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【詩】 コミュニケーション


木々がざわざわと音を立てる
何者かが横切った痕跡をそこに残して
木々の話し声がふと聞こえる
歓迎しているようでもあり
ここから立ち去るようにと警告しているようでもある
ぼくをよく知っている木々に囲まれているとき
ぼくは嬉々として快くスキップする

小鳥がぼくに挨拶してくれる
小鳥の話し声がふと聞こえる
心の中の声はとても暖かく
ぼくを明朗とする
小鳥はぼくのことをよく知っているようだ
小鳥はそして飛び立つ

遠くから
ぼくを見守るようにして背中を押す
声にならぬ声
木々たちの
小鳥たちの
話し声がする
彼らは互いに話している

静寂の中
心の声に耳を澄ます
憂いの中
心を溶かすように

何者かがそっとその心をなでる
すると話し声が聞こえた
誰もいないと思っていたのに話しかけられて
ぼくの血脈は大海へと流れ出したようだった




2014年作


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