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せとうち旅日記 #4 呉・広島編

#3 岡山・倉敷編からの続き。


今回の編は短い。(多分)
広島、もう少し長くいる予定だったけど宿の取り方の都合で、ほとんど電車に乗り続けてて呉にでん!してその翌日夜にはまた岡山に戻る…という旅程になったので、主に移動に関する感慨だけ。
移動し続けた結果おしりはちょっと痛くなったけど存分に暇な時間ができたので旅ぽくてよかった。

8日目 11/9(水)

🌔 よく晴れた夜

電車を乗り継ぎ乗り継ぎようやく18時前に呉へ着く。
呉で研修医をやってる高校時代の友人とと再会。
地元のよさげなやきとり屋さんを探してもらっていたので、そこでやきとりをたべる。
やきとりの部位の名前ってなんやかんやいくつか覚えてなかったりするから、「さび焼きってなに?あ、わさび乗ってるやつらしい〜」とか調べながら喋りつつ食べるのがたのしい。

やきとり鳥平
大葉が乗ってるのがさび焼き
2人ともワサビでツーン!となった

〆におむすび食べてる時に、お通しで最初出してくれたお新香をまた出してくれ、さらに、鶏がらスープ、レモンのジェラートまでなにかとサービスが手厚くてもてなしてもらってしあわせになる。

呉から数駅先の「広」という駅に泊まるので、呉は本当に友人に会いに来ただけになったけど、人生でそう何回も来るところではないから呉をなんとか堪能しようと、工場夜景がきれいらしいとのことなので呉港フェリーターミナルの方へゆく。
駅から陸橋がつながっててそのまま港のぎりぎりのところまで行ける。さすが港湾都市、便利〜。
松山行きの最終のフェリーがちょうど出るところで見送りつつ夜景。きれいだった〜

呉港の工場夜景

呉は造船とか軍艦で有名(小学校の知識)で、だいたい横須賀みたいな感じの街。軍艦や海軍にあまり興味がないのでわざわざ明日また戻って見に来るほどではないな〜でもそれだとせっかく来たのに呉に悪いな〜うむむ…と思っていたが、きれいな港の夜景を見れてこれで充分堪能したぞ、呉に未練なし、と満足する。

せとうちを巡っていて、どこも穏やかな海沿いだけど、街ごとに結構特色があって景色が違って面白い。

友人と呉駅で解散し、数駅先の広駅へ、そこからちょっと歩いてゲストハウスに着く。
すっかりゲストハウス慣れしてきた。
ゲストハウス、だいたい2段ベッドのドミトリー相部屋でバストイレ洗面所キッチンは共用。リビング的広間があったりしてそこで他の宿泊者さんと交流できたりする。(しなくてもいい)
初めましての大人が集まる修学旅行の宿みたいな感じ。
宿に入るとオーナーさんに「研修の方ですか?」と聞かれ(研修……?私、今なんか研修受けてたっけ……?)となる。どうやら先客にマッサージサロンの新人研修を受けに来ている同年代の女性が7,8人いるらしく、私もその人たちかと思われたらしい。なるほど〜。そりゃ観光地でもないこの駅に泊まりに来るソロ女子なんてそうそういないもんな。
相部屋の人にも「研修明日からですか〜?」と聞かれ、「めっちゃそんな雰囲気なんですけど、完全にただの旅行なんですよね〜」などと喋ってなんやかんや仲良くなる。全国チェーンのアジア系マッサージサロンで、各地の支店から新人・若手スタッフが集まってきているらしい。私も一回使ったことある店だったので盛り上がる。
「マッサージは60分やとほぐしきれないので必ず!!90分以上からで!!」と強くお勧めされる。「肩のあたりの筋肉の盛り上がりがすごくて鎖骨が埋まってるので、それなくなったらもっとすっきりしてビューティ〜な感じになると思います!」とも言われる。たしかに最近荷物を持ち歩き続け目を使いまくっているせいか首肩は重くなってきているので、また東京戻ったら受けに行こうかな〜。
その他、「マッサージは同じ技法を習うけどやっぱり人によるので合う人を見つけるのがいい」「マッサージ通いすると抜けられなくなるので、限界が近い〜と思ったら都度都度で受けるのがちょうどいい」などさまざまな金言をいただく。一番ちゃきちゃきしたお姉さんが姫路店の人らしかったので、もし姫路に行くことあれば指名します!と約束する。ちょっとだけ鎖骨肩甲骨のあまりを触ってもらったけど、ばっちり凝ってる筋肉を掴まれて、ウォ!となったのでぜひマッサージ受けてみたい。姫路、行くことないな〜。


9日目 11/10(木)

☀️ 上着いらんくらいあったかい

7時半頃ゲストハウスで起床
キッチンで朝ごはん食べつつ、引き続きお姉さん方のいろいろ話を聞くなど。
今日も泊まりですか?よかったら夜マッサージしますよ〜!と言ってくれ、聞くと、研修終盤に確認試験みたいなのがあるらしく、その予習のためできるだけ実際確認もしたい、ということだった。残念ながらここは一泊(呉に2泊もするほどの理由がなかった)なのでそれは叶わずだったけど、マッサージ、してもらえばよかったな〜。
書いてる今、結構肩こりがキているので悔やむ。
お姉さん方は朝イチで研修始まるらしく慌ただしく出発していきなされた。

宿を出る。
とんぼ返りで広島を早々に去るのも惜しいし、とりあえず広島市内方面に向かうことにするかな〜とスマホの地図を眺めてると、路地の奥からすごい勢いで猫2匹が疾走していく。
1匹が戻ってきて路地の途中でぽたりと座り込んでいるのでしばらく眺める。
でかい犬2匹飼いたい〜とかねがね言ってきたけど、猫もいいよな〜と思う。

佇まいが美しい

新広駅へ向かう国道沿いを真っ直ぐ歩いてると、少し前方のバス停でちょうどバスが止まっていて、呉駅前ゆきだったのと、なんとなくこちらを待っててくれている雰囲気があったのでそのまま勢いで乗る。
バス、電車よりももっと生活がある。歩かなくてもその街のことがだいたい分かった気になる。
乗客、おばあちゃんばっかり。
昨日友人が、保健所の研修で呉の高齢化について講義受けてきたわ〜と言っていた通りだなと実感。

バス車内
高齢者は100円で乗れるぽい

ゲストハウスで会ったお姉さんの1人が大阪から来たらしくて、「この辺りはあまりに田舎でコンビニすらちょっと歩いて行かないとないことがめちゃストレス、まだ一泊目だけどもう大阪帰りたい」と言っていて、そんなにコンビニありがたがってる人も今時珍しいな〜と聞きつつ、確かにこの辺は割と人は住んでるもののまぁなんもない田舎で、私もなんやかんやここまで観光地を巡り歩いてたので見所があったけど、広駅あたりはほんとうに何にもなくて流石にやることないな〜ここに研修で1,2週間とかはしんどい気持ちにもなるよな〜と同意。

バスの停留所、広→郷→原→呉 と一文字が続き面白い。呉駅まで海沿いを真っ直ぐ行くかと思いきや、意外と山の方に入って行ってやや不安になる。まぁバスは地域の生活の足だから山あいの不便なところを回るもんだよなと内心ひとりごつ。


***


ひとりで知らん道を歩いたり、どうなるか分からんけどとりあえずバスにしれっと乗ったりしながら、自分タフになったな〜と思う。

こういう時、小学校低学年の頃に家族で宮島に泊まった夜のことを思い出す。
もしくは、18歳の頃ひとりでロンドンにいた時期があって、とりあえずHammersmith 行きのバスに乗ってたこととか。
思えばあの頃からまぁタフというか向こう見ずというか、そういう質ではあったな。

日本は圧倒的に旅行しやすい。
公共交通機関かバスかがあってたいてい親切な案内が書いてて、ちょっと探せばそこそこきれいなトイレがあって、コインロッカーもある。
平和だな〜。


***

結局勢いバスに乗ったので呉に戻ってきたし、もう電車に乗ってもいいが一応昼の海も見ておくか〜と昨晩友人と来たフェリーターミナルへまた来る。
昼の海もきれいだな〜やっぱり工場地帯だからクレーンのキリン🏗いっぱいいるな〜と眺めてると、後15分くらいで広島行きのフェリーがでてることが判明。
広島って海沿いなんだ!なんかもっと陸地にある気がするしてた!
電車で行くのとそんなに時間変わらないし、ちょうどいいのでせっかくだからフェリーに乗ることにする。ひとり旅、サイコ〜。せとうち、移動手段に船という選択肢があってサイコ〜。
松山(愛媛県)〜呉〜広島という航路らしい。
呉で降りる人が5人、呉から乗る人が私だけで、採算大丈夫なんか?と思う。
かなり立派で結構新しめの船で、靴脱いでリラックスできる座席とかもあってかなりいい。充電もできる。ほんまに採算大丈夫なんか?

立派なフェリー

ちなみに呉→広島は大人一枚1000円。電車で行くよりは高い/ほんのちょっと時間がかかる/本数が限られているなどの制約はあるが、タイミングさえ合えば圧倒的に船がいい。

呉駅のスーパーで買ったメロンパン
呉、メロンパン推しらしい

45分ほどで呉港→広島港に着く。
広島市電は路面電車でそれにのって広島駅へ向かう。
もともと乗る予定じゃなかった乗り物に今日はたくさん乗っている。

広島駅→原爆ドーム前へ行く。

私は8月6日生まれで、毎年ヒロシマ原爆の日はなんとなく他人事と思えなくて、式典をテレビ中継で見て黙祷する。
広島は大阪からそんなに遠くないんだけど、原爆ドームは修学旅行でも家族でも一度も来たことがなくて、いつか行かねばなとずっと心の端で思っていたので来れて良かった。

原爆ドーム
まわりの景色があまりに平和で不思議な気持ちになる


周りには、修学旅行生がもう何組か分からないくらいいっぱいいて、お付きのカメラマンもこれまたいっぱいいた。
修学旅行とかじゃなく、ひとりで来られてよかったと思う。原爆ドームの前に並んで記念写真を撮られ、クラスメイトと列になって説明を読んだり展示を見たりし、それをまたカメラマンに撮られつつ、しおりのワークシートのページに思ったこと・印象深かったことなどを書き連ねねばならず、見終わったらまた整列して先生の話を聞いてバスに乗って……という状況でここに来るのは、たぶんかなり昔の私だとしんどかったと思う。

それに、小中高生だと、よく分からないけどなんだか怖い、ちゃんと見てるのが小っ恥ずかしい、集団行動がとにかくダルい、とかいろんな雑念が付き纏うだろうな。
今、ひとりで来られてよかった。

平和記念公園は広くて美しくて穏やかで、それがかえって少し苦しかった。
小学生たちとガイドさんの一団の隣を通りがかったとき、「この川は被災時には向こう岸に濡れずに渡れるほど、死体が横たわっていた」という話が聞こえてきて、それを聞きつつ川を眺めてると正気でいられないような気がした。

川の対岸から


平和記念資料館へ
勝手に古い施設だと思っていたけど、リニューアルしたのかかなり新しい感じの展示。
暗い空間に当時を示す写真や遺物や遺構などが仄明るく照らし出されている。空間に入るだけでちょっと苦しい。
ひとつひとつの展示に「これは誰々という人がどこで何をしていた時に身につけていたもので…」という説明文が付随していて、きちんと名前や状況が明らかになっていることに、並々ならぬ遺された人の意志を感じ、ぎゅっとなる。
被曝で親を失い孤児となった子供たちが、皆一様に同じ服・同じ髪型できゅっと口を結んで一列に座っている写真があって、涙が出てしまった。

当時の凄惨さを記録する写真などがたくさんあるので、見ていて苦しくなってしまい顔を覆って先生や友達に手を引かれながらよろよろ出てゆく子たちがぽつぽついた。それだってきっと、他の子たちに変に注目されちゃったりして苦しいだろうな。

集合写真を撮っている修学旅行生

とにかくたくさん修学旅行生がいた。
確かに秋ってシーズンだよね。倉敷でも何組かいて、修学旅行、懐かしいなぁいいなぁ微笑ましいなぁと思っていたけど、修学旅行もいいことばっかりじゃないよなぁ。

広島に泊まろうかと思っていたけどいい宿が見つからなくて(そんなことある?いくら直前とはいえこんな大きい街に平日で程よいビジネスホテルのひとつも空いていないなんてことあるか?確かに直前に探してはいるけど、ひとつくらい空いてるでしょと舐めていた結果、全然見つからなかった)、どうせ明日から宇野に行くので前入りしちゃえと宇野で宿をとったけど、広島の土地のパワーが結構強かったので、宇野に逃れてよかったかもしれない。

鈍行列車に疲れたので、金に物を言わせて新幹線で広島→岡山へ。
広島駅はメインのコインロッカーが全部埋まるほどには混んでいてスーツケースの人が大勢いたので、私もその他大勢の旅行客の一人の雰囲気で馴染んでよかった。
17時過ぎ新幹線の自由席に乗ると、出張終わりと思しきおじさま方が大半で、座席見つけて座るなり各所から「プシュ!」「プシュ!」とビールのプルタブ引く音が聞こえてきて発車する前から始まっていてかなりよかった。
新幹線の発車到着メロディ好き。(TOKIOのBe ambitiousのやつ、山口百恵のいい日旅立ちもすき)今回の旅で初めて新幹線使うので久しぶりに聞いた。

今日はとにかくよく移動した。
移動、ただ座ってるだけだけどなにかとつかれる。
書き終わってみればまぁ予想していたがぜんぜん短くなかった。

呉・広島編、おしまい。

あしたからはまた別の友人と合流するので、ひとり旅編もこれでおしまい。

#5 直島編へ続く。

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