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空振りの提案〜娘達と私のリアルなやりとり〜

ある日の仕事中、私は突然「もう薬剤師疲れたー、飽きたー、この先も薬剤師で娘達を養っていく想像が出来ないー!」という気分になり、同時に「そうだ!娘達と3人で何かビジネスをすればいいんだ!何て素晴らしい思い付き!そっちも充実すれば薬剤師も楽しくできるかもー!」と、意気揚々と家に帰った。

仕事と低気圧で目が回りながら、落ち着かない感じで夕食を摂り、娘達に話した。「ねえ皆さん、ママるん今日思い付いたんだけど、3人でネットビジネスやりませんか⁉︎」・・「ネットビジネスってどうやるの?」と長女が言った。「私も具体的には何も無いんだけどー、動画配信もネットビジネスだし、ネットショップもそうだしー。」と私は答えた。「ハンドメイドとかね。」と中1の次女が言った。「それぞれが得意な事をそれぞれやって、その融合とか、リンクで娘こちら母こちらとか。アネはユーチューブの動画で、イモウトは絵を描くとか。あとはそれぞれアイデアがあれば持ち寄ってさー。」と私は適当に思いついたことを言った。「動画なんだけど、今のパソコンのスペックだと画質が悪すぎるんだよね。」と長女は言った。・・「人は死が近づいたときに、やってしまった後悔よりも、やらなかった事への後悔をするらしいよ。」と私はそれらしい事を言った。そんな感じで話は終わり、長女は自分の部屋に戻り、次女はその日の担当の食器洗いを始めた。・・うーん、何か空振った気がするなぁ、と思いながらその日は寝た。

翌朝起きて考えた。長女は動画配信をやりたいと前言っていたが、パソコンのスペックのせいでやる気にならないと言っているのか、それとも今は他にやりたい事があるのか、どうなんだろう。そもそも私が良い思い付きだと思ったものの、昨日は良い精神状態ではなかった、逃げたくなった為に良い考えだと錯覚したのではないか。考えてみれば、人と何かをする時は、それぞれが独立していなければ成立しないのではないか。何かをやろう!なんて私がお膳立てして何にもならず終わりそうだし、仕事でもかつての旦那の事でも、相手が必要としているか関係なく、私が勝手に介入することで人の自主性を潰してきたのではないか。それにもし娘が言い訳をする事があるとしたら、それは私が言い訳をしながら生活をしているからかもしれない、そんな親の姿を見せていたらダメだ。娘達も成長したし、本当はもっと私は自由にやりたいことを出来るはずなのに、彼女達に生活を合わせることを口実にして、何か先延ばしにしたり行動しないでいるのではないか。

そんな事を考えながら朝支度を終え、折を見て今夜娘達に、昨日の私の思い付きの撤回をしよう、と考えながら仕事に行った。

夜、皆が和やかな雰囲気になったところで、「あのー、昨日わたくし、あんな事を言いましたが・・・、」と上記の思い直した内容をそのまま伝えた。すると長女は言った。「ユーチューブに関しては、もうこれだけ広まってると、何もない素人がただ始めても、何も注目されないと思うんだよね。ユーチューブ出始めなら違ったと思うけど。でも終わりって言う事じゃなくて、もっと広がっていくと思う。私は高校卒業して、一年とか半年とか集中して負荷をかけてある事をやって、それを元に、結局は動画配信をしたいんだけど、そう考えてる。しかも、余命何年でやりたいことみたいな話をママるんが昨日してたけど、そういう想像って逆に焦りになっちゃう。でも昨日は今この人に何言ってもダメだと思って自分の部屋に行ったけど。」すると次女が言った。「私的には昨日の展開、面白かったんだけどなー、この二人噛み合ってないなーと思って。そう思いながら洗いもの始めた(笑)。」どうやら次女は長女が企んでる内容を知っているようだ。私は言った。「そおかぁー、ママるん血迷ってしまった〜。でも卒業したら何をするかは言わなくていいからねー。」

私が血迷った事に対して二人は笑いながら慰めてくれたし、私も以前の記事で娘達を信用していると言いながら、自分の状態によって視界が狭くなったり焦ったりしてしまうんだなー、ちょっと情けないなー、と思った。でも人間そういう事もあるさー、と開き直り、やっぱり若い二人はすごいなぁとしみじみ思った。そしてまだ何者でもない私は、まだしばらくは、メンバーに恵まれた今の薬局で有り難く仕事をしていこうと思った。

長女は今年度で通信高校卒業予定で、卒業してからやるということは、高校生はNGとされている何かなんだろう。進学も就職も決めず、彼女にお任せとなっているが、何をするか私が知らないなんて楽しみ〜!と思った。

今回私は空振りの提案をしてしまったが、それで気づいたり分かった事もあるし、そんな感じのやり取りがあったという話。


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