空腹と スルメと 私

『空腹と スルメと 私』

好きな食べ物を質問されたら『イカ』と答えます。
イカの塩辛だけ あまり好みませんが
イカは 煮ても焼いても 生でも美味い。

私の両親は珍味が好きで
私が幼い頃から 旅のお供に
イカの珍味が必ずあったと記憶しています。

珍味だけに 珍騒動。。。
スルメが起こした
ちょっと気持ち悪くなる話があります。

幼い頃  私はどこに向かっていたのか？
全く記憶になかったので
大人になってから 母に聞いたところ
スキーをしに 北海道内の鉄道に
乗っていた時のことらしいです。

猛吹雪で電車が進まず
電車の中に缶詰状態になったそうです。
何時間経ったのかな？

所持してた食料が少量パックのスルメのみ。
家族3人で分けて食べても
胃袋が満たされない量でした。
売店も 車内販売もなかったので
このスルメを食べるしか道はない。

3人で分けて 1人2本くらいかな。。
自分の分を食べ終えて、まだ食べたかった私。
目の前にいる父が ゆっくり噛み続けた
シュワシュワになったスルメを
羨ましそうに見つめていました。

これね。
ビデオとか写真に残ってないから
私の記憶なんだけど。
その時 父が食べている 噛み尽くされたスルメが
めちゃくちゃ美味しそうに見えたんです。

羨ましそうな眼差しを受けた父が
噛み尽くされたスルメを口から出して
食べる？と聞いてきたの。で
ちょっと迷ったけど…

私 食べました。

正直 どんな味だったか？は覚えてない。
想像したくないけれど…
スルメの味なんて残ってなくて
父の唾液（出汁）がスルメに染み渡っていたと思うの。。
おえっ。

ジブリ作品『もののけ姫』で
サンが 噛み砕いた何かを
弱っているアシタカに口移すシーンありますよね？
行為としては ほぼ一緒だと感じつつ
アシタカと サンのような
美しさはありません。。

生きろ……そなたは美しい by アシタカ
この言葉が心に染みる。
ごちそうさまでした。