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「隠れワーケーター」の存在は個人が自律的にワーケーションする時代の幕開け

※このブログは、ブログジェリーVol.99において、ローカルコワーキングのための学びと部活動「コワーキングLAB」の会員限定で配信されているニュースレターから一部加筆して転載しました。

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さて、緊急事態宣言もいったん終了し、街にも少し活気が戻ってきた観がありますが、皆さん、いかがお過ごしでしょうか?

そんな中、ワーケーション(騒動)も移動の自粛ムードに押されてか、なんとなく尻すぼみという感じもしますが、個人的には早晩、企業主導の「日本型ワーケーション」が廃れて、徐々に個人ベースで実践するワーカーが増えてくると考えていて、それが本来のワーケーションなので早くそうなることを願っています。

そもそもワーケーションとは、個人が自律的に休暇を取りつつ仕事する環境を確保するものであって、いちいち会社に指示されてやるものではありません。そんなことやってるのは日本ぐらいなものでしょう、なので、日本型、と言ってます。

そのことは随分以前ですがここにも書きました。

仮に会社の制度でワーケーションに参加したとしても、「これなら自分でやったほうがよっぽど楽しい」と誰でも思うはずです。

それに、そういう自律的なワーカーが望むものは観光で「消費」することではなく、地元のヒトやコトとの交流という「体験」のほうであり、彼らはそこでの新しいリレーションシップが自身の人生にとって価値あるものだと考えています。

そうしたワーカーのマインドに響き、双方のつながりを作る方法として、地域の課題の解決にワーケーションで訪れた人たちを巻き込んでいく「地域課題解決型ワーケーション」を実施する地方自治体もあります。

長崎県五島市の「五島ワーケーション・チャレンジ 2020」は、その最たる事例です。2020年1月16日から1ヶ月にわたって開催され、62名(うち、20%が前回からのリピーター ←ここ大事)が参加しました。

以下の記事に詳しいので参照ください。

この事例で注目すべきは、滞在期間中に開催したワークショップに、延べ223名が参加し、そこから起業した人が6名も現れたという事実です。

つまり、観光客の一過性の「消費」を期待するのではなく(それもありつつ、それよりも)、島外の人との新しい出会いを契機として地元の人たちに起業・創業の機会を設け、継続的に地元経済を回していくエンジンを作ること、そのことに取り組んで一定の成果を上げている、ということです。

しかも、このプログラムの参加者には一切の補助はありません。すべて自費で参加しているのです。つまり、そこに自分が関わりたいコトがあれば、自前でやってくるヒトは必ずいるということです。

そして、その地元(ローカル)と外からやって来る人(リモート)をつなぐ接続点になるのが、ローカルコワーキングです。ここを拠点にいろんな交流プログラムを実行することで、双方に新しい価値を生む機会を提供できます。

地方自治体は、ここに注力するべきです。つまり、「客」を呼ぶのではなく「協働できる仲間」を作る、ということ。どっちが継続的にローカル(地元)に貢献するかは明らかです。

で、こういうことをするヒトは、だいたいにおいてミレニアル以下の世代の人たちです。なので、ぼくは地方自治体や内閣府なんかにも、一発で人数を集められる(大)企業ではなくて、自由に移動できるミレニアル世代の個人にフォーカスしてワーケーションのプログラムを企画してプロモーションするべき、と提案しています。

まあ、そうは言っても旅行代理店に丸投げするほうが楽なんでしょうか、一部を除いてたいして反応はありませんけれど。

ところが、それに絡んで、8月に実に興味深い記事がありました。

「ワーケーション実施者は社交性が高い」というのは、前述の通り、ヒトとの交流に重きを置くヒトがワーケーションするから当然なのですが、とりわけこの記事で要チェックなのは2ページ目に出てくる「隠れワーケーター」です。

こんな言葉、聞いたことありませんが、実際にワーケーションを体験した人を対象に、勤め先のワーケーション導入状況をアンケートしたところ、なんと、

「導入されているが利用したことはない」(17.7%)
「導入されていない」(27.2%)

と回答しています。

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(画像出典:新公民連携最前線ウェブサイト)

繰り返します。「実際にワーケーションを体験した人」が対象です。つまり制度の有無にかかわらず、会社の制度としてではなく、自分でブッキングしてワーケーションする「隠れワーケーター」が合わせて44.9%も存在した、という事実です。

これまさに、個人で判断して行動している、ということであって、働き方の改善(というよりも、会社の都合より自分の人生)に関心の高いワーカーは、会社に監視されながらやるワーケーションよりも、時間と仕事を自分でコントロールして自主的にワーケーションする傾向に(やっぱり)移り出したと見るべきではないかと思います。

何度も言いますが、企業主導のワーケーションは間違いなく廃れます。いくら会社がやいやい言ってもワーカーが反応しない、笛吹けど踊らず、になるはず。あと1年がいいところでしょうか。しかし、それをステップとして次に個人が動き出します。それだったら、今から個人に照準を合わせておくべきです。

コロナが落ち着きを見せ始め、新しい内閣が組閣され、GoToトラベルも復活か、とにわかにソワソワしだしていますが、コロナ禍で移動を自粛していたことへの反動も手伝って、日本でも個人が自律的に「移働」する機会を自分で計画するようになるよう願っています。

そして、ローカルコワーキングはそういうワーカーに対して、ローカル(地元)との接続点となるように、ローカルコミュニティとして成立しておくこと、それが望ましいのは言うまでもありません。

蛇足ですが、個人が自分でワーケーションしてくれれば、企業もいちいちお膳立てしなくていいので楽です。ワーカーによって与えるワーケーション期間を決めて、「自由にどこへでも行って来い、ただし仕事はやってといてね」でいいんです。

相手はオトナなんですから。

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※このブログは、ブログジェリーVol.99において、ローカルコワーキングのための学びと部活動「コワーキングLAB」の会員限定で配信されているニュースレターから一部加筆して転載しました。

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