見出し画像

【実測】yumiko iihoshi porcelain - unjour apres midi cup

21.01.13_イイホシユミコ_unjour_apres midi_アートボード 1

yumiko iihoshi porcelainのカップ。「手作りとプロダクトの境界にあるもの」というブランドコンセプトのとおり、手作り感のある優しい風合いと手に馴染む機能性が融合したデザインになっている。
unjourというシリーズの中からのrainy grayという色のカップをベースに実測を行った。全体はライトグレーで、カップや持ち手のフチは白に近いグレー色になっている。

21.01.13_イイホシユミコ_unjour_apres midi-02

表面のテクスチャのイメージ。薄いグレーとやや濃いめのグレーが入り混じり、奥行きを感じさせる。ツルツルとした光沢感は薄く、ややマットな質感。それらがカップに自然石のような風合いとドッシリとした存在感を与えている。
実際に使っていて驚くのはどんな素材に囲まれていても存在感を放つこと、そして目立つのではなく背景として馴染むこと。例えばリビングのテーブルに置くとテーブルのガラスやリモコンのプラスチック、お菓子の紙箱やティッシュケース等の雑多な素材に囲まれるが、妙に目が惹きつけられてしまう。けれども目立つわけではなく、その場に馴染んでいる。

21.01.13_イイホシユミコ_unjour_apres midi-03

21.01.13_イイホシユミコ_unjour_apres midi-05

カップの大きさは直径約96mm、高さが約58mmと一般的なカップに比べると大きくて浅めのサイズ感。その分、重心が低く安定感があるため倒れる心配が少ない。ちょっとした安心感。
カップの厚みは基本は約4mm程度。縁に向かうにつれて薄くなり、最終的には約2mm程度になる。これは外観を印象を整えることに加え、口あたりもよくしている。薄い方が口の中での印象が薄まり、飲み物をより感じることができる。

21.01.13_イイホシユミコ_unjour_apres midi-04

カップの裏面には四角い枠の中にロゴが記載されている。
この部分は釉薬が乗っておらず白地になっており、その縁はフニャフニャと歪んでいて手作りらしさを感じる。全体を通してみると、手作りらしさはここにしかないためより印象的にうつる。サイズを測ると大体18.5mm×23mm程度と、切手とほぼ同じサイズ(18.5mm×22.5mm)になっている。
カップ自体をハガキに見立てているのかもしれない。

21.01.13_イイホシユミコ_unjour_apres midi-08

21.01.13_イイホシユミコ_unjour_apres midi-09

このカップの中で最も魅力的なのは持ち手のデザインだ。一言でいえば非常に持ちやすい。むしろ、ずっと持っていたいとも感じる。この1部分から生じる、使う喜びや触れる心地よさが、カップに対する愛着の入り口になっている。
持ち手の特徴はいくつかあるが、1つ目は断面形状。細長い楕円形になっており中心部で約4mm厚、縁の部分で約1mm程度になっている。持ち手の内側は肉厚で丸みが強く、指と良く馴染む。持ち手に指を入れる時、入れて掴む時に指の肉とこの丸みが上手くフィットし、密着するようになっている。カップを持ち上げる時に安定するし、何より密着感が心地よい。持ち手の幅は約21.5mmとやや太め。その分持った時のに安定感し、指の長さとも丁度合う。持ち手の外側も薄く丸みを帯びていて手あたりが優しくなっている。また、見た目としても楕円形にすることで細く軽やかに見えるため、一粒で2度美味しい形状になっている。

21.01.13_イイホシユミコ_unjour_apres midi-06

21.01.13_イイホシユミコ_unjour_apres midi-07

2つ目の特徴は持ち手を正面から見たときの形。基本形状は横長の楕円で、そこに円形を組み合わせた形状になっている。ちょうど持ち手の下側の付け根のあたりの曲率が変化している。カップを持つ時に持ち手に人差し指を通すと、下から中指で支えるかたちになるが、曲率が変化しているのはちょうど中指があたるところだ。
この微妙な変化のおかげか、ちょうど中指がはまりカップと手が固定され、安定感が一層増す。手とカップが一体となる感覚に近い。
手に馴染み体の一部になる感覚が、この製品を単なる小ぎれいな1つのカップではなく特別なものに押し上げている。

このカップに散りばめられた魅力は市販されている量産のカップと比べてみると分かり易い。一般的な持ち手は妙に細くて不安定だったり、中指をはめ込む窪みがそもそもないものが散見される。また飲み口をわざわざ薄くするようなディテールも見かけることは少ない。決して高価なものではなく、量産品よりは少し高い程度。

釉薬やプロポーションにこだわり魅力的な表情を作るだけでなく、手で触れて使ってから初めて感じる魅力まで丁寧にデザインされた一品だ。

実物はこちらから





この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?