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【詩】 潮が満ちて


夜9時をまわった頃
女が急にお腹が痛いと言い出した
聞くと女のあの日だと言う
男のぼくにはわからないが
ゆっくり休んでとしか言えなかった

翌日になっても
体の痛みのひかなかった女は
仕事を休んで
動けなくなった
お昼ごはんを食べれないほどの痛みである
かわいそうに
痛みが和らぐのを祈るばかりだ

ぼくは女の人の体には無知だ
生理痛ってこれほどひどいものなのか
労ってあげたい
守ってあげたい
痛みが緩和されることはあるのか
男にはないものだからわからない
動けないほどの痛みとは
相当のものだろう
それなのに
優しく愛してると言ってくれる

潮が満ちてきたばっかりなんだ
心配で仕方がない
できれば頭を撫でて
お腹を擦ってあげたい
女は離れた場所にいて
飛んでいくこともできず
痛みがすぐにとんでしまうこともない

潮が引くまで待つしかないのか
月のせいだ




2023年作

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