WeWork創業者がリゾート地で仕掛ける職住近接コワーキング:今日のアウトテイク#322(2024-10-05)
<アウトテイク>
・SNSに投稿するのではなく、これを自分SNSとした投稿
・記事として仕上げる前の思索の断片、または下書き
・一部、筆が乗ってきて文字数多いのもあり〼
・たまに過去に書いたネタを展開する場合も
・コワーキング関連のネタが多め
・要するに「伊藤の現在地点」
・1ヶ月ごとにKindleでコラム集にまとめていってます
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#WeWork創業者がリゾート地で仕掛ける職住近接コワーキング
Industriousは、ボストンのSouth Stationの向かいに、以前WeWorkが使用していたビルでコワーキングスペースを新たにオープンする。
もともとボストンの保険会社Plymouth Rock Assurance Corp.が所有する6階建ての物件で、2フロアで31,500平方フィート(約2,930㎡)になるらしい。デカイですね。まあ、そこはIndustriousだから。
Industriousといえば、世界中の65以上の都市で160以上のコワーキングスペースを運営している、いわばWeWorkのライバルだ。(日本にはまだない)
同社には、100 Summer St.と225 Franklin St.のほか、ケンブリッジとデダムにもスペースがあり、すでにボストンで6つの拠点を運営している。飽くなき拡張路線を突っ走っている印象だが、リモートワーク、ハイブリッドワークがデフォルトになるのは明らかなので、この絶好の機会を見逃すはずはない。
WeWorkは2023年に破産(チャプター11)を申請し、その後、2024年に再建計画が承認された。この計画によって約40億ドルの債務が帳消しとなり、さらに4億5000万ドルの新しい資金が投入された。この再建の一環として、ソフトウェア会社のYardi Systemsが主要な株主となり、既存の債権者も支援している。
ちなみに、Yardi Systemsとは主に不動産管理ソフトウェアを提供するグローバル企業で、Yardi Kubeというコワーキング管理システムのプラットフォームも開発、提供している。ソフトウェアという場所を持たないビジネスが不動産業という場所に縛られるビジネスをサポートしているカタチ、と言うと言い過ぎだろうか。でも、そう。
WeWorkは破産手続きの一環として世界各地のスペースを次々にクローズしているが、今回のボストンの1件もそのひとつ。実はそうしたWeWorkの遺産が、違う事業者によって活用されているケースが続々と現れている。
例えば、ニューヨークではかつてWeWorkがあったビルが6万平方フィート以上のコンドミニアムに生まれ変わる。
これも、破産手続きの中で賃貸契約を破棄したニューヨークの40拠点のうちの1つ。
とかなんとか言ってたら、懐かしい名前が再登場してきた。WeWorkの創業者、あのAdam Neumann氏だ。
彼はこの春、追い出されたWeWorkの買い戻しを企てていたが、あえなく失敗。その傍ら、Flowという不動産ビジネスの新しい会社を立ち上げ、フロリダ州フォートローダーデールとマイアミにFlowのアパートメントを建設している。
そのへんは、この記事に詳しい。
かねがね、WeWork買い戻しに失敗したあと、彼は一体、何をしようとしているのか謎だった。
ここでは賃貸物件を借りる体験を「向上させる」と説明しているとあるが、Flowは米国とサウジアラビアの両都市で4,000戸のコンドミニアムと賃貸住宅を所有しているというからオドロキ。
こっちにもヒントがあった。
物件を所有しつつ、自社でテクノロジー開発を行っている、と。それはWeWorkでコケた不動産サブリース業とは違う。「私が知る限り、この種の会社の中で唯一の会社だ」と言ってるが、イタイ目にあった、あ、いや、学習の賜物だろうか。
すでに、フォート ローダーデールのビルは95%、マイアミのビルは96%が埋まっているらしい。ちなみに、「フォートローダーデールの1ベッドルームの部屋の賃料は月額約2,500ドル(約40万円)から、マイアミの部屋は2,900ドル(約45万円)から」。
で、今回、何が注目かと言うと、Flowはマイアミにある40階建てのFlow Houseでユニットの販売を開始したのだが、その中にコワーキングスペースが併設されている。その名も「Workflow」。
つまり、リゾート地の高級マンションの中に共用ワークスペース、それも超高級ワークスペースが設えられるということ。つまり、職住近接型コワーキングだ。
あー、それでベンチャーキャピタルのa16zから3億5000万ドル調達できたのか。なるほど。まさか、またぞろサブリースなんてビジネスモデルに出資するキャピタルはいないですよね。
これまで都市圏のオフィスビルにコワーキングスペースを開設して、主に企業の社員を対象にワークスペースを切り売り、じゃなかった、切り貸ししてたのとは真逆に、リゾート地の高級住宅に住まう住民を対象にコワーキングをパッケージにしたのは、まさにコペルニクス的転回、といえば言い過ぎかな。
これをベースに、同社は他の建物のスペースを家主と協力して管理するらしい。そうそう、家主とパートナーシップを組んで運営するのが絶対いい。むちゃくちゃなサブリースで失敗したことで目が覚めたんでしょうね。
考えたら、パンデミックのせいでWeWorkもおかしくなり破産したけれど、そのパンデミックのせいでリモートワークが常態化する流れになり、地方の物件に違う価値を付加するチャンスが訪れたということ。まったく何が幸いするか判らない。
これ、そのうち日本のリゾート地、というか、ローカルでもやり始めるデベロッパーが出てくるのではないかしらね。
以前、ここにも書いたが、高級住宅を売る際に、ワークスペースがあるかないかが問われる時代になってきている。その時流に乗っていると思う。
インタビューで彼は、WeWorkと提携するかもしれない、と仄めかしているが、ターゲットとする利用者のワークスタイルが全然違うから、多分しないとぼくは思う。
ただ、本人も認めているように、それでも不動産業であることには違いない。
願わくば、また「Coworking」という概念に間違ったイメージを植え付けて無垢な人たちをミスリードしないようにしていただければ、ぼくとしてはなんの文句もない。
日本のリゾート地、ローカルにも参考になると思うので、注視しておこう。
ということで、今日はこのへんで。
(カバー画像:Kian Lem)
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