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簪は髪に飾るお守り

あまり日本人にも知られていないけれど、簪とは髪に飾るお守りでもある。


簪の祖とされる存在は縄文時代から発見されており、当時の人々は動物の角や骨、木の枝など、自然界から得られた先の尖った棒状のものを髪に挿すことで、大地の神秘的な力や呪力を授かることが出来ると信じていた。


また平安時代には、儀式の際に季節に応じた本物の草花を髪や冠(かんむり)に挿して執り行っていたとのこと。


この時に髪や冠に挿した草花は『挿頭花(かざし:挿頭と表記する場合もある)』という名前であり、簪の語源にもなった。


ちなみに簪の語源は『髪挿し』とされる説もある。


簪の祖たる存在も『挿頭花』も、いずれも神聖なものであり、自然のパワーを得て災厄を退ける意味合いも持っていた。


そして江戸時代から作られ始めた簪に関しても、吉祥文様がデザインされていたり、純銀製の素材で作られているなど、魔除けの効果を持つ。


更に簪は、金属製で軸部分の先端が鋭いものであれば、江戸時代には髪に挿している女性の護身用武器としても使われた。


有名どころで説明するなら、『必殺シリーズ』に登場する『飾り職人の秀』を思い浮かべるとかなり分かりやすい。


『飾り職人の秀』は簪を武器として悪人退治をしていたが、江戸時代当時、簪は非力な女性でも使える防犯アイテムにもなっていたのだ。


すなわち簪とは、スピリチュアル的にも物理的にもお守りとしての役目を果たしつつ、私たちの生活に寄り添っていた。


時には神聖で神秘的なパワーで持ち主を守り、いざという時には身を守る武器の意味合いも含まれている。


しかも簪がお守りであることは現代でも変わりなく、吉祥文様など縁起の良いデザインであればスピリチュアルなお守りになるし、犯罪のターゲットにされた時も簪が護身用アイテムに早変わりするもの。


簪は祖たる存在や語源からも、ただの髪飾りの一種ではないことが理解できる。


ただ現代の日本人のほとんどは、簪は髪に飾るお守りであることを知らない。


簪があまり使われなくなったし、職人が減少していることからも、それは仕方ないことだろう。


でも簪は見た目が美しかったり可愛かったりするだけではなく、お守りの意味合いも持つことを私はどうしても伝え、より多くの方々に広めていきたい。


そうすれば簪の魅力がもっと理解されるし、愛好家やコレクターも増える。


簪の需要が高まれば激減している職人も増える可能性もあるもの。


すると簪文化は衰退しないし、改めて日本人も簪の素晴らしさに着目して、簪界隈は盛り上がっていく。


あなたもどうかこれを機に、簪は髪に飾るお守りであることを知り、今一度、魅力に触れてみてほしい。


簪は心身ともに、持ち主を守ってくれるだろう。


余談ではあるが、私は一昨年に厄年、それも本厄を迎えたのだが、これといって不幸なことがあったり、災難に見舞われることはなかった。


きっとそれは、毎日髪に挿している簪のおかげではないか、と考えてしまう。


私は霊感もなければ、おまじないなども一切効いたことがない体質なのだが、簪は特別視、また神聖視しているため、簪が守っていた気持ちを強く抱いた。


簪のお守りパワーは、簪を愛し大切にする人にこそ現れるともいえる。


安心感も得られてしかもお洒落にも役立つのだから、やっぱり簪ってすごい存在と断言する!

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