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祖先鴨説

「人間の祖先ってなんやと思う?」

 「人間の祖先はまぁ、猿なんちゃう?」

「なんで?」

 「なんでって、見るからに人間に近いやん」

「それはちょっと弱いなぁ」

 「弱いってなんやねん」

「いやもっと強い説あんねん」

 「強い説?」

「人間にだけできて、他の動物にはできひんことってなんやと思う?」

 「えー、あ、火!火を使うこと」

「ブー!ボートを漕ぐこと」

 「ボートを漕ぐこと?」

「このボートを漕ぐことの突破口を開いた動物が、人間の祖先やねん」

 「何を言うてんの」

「鴨がネギ背負ってく来る」

 「え?」

「猿とか火とかお望み通りの返ししかしてこおへんまさにお前のことなんやけど、鴨がネギ背負って来るって言うやん」

 「めっちゃ喧嘩売られてる?」

「鴨がネギ背負って来るってことは、何も背負ってないときに比べて、体力が削られるわけやん」

 「なんの話?」

「鴨がや、鴨の足腰に負担がくるわけやん、ネギの分」

 「あーほんまにネギ背負ってる鴨の話してんの」

「でな、歩きやったらええけど、あいつら水面も行きよるやん」

 「水面の方がよう見るよ」

「水面ってたぶん鴨にとって、自転車やと思うねん」

 「自転車?」

「人間で言うところの自転車、歩きよりは楽やん」

 「あぁ、鴨にとっての水面は、人間にとっての自転車ってことね」

「そう、ただネギはまだ背負ってるからね、しんどいはしんどいんよ」

 「ほぉ」

「物干し竿4本背負って自転車なんよ」

 「それはしんどいな」

「さらに水面やからね、じっとしてたら重みで沈んじゃう」

 「そんな重いかなネギって」

「沈まんためには進み続けなあかん」

 「うん」

「そこで鴨は閃いた!」

 「え」

「背負ってるネギを一本抜き取って、ネギで漕ぎだしたねん」

 「あぁ、ここでボートね」

「そう!この鴨の急死に一生のアイデア、ネギで漕ぐが、ボートを漕ぐ、ボートを漕ぐは人間、鴨は人間、人間の祖先は鴨!」

 「…うん、まぁええんやけどさ、『鴨がネギ背負って来る』って人間が考えたことわざ?故事成語やから、先に人間がおるわけやん」

「…」

 「途中の自転車の例えも、人間がおらん頃の話やのに『人間にとっての』とか言ってて冷めるし」

「自転車も漕ぐって言うやん!自転車って陸やのに漕ぐにはさんずい付いてて変やとずっと思ってたけど鴨がネギ漕いだことに由来するってことで説明がつくやん!」

 「いま気付いたやんそれたぶん」

「…」

 「…」

「わかった、じゃあもう、人間の祖先は鴨、とは言わんよ」

 「そうなん」

「人間の祖先は鴨かも」

 「ええやん」

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