発話分析1(動詞ないです)

私の好きなことの一つに文法分析、言語分析があります。大学で研究しているというより趣味です。そこで、たま〜に私が分析したものを、ここに有料で書いてみたいと思います。

あ、有料と言ってもチップ制にします。記事は無料で全部読めますが、「この記事、面白いじゃん!」と思ったら、日本語教育オタクにチップを与えていただけると嬉しゅうございます。返金はしませんので、よろしくお願いします。

なぜ有料にするのかというと、日本語を勉強したい人に広く教えたいんです。Youtubeではなく、私は個別指導が得意なので、その学習者さんにあった指導をしたいのです。お金を払うことはできない、でも勉強したい、そんな人たちにも教えたいのです。

私がHappyだとみんなもHappy、日本語教師がHappyだとその生徒もHappy、日本語教師がHappyだと世界中の日本語学習者もHappyという、Happyの連鎖が起きると思っています。本気で。

今回のテーマは「動詞普通形の否定ないです」中級レベルの学生が書いた作文から拾いました。

以下の文を読んで、私は違和感を感じたんですが、皆さんはどう思いますか。

1 そうなるとは思っていなかったです。 

2 対策をしていなかったです。 

3 そんなことをしていたら、大切なものを見つけられないです。

私だったら、

1’ そうなるとは思っていませんでした。

2’ 対策をしていませんでした。

3’ 大切なものを見つけられません。

なんですよ・・・。それで、123を分析してみると、これ、

動詞普通形の否定形+です。

ですね。

これだけ同じように書いているということは、何か彼の中で法則があって、それを使っているんじゃないか?と思ったんですよ。それで出てきたのが、

「過剰般化、エラー」ですね。

「過剰般化」は、その言語のある規則を他の規則に当てはめること

私の生徒さんの例では

い形容詞の否定 例えば、「高くないです、高くなかったです」を動詞の否定に使っている、のではないか。同じように、「食べたくないです」という「欲求の否定」に影響を受けているのではないか。

「エラー」は、ある時点で学習者が作っている規則に、基づいて、繰り返し起こる誤りのこと。

どうも、定期的に動詞+ないですを使っているような気がします。

と、ここまで分析してはたと思い出した!大学院時代に、10個のお題の中から
一つ選んでレポートを書くアサイメントがあった。その中の一つに

「今朝、ご飯を食べなかったです」は正しいかどうか?

みたいなもの。私はそれを選ばなかったんだけど、確か、これを会話で使う人が増えているみたいな話だった。それが、10年前・・・。ということは、それがすでに浸透しているということか??と考えた。

そこで、私の日本語の教え方講座の受講者さんたちに聞いてみたら、違和感なし、と 違和感ありに分かれました。その時出てきた意見が、「ちょっと丁寧にいいたい時に『思わなかったです』と使う」(30代前半)と・・・。

なーるーほーど!!オモロ!

私と同世代の方は違和感あり。若い方は、違和感なしで使っているようです。

ちなみに、上記文を作文に書いた学生は、日本人と話す機会が多く、その日本人は
主に20代30代。ということは、学生は日本人から聞いて覚えたのではないか?

というのが今の分析。

そこでこれについて、日本語教師の元同僚に聞いてみた。その先生は新聞の校正員でもあるから、言葉の使い方には繊細です。そして、その先生の反応は・・・

「会話で聴く分には、違和感ありません」

でした!!!びっくりびっくりびっくり

「でも、仕事で校正するとなったら、「ません、ませんでした」 に直します」

だそうです。それから、

ちょっと、丁寧にいいたい時「思わなかったです」を使う「普通形+です」 は ありか?

について分析したところ、彼女は

「ある!」と。びっくりびっくりびっくり

それで、じゃ、それを言う相手との関係はどうか?

ちょっと親しみを持った上司に使っている

とのこと。

これは、「ちょっと丁寧に言いたい時に使う」に等しいよね?

それで、私も、話す相手についてもう一度考えてみた。

確かに!

言ってる・・・・爆  笑爆  笑爆  笑


正直言って、仕事上日本語で話す日本人が限られています。日本語教師か友達か家族かお店の人。だから、友達、家族は普通形、いや、方言。お店の人は丁寧語、敬語。日本語教師、その関係性によって変わる・・・。

ここだわ。

日本語学校で経営者には「です、ます」、同僚、仲がいい先生には「普通形、方言」この中間、いました。年齢が上なんだけど、親しみを持っている先生には

「そんなこと言わないですよ!」

って言ってる気がする・・・爆  笑爆  笑爆  笑

でも、学生の作文の添削をする時は、頭が日本語教師モードだから自動的に訂正していたんだと思います。そして、この「動詞普通形の否定+です」は会話で使うけど、人に見せるような文章を書くときには使わないのかなと思いました。

「言語は生き物」ってどこかで聞いた時、当時から私は本当にその通り!!って思っていたんだけど、こうやって分析していくと、日本語も変化してきていますね。あと10年もすれば、「きれいです」もい形容詞になって「きれくない」とか「きれいくない」になっているんじゃないでしょうか。すでに使っている人が多いです。

ほんと、文法分析、言語分析、大好きです。社会言語学も死ぬほど好きです。たまらんわ。さて、皆さんはどうですか?「そんなこと思っていなかったです」って、違和感感じますか?感じませんか?

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