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社外役員研修について:テストを中心とした学びの手法

先日、女性役員向けの研修について議論がありましたが、結局役員研修で何をどう学ぶべきなのかを考えてみました。


「役員力診断テスト」の内容を見てみた

社外役員を支援している団体であるBDTIさんが、「役員力診断テスト」なるものを公表されていたので拝見してみました。
内容はコーポレートガバナンスコード、会社法、会計監査、財務に関するもので、最低限それくらい知っていないとといった内容ではありました。

公益社団法人会社役員育成機構(BDTI)は、2009年設立以来、コーポレート・ガバナンスの向上を通して日本企業および日本経済の健全な発展に寄与することを目的に活動してきました。BDTIは、取締役会メンバー・経営陣向けにグローバル経営手法とコーポレート・ガバナンスのノウハウを融合した役員研修(定期役員研修又は企業役員研修)や専門家によるセミナーを企画・開催しております。

「BDTIについて」より

そもそも会計士・社外役員として何を勉強すべきか

上記を見るに、会計士であれば会計と会社法、決算開示については「知らない」ということはないので、業界団体の研修を選んで受けることで最低限のアップデートはできそうに思いました。

しかし、取締役会の構成員としての役割が何かを知っていることと、取締役会の構成員としてWORKすることは全く別の問題です。
上記のテストは、前段が備わっていない方が就任されているという現状に問題提起をされたとの認識です。

取締役会の構成員として何を学ぶべきか。学習する方法論は人それぞれですが、会計士の場合は会計専門家として様々な資格試験を受け、法人で膨大な研修を受けてきているので学習方法に優位性があるのではと考えました。
覚えても覚えても忘れてしまう哀しいお年頃にはなってきていますが、今まで受けた試験を、社外役員業務に役立つかどうかの観点からふりかえってみました。
時々、会計士と弁護士、会計士と不動産鑑定士、会計士と医師、という難関国家資格のダブル(以上)ライセンスをお持ちの方をお見掛けします。その不断の努力に感嘆する限りです。
自分の場合はそこまでの難関資格はとても無理ですが、いろんな資格を興味に任せて受けてみたので、受けてよかったと思うものをピックアップしてみたいと思います。
勉強すること自体に価値があるという意図で、不合格となったものや、合否が未定の分も含みます。

学習エリアと対応資格について

1)会計、ファイナンス・・・公認会計士は前提として、証券アナリスト、M&Aスペシャリストなど。

2)監査、内部統制・・・公認内部監査人、公認不正検査士。監査役のための研修は監査役協会で受ける前提です。

3)法律・・・コーポレートガバナンスコードは前提として、試験勉強となると上場企業法務には実はIPO検定が有用かもしれないです。その他、衛生管理士、個人情報保護士など。ハラスメント対応等労務も重要ですが社労士までいくと負担が大きく知識も細かすぎますので、外部研修などでアップデートが必要かと思います。

4)経営、マーケティング・・・中小企業診断士をお持ちの方もいらっしゃいますし勉強すればいいのでしょうが、なかなかこれもハードル高いです。気軽なところでマーケティングビジネス実務検定など

5)IT、システム・・・実は国家資格のITパスポート、CISA。これは監査エリアかもですが

6 )英語・・TOEIC

失礼千万なことは重々承知ですが、コーポレートガバナンスコードなど学ぶべきものはテストつきのEラーニングにして合格するまで受講するという強制的なやり方も有用かもしれないと思いました。

監査役協会にもEラーニングと確認テストがありますし

結局知らずにいて困るのはご自身と会社なのでいい取り組みかと思います。

アクティビスト対応などはこれから資格ができるかもしれません。証券アナリストにあるような記述式の試験もでてきそうですが、当面は集合研修でケーススタディとして学ぶほうが適時性がありそうに思いました。

キャリア形成上役立ったと思う資格

以下は勉強してみてよかったなと思う資格を挙げています。

・公認会計士(受験免除となる税理士、行政書士)
キャリアのベースとなっており、思い切って受験してよかったと心底思っています。
独立開業して税理士業務をされるなら、税理士登録、行政書士登録が有効になる場合もありそうですが、そうでないなら会費やいろいろお付き合いもかかるので会計士一本でもよいかもしれません。

・個人情報保護士
・証券アナリスト
こちら民間の資格ですが、特に社外役員就任上、一回は勉強すべきとの認識です。

知見が高まり勉強してよかったと思う資格

・ITパスポート
とってどうなるものでもありませんが、国家資格ですしシステムの話をするうえで知っててもいいかなと

・公認不正検査士
勉強内容自体は大変興味深かったですし、履歴書に書くにはよいです。正式登録するために3人の推薦状が必要というのがネックです。

・TOEIC
英語を勉強しようと思うきっかけくらいにはなります。

ケース研修について

もともと、早稲田のファイナンス単科コースなど受けていたのですが、先日グロービスの会計士向け講座を受けてみて、ケースを使った集合研修は有用だなと改めて実感しました。
BDTIさん他、最近増えてきていますね。もともと、社外役員同士で「こういうときはどうする」といった意見交換は守秘義務の範囲で非公式に行われていたものではありますが、積極的に探して受講していくことも必要かもしれませんし、場合によっては自ら企画してもいいかもしれないなと考えています。

欄外

・CFP、節税系知識、資産税、相続検定など
自分自身の資産形成をどう考えるべきかを考える良いきっかけになりました。役員会で出会う方々も最低限確定申告は毎年されているので興味をお持ちのエリアです。
自身の財産なんて知れてますが、まわりの役員の方は資産家の方も多いので、財産形成や資産税については会計専門家として知っているとよいかもしれません。あくまで、話題として、ですね。

以上、とりとめもなく記載してみました。
夏休み時間があるのであらためて勉強してみたいと思います。

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