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突然の電話 #1

私は当時、飲食店経営やコンサルティングをしている会社でマネージャーをしていました。会議の資料作成や、店舗の数値管理はもちろんしていましたが、何年経ってもプレーヤーとして、お店に立って接客をすることが心の底から大好きでした。特にボールタップ式のビールサーバーでビールを注ぐ時間は幸せでした。忙しかったが、大好きな食とお酒に囲まれながら、楽しく毎日を過ごしていました。
このような毎日がなんとなく続いていくのかなと疑うこともなく。

2018年7月30日の夜、
私はある会社からスカウトを受けていて、そのスカウトマンと食事をしていました。当時は転職する気は全くなかったのだが、のちに入ることになる会社だ。

父は何度か離婚をしていて、私の母親とも幼少期の頃に離婚をしている。
当時の父の彼女さん(Sさん)とは3人で何度か食事に行ってるため、連絡先は交換していた。
そのSさんからスカウトマンとの食事中に電話がかかってきた。
夜の9時頃だったため、父との酒席で私を呼ぶためにかけてきたのかな?とまたポケットに電話をしまったのだが、またすぐにかかってきた。切れることなくずっと鳴っている…。少し胸がざわついたため、席を外して電話に出た。
Sさんはいつもよりも甲高い声で「香織ちゃん!!お父さん、倒れたのよ!!飲んでる最中に倒れたのよ!早く来て!!」とかなり混乱していた。

倒れたということは酔っ払ってコケたの?ケガしたの?
と色々疑問に思いながら、スカウトマンには申し訳なかったが、病院にタクシーで向かった。
その時は、この後、私の人生を変える出来事が起こるなんて微塵も思っていなかった。

病院に着いた時は夜の10時をまわっていた。
救急科の自動ドアから中に入ると、カーテンで仕切られたベッドの上で父らしき人物が痙攣を起こしているようだった。
どうゆう状況かわからなくて固まっていると、看護師の方が来られて、
「ご家族の方ですか?」と聞かれ、「はい」と答えると別室に案内されて、色々と父のことを質問された。
20年以上も父と一緒に住んでいないから分からないことがたくさんある。
お仕事は?飲んでる薬は?癲癇を持っているか?今まで大きな病気をしたことあるか?入院歴は?家族構成は?アレルギーはあるか?

記憶を辿って答えれることは頑張って答えた。

ひとまず待合室で一旦待つことになったが、気づけば日をまたいで1時になっていた。私はふと兄のことが気になった。
兄は父と一緒に住んでいる。父から兄の様子はよく聞いていた。
兄は発達障がいを持っているため、ご飯を自分で用意することが出来ない。
父は入院することになるみたいだから、とりあえず今の状況を伝えるため電話をしたが出なかったため、父が持たせていた携帯電話にメールを送った。

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