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中国の歴史・思想・文化

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中国の古代思想と伝統文化について、現職時に研究テーマとしていた論考や、授業で使った講義ノートなどをアレンジしてみました。
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2023年10月の記事一覧

【荘子】「逍遥遊」~魚が鳥になって6ヶ月に9万里を飛んで初めて一呼吸するという話

荘子と『荘子』 荘子は、名は周。戦国時代、宋の蒙(河南省)の人。 儒家の孟子とほぼ同時代の…

泉聲悠韻
7か月前
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【老子】「小国寡民」~小さな国土に少ない人口が理想の国家形態であるという話

 老子については、以下の記事をご参照ください。↓↓↓ 「小国寡民」とは 老子の考えた理想…

泉聲悠韻
8か月前
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【老子】「天下に水に勝るもの莫し」~柔らかくて弱いものが堅くて強いものに勝るとい…

 老子については、以下の記事をご参照ください。↓↓↓ 「道」と「柔弱」 「道」(タオ)は…

泉聲悠韻
8か月前
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【老子】「無為自然」~やらないということをやるという話

 老子については、以下の記事をご参照ください。↓↓↓ 「無為自然」とは 老子は、人間は「…

泉聲悠韻
8か月前
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【老子】「道の道うべきは常の道に非ず」~わからないということがわかればよろしいと…

謎の老人~老子の正体老子、言わずと知れた道家の祖である。 孔子と並んで中国思想界の双璧で…

泉聲悠韻
8か月前
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唐代伝奇「杜子春伝」を読む~芥川龍之介は何処を如何に改編したのか

印度の説話 近代日本を代表する文豪・芥川龍之介の小説「杜子春」が、中国の小説を改編した…

泉聲悠韻
8か月前
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【中国の思想と文化】風月無尽~清風朗月は一銭の買うを用いず

「清風朗月は一銭の買うを用いず」(李白「襄陽歌」より) 哲人蘇軾の「赤壁の賦」  北宋の蘇軾(号は東坡居士)は、古来、中華圏の人々に広く愛されている宋代随一の詩人である。  その詩は、巨視的、楽観的な人生哲学に支えられ、理知的でありながら、かつ大らかで軽快な独特の風格を持つ。  役人としては、当時のいわゆる旧法党に属していた。王安石の新法に反対したため、中央を逐われて地方の知事を歴任し、後半生は、南の果ての恵州(広東省)、さらには海南島へ流謫の身となった。  強靱な精

【中国の思想と文化】中国古代のリーダー学~「桃李もの言わざれども、下自ずから蹊を…

古今のリーダー学  中国の古代思想、とりわけ諸子百家の時代の言説の多くは、もともと君主…

泉聲悠韻
8か月前
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【中国の思想と文化】中国古代の人間学~「君子」と「小人」

「君子」と「小人」  「君」は、領地・領民を持つ主権者のこと。「子」は、男子の尊称。  …

泉聲悠韻
8か月前
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【中国の思想と文化】「拙」の系譜~潘岳・陶淵明・杜甫・白居易、および明清の小品文…

はじめに  本稿は、「拙」の諸相を古代から明清まで通観し、中国の思想・文学にしばしば現…

泉聲悠韻
8か月前
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【中国の思想と文化】「愚」を歌う漢詩

はじめに  前稿、「愚の系譜(其の一)」において、「愚」の字義と古文献での用例を概観し…

泉聲悠韻
8か月前
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【中国の思想と文化】「愚」の文人精神

はじめに  中国古代の文人精神について、これまで「狂」と「痴」を中心に考察を重ねてきた…

泉聲悠韻
8か月前
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陶淵明「形影神」を読む~3人の陶淵明が語る「限りある人生の生き方」

陶淵明「形影神」 田園詩人・隠逸詩人として名高い陶淵明の五言古詩三部作である。  陶淵明…

泉聲悠韻
8か月前
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『聊斎志異』を読む~石マニアの話「石清虚」

石の精神文化  「石清虚」は、清・蒲松齢の『聊斎志異』巻八に収録されている石マニアの話である。  古来、石に関する怪異の記録は数多く、その類型も千差万別である。  石は、民間伝承や文学作品のさまざまな場面に登場し、多くの場合、ある種の霊力を宿した存在として現れる。  小説の世界では、『西遊記』の孫悟空は、花果山山頂の仙石が裂けて生まれ出た石猿であり、『紅楼夢』(別名「石頭記」)の賈宝玉は、天界で女媧の使い残した石が俗界に降りた者という設定になっている。  一方、石は