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今日のアウトテイク#189「Grateful Deadのシェア精神と仲間意識はコワーキングに通じる」(2024-05-25)

<アウトテイク>
・SNSに投稿する前の推敲(もしくは配慮)なしのメモ、殴り書き
・ブログ記事として仕上げる前の思索の断片、または下書き
・一部、筆が乗ってきて文字数多いのもあり〼
・たまに過去に書いたネタを展開する場合も
・コワーキング関連のネタが多め
・要するに「伊藤の現在地点」

※土曜日はのんびり、ツラツラと。


#今日のBGM

#今日のコトバ

"今日、人々はあらゆるものの値段を知っている。
だが、その価値については何も知らない。"
(オスカー・ワイルド)

#Grateful Deadのシェア精神と仲間意識はコワーキングに通じる

ラスベガスのアリーナ、SphereでのDead & Companyのライブがすごいことになってる。

Sphereのことは昨年から話題になっていて、この記事がわかりやすい。

というか、これを見たほうが早いか。

で、そのDead & Companyだが、ちょっと、これを見ていただきたい。ステージの後ろ、と言わず、天井から客席の後ろから、とにかく目に入るところ全部がLEDスクリーンになっていて、そこに音楽に合わせて、まあ、いろんな映像が映し出されていく。

映像だから、水中に潜ったり、宇宙空間へ飛び出したり、花束が落ちてきたり、アニメが踊ったり、バイクに乗って疾走したり、もうなんでもありだ。

このバンドは元々、1970〜90年代に活動していたGrateful Deadの旧メンバーを中心にDeadの系譜を継ぐ形でカツドウしているのだが、それに対するオマージュも映像の中の随所に盛り込まれている。それがまた、ファンを熱狂させる。

リーダー格のBob Weirは、Grateful Deadの創設メンバーの一人で御年76歳(!)。もう尊敬しかない。

よく見ると、ステージ前はダンスするゾーンになってるが、これもDeadのライブのやり方だった。

ちなみに、そのGrateful Deadは、その昔、ライブの音源をカセットテープ(懐かしい)に録音することを、はじめて正式にファンに許可したことで知られている。70年代ごろにはそんなことは考えられなかった。もちろん、レコード会社は激怒した。

ただし、条件があった。録音は許すが、それは自分で楽しむためであって、売ることは許さなかった。

それでも、録音するファン、その名も「テーパー」(カセットテープだったからね)が山ほど会場に現れるようになった。Dead側は、一般客とテーパーとのあいだのトラブルを避けるため、わざわざテーパー用の席を「テーパーゾーン」として作った。そこで彼らは自由に録音した。

こんな感じ。

(出典:Reddit)

で、そのうち、こんな雑誌広告が出るようになった。

「◯◯年◯◯月◯◯日の、どこそこでのDeadのライブ音源あります。聞きたい方は、空のカセットテープと返信用切手を入れてこちらへ送ってください」

つまり、録音したファンがライブに来れなかった人にダビングして送る、ということがはじまったわけだ。これ、今で言う、ファンマーケティングのハシリです。つまり、ファンがファンを呼ぶ、作る。これが全米はおろか、国境を超えて広がっていった。

Grateful Deadはライブに持ち味があったバンドで、スタジオ録音盤で3分だった曲をライブで30分やるような、いわゆるジャム・バンドで、同じ曲でも毎回アレンジや展開が違う。で、1ステージ、3時間ぐらい平気で演る。

だから、そのパフォーマンスはその時にしか聞けない。それが、ライブ音源の価値を高めることになり、こうしたムーブメントの原点になっている。

で、これ、シェアですね。

念のため、付け加えておくが、インターネットのない時代、に、です。

もうひとつ、Grateful Deadエピソードを。

彼らは自分たちのカツドウ方針を全員で協議して決めていた。決して、マネージャーや事務所の社長やレコード会社やプロモーターの言いなりにはならない。自分たちにとって最良の選択はなにかを、全員で決める。ひとりでも反対があったらその案は採用しない。

ある時、ニューアルバムのタイトルを決めるときに、事務所に関係者全員が集まった。いろいろ出た案の中で、当時、泣く子も黙る影響力を誇っていたプロモーターで資産家のビル・グレアムの案を、ただ一人が反対した。それは、事務所の警備員だった。で、否決。ビルは怒り心頭だったらしいが、たとえ警備員であろうと、彼は仲間であり、仲間の反対は受け入れる。

全員が納得いくかたちでないとやらない。そこは徹底していたらしい。

で、そんな思想をリードしていたのが、Grateful DeadのリーダーだったJerry Garciaだ。残念ながら1995年に亡くなった。この人はミュージシャンではあるが、当時のアメリカではもっと大きな存在感をもって、言ってみれば生き方を指し示すような人でもあった。

というか、その頃の音楽家て、ただ楽器を弾いて歌を唄ってるだけではなかったのよね。だいたい、なんか、思想とか哲学がその楽曲の裏にある。それに導かれて曲ができた、みたいな。ヒッピームーブメントも絡んでるが、そこに若者たちがビビビと来た。

まあ、そういうバックグラウンドを持つバンドの後継者として、くだんのDead & Companyは頑張ってツアーしている。それに、ファンが各地を金魚のフンのように付いていく。

で、今どきのことなので、オンラインでライブ配信する。会場に来れない人はそのチケットを買う。正規のアルバムはほとんどないけれど、このライブチケットがアホほど売れる。そりゃそうよね、世界中に配信してるんだから。

で、その配信音源を、またウェブでシェアする人も出てくる。昔カセット、今データ。でも、やってることは同じ。シェアだ。

これを、簡単にマーケティングのいち手法と言ってしまうのは早計で、そもそものライブパフォーマンスに、彼らのシェアの思想なり哲学なりが投影されていて、そのことに価値を感じていないと、こうはならない。

要するに、世界観、価値観の共有、それがシェアを引き起こす。誰しも、仲間を求めている。そして、シェアは「コワーキングの5大価値」のひとつだ。

ということで、最後に宣伝を。

そんなGrateful Deadにビジネスを学ぼうという趣旨の本を、12年前に翻訳した。誰が?ぼくが。

これが、今でもポチポチ売れているからオドロキ。有難いことです。

伝説のロックバンド、グレイトフルデッドが実践してきたビジネスメソッドの真髄を、歴史的検証と多くの証言に基づいて詳細に解説。単なるロックバンドの一時的な流行についてなどではなく、ファン(顧客)とのインタラクティブな関係をいかに構築し、維持し、改善していくことでビジネスとして成り立たせるかを知る、ソーシャルネットワークが社会の基盤となりつつある現代においても最良のケーススタディとして活用できる。

で、この話、実はコワーキングにつながる。長くなったので、また今度書くが、ひとつだけ書いとくと、Grateful DeadもCoworking も出どこは同じ、サンフランシスコだ。

と、気を持たせて申し訳ないが、今日はこのへんで。


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