古い小さなアパートを引っ越さない理由

「実家を出たいけれど、お金がない」という相談が、社会人になった20代の頃からあります。目の前に簡単な理由があると、本当の理由に気づかないことも多いのかもと思います。

私は、古い小さなアパートに引っ越して4年になります。娘と2人暮らし。
若い頃も、今でいうワーキングプアで、築45年のボロボロのアパートに住んでいました。
朝から夜中まで働いて、夢は、広くて素敵な家に住むことでした。
人生の目標とか達成感みたいなものが、「家を買うこと」でした。お金の優先順位もそれになっていました。今思えば、「ゴールが家って・・・」という感じですが、表面上はそれが強くても、本当のゴールはそれではないことは、あるきっかけで気づきます。

ただ、表面的で物理的な目標も、モチベーションになり、そのために頑張ることもできます。
時間がかかりましたし広くはなかったけれど、中古マンションを買い、結婚して新築の一軒家に引っ越しました。でも、1年で今のアパートに引っ越し。
大きな家具は入れられず、家電も大きすぎたけど、もったいないので無理矢理入れたら、洗濯機の扉は半開きしかしません(笑)トイレは、大きな人は入れるのかな?という狭さ。水道の蛇口は、いつの時代の?というレトロさ。電気自体が付いていなくてスイッチもなく、初日は懐中電灯で過ごすという初体験。

「人生逆戻り?」
「今までの努力は?」
「すべて私が悪いんだ・・・」
そんなことばかり考えて、過去に縛られ、自己肯定感だだ下がりでした。

今にも崩れ落ちそうなのを、それでも持ちこたえたのは、娘がいたからでした。守りたい存在です。当時4歳。硬くなり、笑わなくなっていたけれど、引っ越し当日に娘が言った言葉。
「汚いのが嫌なの?大丈夫!わたしがピカピカに掃除してあげるから!」
「小さくなったのが嫌なの?どこにいてもママが見えるから、わたしはいいなー」
素直に心に響き、勇気が出ました。抱きしめて、涙とともに何かが落ちた瞬間。そしたら、娘の笑顔も戻ってきました。

2年で引っ越すという目標は達成できなかったけれど、それなりに娘と楽しく過ごしています。慣れってこわい(笑)それは、優先順位が下がったからかも。「家が欲しい」というゴールも、それが何のためかを考えたら、本当のゴールは違っていました。
それと、気持ちの持ちようでも変わる。たくさんのものを失ったけれど、本当に大切なものは傍にあって、守りたいと思っていたけれど、守ってもくれていて・・・。それって、有り難いこと。
どれもこれもは手に入らない。それが自分のそのときの状態。では、自分にとっての1番は?と考えたら、必死に家賃が安いところ探して、あれもこれもそれもあれも目をつむって、今のところに引っ越すことを選択。そうしたら、吐きそうなくらいの喪失感は消えていきました。
引っ越したい理由、引っ越さない理由、引っ越したくない理由・・・本当のところを考えたら、そこではもう悩まなくなるかも。

そして、この日から、娘は私の心に響く魔法の言葉をたくさん発するようになりました。ビックリさせられる言葉やできごと。それを思い出したり、意識して受け止めたい。今でも、娘は私のメンターです。

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