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SDGsな住まいづくり

 建政部は、まちづくりだけではなく、住宅等の住まいづくり、建築、建設業や不動産業など多岐にわたる業務を行っています。
 今回は、住宅に関する事業について、「住宅整備課」から紹介してもらいます!
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 こんにちは、住宅整備課です!
 住宅整備課は、住環境・市街地環境の整備、公的賃貸住宅等の住宅の整備・管理や空き家対策に関する指導や助成などを行っている部署になります。

 そのなかから、今回は住宅の省エネをテーマにした内容を紹介します。
 現在、2050年のカーボンニュートラルの実現に向け、住宅の分野でも様々な取組みが行われています。住宅の省エネ化は、環境に良いことはもちろんのこと、高断熱によって室内が快適になったり、寒暖差を抑えた健康効果があったり、さらには災害時の電源確保などなど、住む方々にとってたくさんのメリットがあります。
 そんな省エネ住宅のメリットを、1戸でなく街として取り組み、省エネ化に向けた官民連携による脱炭素や地域コミュニティの形成につなげた事例として、現場視察に行ってきたので紹介します!!

1.浦和美園E-フォレストって?

 今回の舞台は、埼玉県さいたま市緑区の「浦和美園駅」を中心に総面積313ha の大規模開発をしているエリアとなっています。
 さいたま市の事業で、駅・公園・道路などをバリアフリー化し、埼玉スタジアム2○○2や様々なショッピング施設が開業しています。『自然』✖『スポーツ・文化』✖『利便性』を兼ね備え、発展を続けるこのエリアの中に誕生したまちづくりです。


2.どんな取り組み?

 さいたま市が「スマートシティさいたまモデル」の実証街区として、住まいを通じた『地域コミュニティの醸成』『まちぐるみの省エネ化』によって、社会の課題解決のロールモデルを目指した、先進的な取り組みとなっています。

(1)『地域コミュニティの醸成』ってどうやって?

 この地区では、各住戸の敷地の一部を共有地「フットパス」として、建物同士の距離を取りつつコミュニティの場に活用しています。

<出典:(株)中央住宅>


 実はこの石畳がある部分、住戸それぞれの土地を少しずつ提供し合い、「フットパス」として住民同士のコミュニティにつなげています。
 遊歩道として使いつつ、緑化や日当たり、風通しの確保、さらには電線等の地中化にもつなげる工夫です。

<出典:(株)中央住宅>

 
 従来型の建物配置では、隣り合う住戸の一部分の距離を詰めて庭や駐車スペースなどとして確保されていましたが、この地区では、あまり使い道のなかった隣地側の敷地について、それぞれの住戸の土地を少しずつ提供し合って組み合わせ、フットパスとして整備・利用しています。

 写真からもわかるとおり、車が通らない安心感と、樹木の景観美を味わいつつ、住民同士の自然な交流を促します。

フットパスの利用状況<写真提供:(株)中央住宅>

 ≪!ポイント! ーフットパスではこんな工夫やメリットが!ー ≫
 ・地役権の設定により、お互いに通行可能に!
 ・玄関の出入りはフットパス側とし、向かい合いのコミュニティを形成!
 ・歩車の分離を促し安全性向上!さらに災害時等の多方向避難を実現!
 ・建物同士の距離をとって明るさや通風しを確保!延焼の抑制も
 ・フットパスの緑道化でまちなみ景観を形成!
 ・各住戸の窓前に木立を配置、室内からは庭先の木々を眺めつつ、外側からの視線に配慮!
 ・フットパスに電線類を埋設、道路掘削を減らしてローコストな無電柱化

 さらに、様々な仕組みがまちの交流につながっていきます!

循環型シェアリングコミュニティ<出典:(株)中央住宅>
雨水タンク
ポタジェ(家庭菜園スペース)


(2)『まちぐるみの省エネ化』って?

①住戸ごとの高断熱仕様
 「エネルギーを最適化」した家を目指して建物の窓や躯体断熱を強化することで、住まいの断熱性・気密性を高めることで住んでいるだけで省エネに貢献できます。
 断熱化によって建物内の居室や廊下・洗面室などの寒暖差が軽減され、身体への負担を抑えた健康効果も期待できます。

住宅の外皮平均熱貫流率(UA値)基準の国際比較<出典:(株)中央住宅>

≪!ポイント! ー世界水準の高断熱で快適と健康に配慮ー ≫
・建物の断熱性能をHEAT20 G2基準(外皮平均熱貫流率 UA値0.46)を全住戸の標準仕様とし、1戸でなく街全体で一次エネルギー消費量を抑制!
・さらに非暖房時の室温を約15℃に保ち寒暖差を軽減、ヒートショックなどの対策につなげることで、健康的で快適な住まいへ!

②エネルギーシェアリング
 先程登場したフットパス部分を活用し、送電網を地中化、各住戸の太陽光発電の電力をチャージエリアに集約、各世帯に再分配します。
 チャージエリアは、このまちづくりのほぼ中央に位置する敷地で、蓄電池とシェアリング用等のEVのスペースとし、余剰分の蓄電と電気需要時に放電でまちの再エネ自給率を高める工夫です。

チャージエリア<出典:(株)中央住宅>

 ≪!ポイント! ースケールメリットを活かした電力供給ー≫
・まちの全住戸の屋根に設置した太陽光発電による電気は、フットパスなど
 を通じて集約・蓄電!
・夜間は蓄電・充電された電気を各戸へ供給!
・災害時等でも15時間継続して自立運転し、電力を供給!

3.官民連携のそれぞれの役割は?

 自治体、事業者などが官民それぞれの立場でできることで連携し、このスマートシティ構築を皮切りとして、市全域でのスマートシティ化を推進するとともに、二酸化炭素排出実質ゼロを目指しています。
 そして全国への普及モデルとして街づくりを体系化し、広く波及させる取組みとなります。

<出典:(株)中央住宅>

≪!ポイント! ーそれぞれの立場・得意分野を活かした連携ー ≫
○自治体(さいたま市)
 ・市民の方々、関係者の方々がまちづくりに参画するための情報の提供
 ・総合的な視点からまちづくりの進行の調整
 ・事業の展開のための普及活動
 ○住宅事業者
 ・コモンスペース創出や全体的なデザイン
 ・建物の高断熱化、温度の脱炭素型まちづくりの体系化
 ・住民同士の交流、地域との交流の支援
 ・コミュニティの醸成を通じた平時・非常時の安全性確保に寄与
 ○電力事業者
 ・街区や地域単位のエネルギーマネジメント
 ・太陽光の余剰電力量などを予測、再エネの自家消費率の効率化

4.まとめ

 今回は、住まいの省エネをテーマにご紹介しました。
 省エネに取組む過程でそれぞれの立場からたくさんの工夫がなされ、さらにまちのコミュニティの醸成までつなげた事例となっています。
 住んでいるだけで暮らしの省エネ化と、住民同士の自然な交流がつくられていきます!
 
 このようなまちづくりの取組みが普及していくことで、2050年のカーボンニュートラルの実現を目指し、より良いまちづくりにもつながります。
 みなさんも住まいを考える際に、省エネやまちづくりも気にかけてみてはいかがでしょうか?


※掲載資料等は、事業当時のものです。


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★あとがき★
 ひとりひとりのよりよい住まいづくりは、よりよいまちづくりにつながっているんですね。
 流域治水の視点からのまちづくりとはまた違った視点いかがでしたか??
 建政部の仕事は多岐にわたりますので、次回も乞うご期待!!