見出し画像

本当に『原因不明の不育症』になった


2015年、妊娠8ヵ月、31週で突然の死産となりました。
それ以前にも2回流産をしていたことから、日本屈指の不育症病院である、『杉ウィメンズクリニック』で不育症検査を受け、「異常なし」「無治療」というお墨をもらっていました。

なのに、死産・・・。

もう赤ちゃんを産むことはできないのではないか、わずかな希望を見つけるため、自分を納得させるため、もう一度、不育症検査を受けることにしました。


1.「私も納得がいかない、もう少し精査したい」


死産から、1ヵ月。

赤ちゃんのいない産休、子供を失った喪失感、生きていくのすら辛い。
相当精神的に追い詰められていました。

当然ながら、これからどうするかなんてことは、全く答えが出ません。
ただ、失ったものを早く取り戻したい、そんな気持ちが強かったと思います。

同じ子が戻ってくるわけではありませんが、「早く赤ちゃんを」と、生き急ぐようになっていた感じでした。すがれる何かが欲しかったのだと、思います。


だからこそ、次に赤ちゃんを、と思えた時に、万全の準備しておきたい、という強い気持ちがあり、不育症の再検査をしたいと思いました。


そのことを夫に相談したら、大反対。
無理もありません。流産2回、死産1回。
夫は元々あまり子供が好きではないこともあり、1人子供を産めているので、「もう十分」「もう辛い思いは嫌だ」という気持ちでした。


でも、何かをしないと落ち着かなかった私は、杉ウィメンズクリニックへ死産報告と「もう一度再度不育症検査を受けるべきか?」と相談メールをしました。

この時のメールには、
・私が原因=「不育症」ならば、1人産めたことに感謝し、2人目は諦めようとも考えている
・「異常なし」であれば、赤ちゃんの事情でだめだったと受け止め、2人目を欲しくなった時に妊娠に挑めるかもしれない。

こんな風に迷う気持ちも書いていました。


先生からは、「前回の検査をしてから4年が経過していて、新しい検査も幾つか導入した。今回の件は、私も納得がいかないので、もう少し精査してみたい。」とお返事をいただきました。

初診待ちが3ヵ月平均の杉ウィメンズクリニックでしたが、私の場合は再診扱いになるようでしたので、気持ちの準備が整えば、いつでも予約が取れる、とのことでした。


2.4年ぶりの杉ウィメンズクリニック


まさか、またここに来ることになるとは・・・。

そんな気持ちでクリニックに来たのは、死産して2ヵ月後、2015年6月のことでした。
夫には「2人目はすぐに考えなくていいから、とりあえず検査だけさせて欲しい」とお願いしました。
「勝手にすれば。検査したからと言って子供はもういらないから」と言われました。

死産の悲しみの違い、子供を持つ価値観、夫婦の温度差、亀裂が少しずつ入っていく感じです。

もし子を諦めるとしても、私は自分自身で納得してから、終わりたい。
そんな想いから、再検査を選ぶことにしました。




4年ぶりの先生は相変わらずなお茶目な雰囲気で、会えたことが嬉しくもあり、悲しくもあり複雑でした。


「今回のことは本当に納得がいかない」
「新しい検査も増えたから、血液検査をさせて欲しい」


そう、先生は言ってくださいました。


もちろん、そのために受診したので、検査をしました。
2回目、決して安い費用ではありません。
でも、これで原因がわかるならば・・・。という気持ちでした。


採血の際、看護師さんが優しい言葉を沢山かけてくれました。
クリニックの看護師さん、本当に本当に優しいんです。

死産から2ヵ月の私は、泣くことしかできませんでした。。。



3.異常がなく『原因不明不育症』となった


再検査の結果、「うーん、やっぱり異常が見当たらないんだよね」と。

どこかで「やっぱり」な、と思う一方で、もう何を頼ったらいいのか・・・という絶望しかありませんでした。

先生からは、
未知の領域の何かがあるのかもしれない。でも現時点での医療ではわからない。だから原因不明ということになります。」

「でもさすがにこれで何の治療もしない、と言われても、納得できないよね、なので、次妊娠したらアスピリン飲もう。」

ということで、アスピリン服用の治療方針が決まりました。


初めて不育症の検査をした時、異常がないと診断を受けてホッとした自分


今度は、『原因不明』の診断。


怖い。子供を産むことがとにかく怖い。
でもどこかで諦めきれない。


そんな先の見えない道、ゴールのないトンネルにいるような気持ちでした。



原因不明ってこんなに怖いのか。


セカンドオピニオンをしようかと考えたこともありました。
でも、私の性格上、あちらこちらに行くことで更なる混乱のループにはまり、追い込まれていくことがわかりました。
当然、夫の了解を得ることは、100%無理であろうことから、杉先生のところだけにしよう、と他院へ行くことはありませんでした。



治療方針が決まったものの、依然として夫は妊娠には反対。

あまりがむしゃらに説得しつづけるのは逆効果なタイプの夫なので、ゆるく、穏やかに話すよう心がけました。
「妊娠」を目指すという形ではなく、なるべく自然の流れで夫婦生活ができるようにしました。


そんな中、死産した1年後、次の妊娠に至ります。


しかし、また流産、流産。。。


原因不明の不育症は、その時にやれることをやるしかない。

そんな日々が続きます。



****Kao****


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?