおばあちゃんから相談の訪問があった。

孫が「小学校でどんな様子か教えて欲しい」と。
何事かと、私も一緒に話を聞かせてもらったけど、それぞれの家庭が抱えている悩みの本質はどこも同じだなと感じた。

勝手によそ様の家庭内のことを話すのはあまりにも無礼だと思うので割愛するけれど、要は娘さんが孫にとても厳しく、甘やかす自分には何も話してくれないらしい。そんな中、ある行動が心配でどうしようもなくうちの子を頼っていらした。

実は、息子から彼の話は色々聞いてはいたので、驚きはしなかった。むしろ彼の行動がおばあちゃんの話を聞くことで至極納得でき、思春期の時期に大人が与える影響の大きさを痛感した。

実際、長男が同じ歳の頃にも似たような友だちがいた。
長男の時は、当事者の1人だったので、どうしたものかと頭を抱えていた。
何もなかった時は話も合い、よく皆と一緒に遊んだりもしていたけれど、ある頃からとても怒りやすくなり、友だちに手をあげるようになった。
籠と前輪が曲がるほどの勢いで自転車をぶつけてきたり、スケボーで叩かれて大きな青あざを作って帰ってきたり、夜中の21時に月食を一緒に見ようと訪問してきたり(しかも他人の家へのお誘い)と、小学生ながらにちょっと度が過ぎるようになっていった。夜中に訪問はさすがに非常識なのでお邪魔するお家のママに連絡したら、当該の子のお家とは連絡が取れず、帰してどこかに行かれるくらいなら家にいた方がと承諾したらしい。先述の通り詳しくは話さないが家庭の事情は深かった。

青あざはさすがに我慢できず何かしらのアクションを取ろうとしたが、やられっぱなしの子でもなかったのと自分で解決したからいいと止められたので断念した。そして息子自身も仲良くするには限界がきたようで、私がアクションを起こすことなく距離を置くようになった。

そうして距離を置いていたある日、親が映画に連れていってくれるから一緒に行かないか?と急に誘われた。あいにく予定があり、一緒に行くことはなかったが、その日を境にみるみるとその子が変わっていくのが分かった。まず表情が変わり、暴力をふるわなくなり、息子もまた仲良くなっていった。

想像の域かもしれないけれど、子どもは親の関わりをきっかけに変わることを改めて感じた出来事だった。

そして、今回もその状況にとても酷似していた。

おばあちゃんの話から伝わるお母さんの切羽詰まった様子に胸が痛んだ。

母はいつでも一生懸命だ。
一人で子どもを育て、一人で家族を養っていく重圧。
学校に呼び出され、皆の目は子どもに集中し、味方であるはずの自分の親にまで否定されていると感じたら。
心の余白がないと、人は孤独を感じやすい。
言葉もきつくなる、自分を責めるの無限ループになりやすい。
一人じゃないのに一人だと感じていたら。

全ては単なる想像で、私にはそこまでの内情はわからない。
でもだからこそ、おばあちゃんの心配を聴くことはできても、全てを受容することはできなかった。
「もっと味方になってあげて欲しい」という私のエゴが顔を出さないようにただただ話を聞いていた。

はっきりしているのは、圧倒的なおやこの対話不足。
お互いに勝手に相手の考えや想いを想像し、怒り、恐れて、話せなくなってしまっていること。
それが、子どもにも伝わっていること。

想像は対話を鈍らせる。
私に話したことを伝えることすらできない状態だった。

ただ聴くこと、ただ想いを話してみること、それだけでも充分だと思う。
そこに想像や期待が絡むと、途端にねじれ、絡まり、本心を見えなくする。

想いを話さなくなると、自分の心の余白をどんどん我慢した想いが黒い塊となって占めていく。

心の余白は、誰かとの本音で交わす対話からも生まれる。心の余白があるとまた新しい本音が生まれてくる。その優しい循環と対話力があればもっと人間関係は楽になる。

今回のことも、ただただ子どもを想う気持ちで、形が違えどおばあちゃんもお母さんも同じなのだと思う。
三者でお互いをとても大切に思っていることだけは伝わってきた。
このどこかで掛け違いねじれてしまったコミュニケーションが少しでも解けたらと願うしかない。

息子は彼と喧嘩をしたこともなければ、優しいところや良いところを知っていたから、心配されていたことの少しは解消できるように伝えることができ、私は少しだけでも対話が進むようなお話しだけさせていただいた。

「見守る」という選択をし、話を聞くことが孫のためになっていることを感じたご様子でホッとして帰って行かれたが、時折涙ぐむ姿にまた胸が痛んだ。


誰もが自分も相手も幸せになる対話ができる日が来ますように。
そして明日の卒業式には、彼が笑顔で登校してきますように。
願ってやまない。

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