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③グレとその仲間たち(地域猫)

このあたりには、地域猫としてTNRされた猫さんたちが暮らしていました。
マンション周辺のすぐ近くにはトラ・クロ・三毛の姉妹が主に縄張りにしている様子で、ほかに数匹、何軒か先、すこし離れたところをテリトリーとしていて時々やってくる子がいました。
みんな基本的に人間からは逃げる典型的な「ノラ」という感じで、表情もとぼしいし、目が合ってもニラむようなおびえるような目つきでした。

週末には保護猫カフェさんで人なつっこく可愛い猫さんたちに触れあっていたので、その差は大きく感じました。改めて、一時預かり様ってすごいなぁと思います。

それでも、日向ぼっこをしている姿をみたりと毎日のように見かけるようになるとだんだんその子たちの行動パターンや性格や個性がわかってきて、気にかけるように。むこうも私たちの顔や足音を認識して、ちょこんと顔を出してくれたり^^

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近づくと逃げてしまうので距離は保ったままでしたが、こちらの話しかける声に耳をむけてくれたり、こうやって目と目がちゃんとあって、こちらの様子をうかがっているようなそぶりも。ちょっとした動作や目つきがどんどん変化してきていました。コミュニケーションがとれるようになってくると、猫さんたちの表情が変わってくるのが手に取るようにわかり、とてもかわいい顔になり、この子たちのことがとても愛おしく感じていました。

グレはこの子たちより後から生まれてこの付近にやってきたわけですが、この3姉妹とはとくに争うようなところは見たことがなく、そこそこ距離を保ちながらも共存しているようでした。

*  *  *

3姉妹のうち、トラとクロは毎日姿を見ていたのですが、三毛はたまに見かける程度でした。多少、なわばりがちがっていたのでしょう。トラとクロは、夜はマンションの1Fの部屋の、ベランダの隅に二人でくっついて寝ていました。

雪の日は、丸まったふたりの毛のうえに雪がつもっていました。

とても冷えた冬の日の朝、出勤しようとすると駐輪場のママチャリの子ども用シートの上に、三毛がうずくまっていました。体調はひどくわるそうで近づいても逃げる元気がないといった感じで、力のない目線をわたしに一瞬むけました。毛もボサボサで臭いもしました。

その日の夜から、三毛は姿を見せず、私たちは毎日心配していました。

*  *  *

数日後、私たちが帰宅すると、トラクロに続いて、三毛も走ってきました!
ゴロンゴロンとお腹もだして、体調わるくなさそうでした!どこかでしばらく療養してて、回復したのかな!
「おやつをとってくるから待っててね~」と部屋にもどり、ちょうど運送会社のトラックも来てたので、それが行ってからあげよう、とふと窓から見下ろしたときでした。

三毛が道に横たわっていて、動くけはいがありません。

運送会社のトラックがとまっていた位置でした。

ほんの、たった数分の出来事でした。せっかく元気になってわたしたちのところに走ってきてくれたがゆえにこんなことになってしまいました。わたしたちが帰ってくるタイミングがあと1分おそければこんなことにならなかったかもしれません。考えても考えても、時間は戻ってくれませんでした・・

それから、二日くらい、トラもクロも、姿をあらわしませんでした。


〈つづく〉

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