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コワーキングフォーラム関西2022in大阪の大盛況+反省となんじゃこれという記事に感じる自治体・大企業との乖離性について

コワーキングフォーラム関西2022in大阪は熱かった

去る12月9日の「コワーキングフォーラム関西2022in大阪」は大盛況のうちに幕を閉じた。8月の京都、10月の神戸に続いて大阪で開催され、2022年版の三都物語として完結した。

実に400名以上が参加したとのことだから、2012年の「コワーキングフォーラム東京」以来の規模だ。論より証拠、トップの集合写真をご覧遊ばせ。

とにかく、コワーキングの運営者、コワーカー(利用者)が綯い交ぜになって、あんなに熱い交流がなされる機会は、コロナのせいもあってここ数年なかったから、溜まりに溜まってたものが解放されて誰の顔にも喜びが満ちていた。


ぼくは第1部のトークセッション「コワーキングの本質と大阪・関西万博を見据えた自治体連携」で、いつも1時間以上かけて話す「コワーキングの本質」を9分でパタパタパタ〜とまとめて(初めて聞く人は何がなんだか判らなかったかも、すみません)、そのあと、3人の登壇者とのトークセッションでモデレーターを務めた。

時間オーバーすることでいつもご迷惑をかけているぼくに、果たしてモデレーターが務まるのかという心配を他所に、時間きっかりで終了できたのは、ひとえに登壇者の方々のお話レベルの高さと、タイムキーパーを務めていただいた時任さんの残り時間を書いたカンペのおかげだ。あらためてお礼申し上げます。

カンペを見る視線↓。

とはいうものの、反省点もある

ただ、このトークセッションは個人的には大いに反省している。いや、お話の内容ではない、それはとてもよかった。ではなくて、進行を誤った。

今回のステージは舞台の周りのどの方向にも座席があり聴衆が座っているという、360度展開だった。

そもそも、どこを向いて話せばいいのか判らない。なので当初ぼくは、3人+ぼくが「対話」している様子をオーディエンスがぐるりを囲んで見ている、聴いている、言ってみればキャンプファイヤーみたいな見栄えを想定していた。勝手に。

ところが、始まってしばらくすると、用意された椅子から立ち上がり、周囲にいくつもモニターが用意されていたこともあって、話者が周囲のどの方向にも向きを変えて話すという、登壇者同士の対話というよりも聴衆へのプレゼン、もっと言うと演説みたいになってしまった。

以下の写真がそれ。話者である吉川さんはカメラマンのいる方向の聴衆に向かって話し、他の3人はそれぞれ違う方向にあるモニターを見ていて、全然、視線が合っていない。なんか、おかしいですよね。

話すうちにテンションも高まってくるし、結構、周りもにぎやかだったので、勢い声も大きくなり、そのくせ誰に向かって話してるのか判然としないので、ますます「対話」ではなくなった。で、最後近くになってようやくこんな感じに。

これは、事前にもっと打ち合わせしておくべきだったと反省している。

ちなみに、前述の「残り時間カンペ」を持った時任さんも、スピーカーの向いている方向にあちこち移動していた。誠にご苦労さまでした。

大阪・関西万博とコワーキングの関係

このフォーラムのテーマに2025年の大阪・関西万博が絡んでいることにちょっとだけ触れておこう。

最初、こういうテーマでやると聞いた時は、正直言ってコワーキングと万博の接点がよく理解できなかった。が、よく聞くと、万博のプログラムのひとつに「共創」がある、と。

「TEAM EXPO 2025」と題するそのプロジェクトは、SDGsに絡めて日本各地で理想とする未来社会を共に作り上げていく、つまり「共創」がキーワード。

(出典:公益社団法人 2025年日本国際博覧会協会)

で、また勝手に考えた。その活動の拠点として、各地のローカルコワーキングを活用して横につないでいけば、全国のコワーキングをネットワークするという構想に合致するかも。

この万博は開催期間が半年もあるらしい。とすると、大阪や東京、京都だけを見て終わるのではなくて、もっと地方の、トラディショナルなジャパンを体験したいという人も訪れるんじゃないか。

で、その中には(観光客ではなくて)かねがね言ってるデジタルノマドもワラワラとやって来る可能性がある、というか呼び込む。彼らに、ローカルコワーキングを訪ねてもらって、地元のコワーカーと交流する機会を作れば、それこそ「知の再結合」が起こらないとも限らない。

「知の再結合?なにそれ?」という方はこちらを。

というような妄想を披露して第1部を締めた。勝手に。

ローカル連携でのイベント開催のすすめ

まあ、万博はさておき、こういうイベントは各地でやればいいと思う。来年は瀬戸内でやるみたいだし、九州や東北でもローカルコワーキングが連携してやったらいいと思う。そこに全国各地から集まって「共創」関係を広げていくのがコワーキングらしくていいんじゃないでしょうか。

余談だけど、東京から来られた方の話によると、東京にはつながってイベントをやるという動きはまったくないらしい。まあ、集まらなくたってビジネスとして困らないということかもしれないけれど。

もちろん、このフォーラム関西もコワーキングの利用喚起を目的の一つとしている。が、その根底には人がつながるコミュニティを自分たちで作っていこうという気概がある。それは、何も関西に限らないはずだ。いや、むしろローカル、地方でこそつながってコトを起こすというスキームが必要だと思う。

ちなみに、ご記憶の方は少ないと思うが、四国では2013年11月に「四国コワーキングフォーラム」が高松で開催されていて、ぼくやPAX Coworkingの佐谷さん、Hanareの新妻さん、新潟ギルドハウスの西村さんなんかが参加した。実はこれ、四国経済産業局が主催で、国の機関が主催したコワーキング関連のイベントとしては最初のものだった。

そのことは、8年前に刊行した『コワーキングマガジンVOL.1』にも書いてある。まだあったのか、と思われるだろうが、苦節8年、在庫がいよいよ最後の一包みになったので、興味ある方はお早めに。

これからのコワーキングのカギを握るのは女性

ところでもうひとつ、記しておきたいことがある。今回、特に感じたのは女性が元気、というか、女性がコワーキングというカルチャーの中軸になっている、ということだ。

絶対数は少ないが、むしろ必要としているのは女性のほうではないか。それは、ぼくが2010年に始めた最初っからそうだ。コワーキングツアーで地方を回ってるとさらにそれを強く感じる。

まず、目的を身近に捉えてそれに対する行動が速い。それがコワーキングにあるのなら、「じゃ、それ」という感じ。男は手続きを重視するきらいがあり、どこか迷いがある。

それに女性の方が社交性がある。給湯室で雑談に花を咲かせて情報共有するのも女性だ。そんな彼女たちが、自分ごと、いや、自分たちごととしてコトにあたる時、そのチームワークはとても頼りがいのある戦力になる。

もし性差別的に聞こえたらそれは誤解だ。ではなくて、生物学的に男と違う能力が作用しているのかもしれない(知らんけど)。いずれにしろ、コワーキングの盛衰は女性にかかってると思う。

あ、そういえば、第3部で各部屋に分かれてアンカンファレンスが開催されたのだが、ぼくがオブザーバーで参加した703号室でも圧倒的に女性が多かった。

ちなみに、この第3部のアンカンファレンスではぼくはほとんど喋っていない。

テーマ決めも進行役も参加者の皆さんで決めてねと説明しただけで、あとはサークルの外で傍聴して対話に一切口は挟まず、脇道に逸れようが脱線しようが流れに任せ、そこで交わされた言葉から各自がインサイトを得ることを目的とした。

コワーキングは対等の立場で交わすコミュニケーションありきであり、その対話の中から気づきを得る。そこには答えというものはない。差し出されたヒントを咀嚼し、実践してみる、そういうシェアの機会を提供するのもコワーキングの役目だ。そもそも、アンカンファレンスってそういうものだし。

ここで皆さんが対話したテーマは「コミュニティ形成にイベントって必要なの? 」と、「そもそもコミュニティマネージャーってなんだろう?」だったが、各自が日頃から抱えている課題感を共有するところからはじまり、静かな語り口の中にもハッとする言葉(例えば「コミュニティマネージャーって必要なのかな?」)が漏れ出たり、傍で聞いていたぼくもいろいろ思いを巡らす貴重な時間となった。

そうした熱量の高い日を過ごした数日後、なんじゃこれは、という記事に遭遇してゾワゾワすることになる。

これはちょっとマズイな、と。

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