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改正電子帳簿保存法[令和4年1月1日施行]国税関係帳簿【過少申告加算税の軽減措置】(1)-留意点・対象-

改正電子帳簿保存法における国税関係帳簿のうち、過少申告加算税の軽減措置の対象になる点と留意点を書いてみます。


ー 概略 ー

国税関係帳簿の備付け及び保存が、過少申告加算税の軽減措置の要件を満たしていて、修正申告書の提出又は更正、再更正があった場合、
過少申告加算税の額は、過少申告加算税の額の計算の基礎となるべき税額に100分の5の割合を乗じて計算した金額を控除した金額とする(法8条④)


となっています。
要件を見ていく前に概略の留意点から見ていきましょう。


過少申告加算税の軽減措置の留意点

課税期間を通じて要件を満たして特例国税関係帳簿の保存等を行っていなければ、規定の適用はない(通8-1)

課税期間の途中から特例国税関係帳簿について要件を満たして保存等をしていた場合
 課税期間については過少申告加算税の軽減措置の対象にならない(通8-1)

事業部、又は支店ごとに作成している特例国税関係帳簿に該当するものは、
 要件を全て満たして保存していなければ、過少申告加算税の軽減措置は受けられない(問37)

隠蔽、又は仮装されたものがある(重加算税の全額が切り捨てられた場合も)ときは、控除できない(法8条④)(通8-3)


課税期間や法人の中の一部のみ要件を満たしていても軽減措置の対象にはならない、ということですよね。


対象

電磁的記録等に記録された、法人税、地方法人税及び消費税(地方消費税を含む)は全ての税額(通8-2)

電磁的記録等に記録された、所得税(復興特別所得税を含む)は帳簿の備付け義務があり、帳簿に基づき計算される所得(帳簿に基づき計算される事業所得、不動産所得及び山林所得)に係る税額(通8-2)

所得税のうち、帳簿に基づき計算されない所得(一時所得等)所得控除(保険料控除、扶養控除等)の適用誤りは対象外(通8-2)


こちらの通達で対象になる税額が明記されていました。
確かにそうなる、と思える内容でした。

修正申告等の基因となる「特例国税関係帳簿」(規5条①)

 所得税法の帳簿(規5条①)
 法人税法施行規則の帳簿「仕訳帳」(規5条①)
 法人税法施行規則の帳簿「総勘定元帳」(規5条①)
 法人税法施行規則の帳簿「現金出納帳」「固定資産台帳」「売上台帳」「仕入台帳」「売掛金台帳」「買掛金台帳」「経費帳」「補助元帳」等(規5条①)(問36)
 消費税法に規定する帳簿(規5条①)


諸々書いてみましたが、青色申告で必要な帳簿は対象になると考えて良いのではと思われました。

会計システムのデータのみを保存するとした場合(問19)

 業務システムの集計データのみが保存され、販売等の個別取引データは保存されないため、
 保存した仕訳帳及び総勘定元帳のデータは、全ての取引を記載した帳簿とはならない


ここがポイントと感じています。
総勘定元帳に合計数値のみの記載になっていて、その根拠は請求書というケースが多いと思われます。
個別の取引データを会計システムへ入れ込んだり、販売管理システムがあり会計システムとの連動が可能な場合は連動するなど、検討をすると良いでしょう。


関連条文等

電子計算機を使用して作成する国税関係帳簿書類の保存方法等の特例に関する法律第8条4項 

電子帳簿保存法取扱通達8-1、8-2、8-3
(電子帳簿保存法取扱通達解説(趣旨説明))

電子計算機を使用して作成する国税関係帳簿書類の保存方法等の特例に関する法律施行規則第5条1

電子帳簿保存法一問一答【電子計算機を使用して作成する帳簿書類関係】問19、問36、問37

おわりに

まずは、個別の取引まで記載された対象帳簿を準備できるのか、という点がポイントになるでしょう。販売管理システムの導入が難しい場合は、会計システムの補助科目を駆使して、個別の取引まで記載する方向を考えてみると良いのではないでしょうか。

いずれにしても、個別管理ができるようになり、管理体制の確立への一歩になると捉えると、軽減措置の対象になるように整備することは会社にとって軽減措置以外でもプラスの要素が出てくる可能性があるとも感じています。

今後、ペーパーレス社会がますます広がっていくことを想定しますと、制度をしっかりと理解して、体制構築をしていくことは社会的にも良い方向と考えています。

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