ピンチをチャンスに変えた話
信頼してもらっていた取引先への支払い金額を生活費に使い込んだ僕。
当然のごとく取引先は烈火のごとく怒り。呼び出しをくらった。
もちろん僕がやったことは犯罪に近い。
わかりつつ、いや、その瞬間は生きるのが精一杯で罪悪感すらなかった。
(今になって思うと借金って本当にこえー)
1週間後に今後のことについて打ち合わせとなった。
もちろん呼び出しを断る権利が僕あるはずなどなく。
その瞬間はしどろもどろになってしまっていた。
いくら、借金のことを忘れろっと言っても、こういうインパクトのある出来事は多い。
しかも、僕はケンジンさんからノウハウを教えてもらった直後。
色々な準備が整っているはずもない。
様々な思考が頭を駆け巡る。
「どうする?どうする?どうする?どうする?どうする?どうする?どうする?どうする?どうする?どうする?どうする?どうする?どうする?」
「考えろ!考えろ!考えろ!考えろ!考えろ!考えろ!考えろ!考えろ!考えろ!考えろ!考えろ!考えろ!考えろ!考えろ!考えろ!考えろ!」
あれやこれや言い訳だとか色々考えた。
けれど、最適な言い訳など見つかるはずもない。
期限は1週間。
もちろん、一括で支払う事ができれば苦労はしない。
キャッシュはほぼ0。
どうしよう...
電話を受けた日はパニック。
今後の生活の保証や、信頼を裏切ってしまった申し訳なさ、様々な思いが駆け巡る。
「稼ぐことに集中しなさい」
ふっ...とケンジンさんの言葉が頭に浮かんだ。
「あっ、今、俺、パニックだ。案が浮かぶはずない。まずは落ち着け。稼げばいいだけだ。」
吐きそうになる体をなわとびで黙らせ。
紙とペンを取り出した。
まずは、勝利条件を設定することにした、様々な案をグチャグチャに紙に書き出す。
すると不思議なことに気持ちが少しずつ落ち着いていく。
紆余曲折を経て、勝利条件を
「支払いをまってもらいながら、現在の生活を維持してもらう代わりに、未払金が将来にむけて相手のプラスになる投資としてとらえてもらう」
ことにした。
つまり、短期間で高い収益性を得られるビジネスの立ち上げを企画し、未払金をそのビジネスへの投資と考えてもらい、リターンを設定することで短期で取引先に利益をもたらすプレゼンをする。
我ながらなかなかにハードルは高い。
けれども、これが僕の頭の中に出来上がった「現実」だ。
あとは現実’を現実にすりあわせる行為が必要だ。
時間は1週間ある。
むなしく過ぎる毎日
しかし、そう簡単には、思い浮かぶ事もなく。
毎日はむなしく過ぎ、前日となってしまった。
その日は、海外へ転勤となった友人の送別会が入っていた。
全く気乗りはしなかったが、このまま家で悩んでも答えは出ないと、送別会へ参加することにした。
久しぶりの顔を並べて色々な話をしている中で、ほんの2ヶ月ほど前に企画して眠らせていたWEBサービスの存在を思い出した。
**「あっ、これだ...」
**
帰りの電車は1時間。打ち合わせは翌日の夕方から、残された時間を眠らせていたサービスの実現化と収益化のプレゼンに全力を注ぐ事にした。
現状は、サービスの完成度合いは試験用の試験用。
超えなければならない課題もまだ明確になっていない。
しかし、一応形はある。
事業計画書まで落とし込む余裕はない。
今回は可能性を感じてもらう事が重要。
しかも、相手は古い世代の職人肌の経営者。
僕はパワーポイントやキーノートによる綺麗なプレゼン資料。
エクセルを使った事業計画書の作成。
この二つを諦めて。
紙のノートに手書きで書き出した内容で勝負することにした。
その内容は我ながら
「なんで、これをあと6ヶ月前にやらなかったんだろう...」
っと後悔する内容だった。
決戦の時
僕はまず謝罪に謝罪をかさねることにした。
相手は怒り心頭だ。
一度、相手の感情を全て受け止める事にしよう。
理性で話をするのはそれからだ。
僕はまず謝罪を重ねて感情的にふるまう事にした。
怒りのボルテージがあがっている間は相手の言葉など全く受け入れる事はできない。
しかし、瞬間的に盛り上がった感情には限りがあると同時にどこかで、
「言い過ぎたな...ちょっと話を聞いてあげるか」
っというタイミングがくる。
その見極めは大事だ。
さらに、そこで、荒削りだろうと、ある程度、未来がある対案が用意されていれば、なおさら、そこに聞く耳をむけることになる。
僕はタイミングを待った。
相手の表情。態度を観察しながら。
相手の呼吸、テンションにあわせて話を聞き回答をした。
そのタイミングがきた。
用意した手書きのノートをおもむろに広げ。
ビジネスプランの説明をはじめた。
中学生にわかるように
プレゼンとは、相手の頭の中に、僕が思い描いている明るい未来を共有してもらう事が重要だ。
綺麗なプレゼン資料はその補足のためのツールでしかない。
そのためには
・専門用語は可能な限り排除
・相手の想像できる範囲で例をあげる
・権威性
を十二分に意識する事が重要になる。
そして、最後はパッションがもっとも重要になる。
最初の3項目はプレゼン前までに完了した。
パッションはすでに形になっているという時点で証明できた。
結果として
予想をしていた通り、いくつかの条件は出た。
しかし、ほぼほぼ僕の要求を飲んでもらう事ができた。
絶望的なピンチをなんとか「完全勝利」とはいかないまでも「勝利」にこぎつける事ができた。
帰りの電車は立っていられないくらいの疲労。
帰宅後すぐにベッドにもぐりこんだ事は言うまでもない。
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