コント「肝試さない」②
後輩「あのパトロールに僕が参加することで、持続的にお化けの影響を与えて肝試しを盛り上げられます!SDGsですよこれは!」
先輩「Sustainable_Development_Ghosts?」
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先輩「やっぱりお前ふざけてるだけじゃないのかー?」
後輩「ふざけてなんかないですよ!僕はただ自分に取り憑いた霊を活用しようと…」
先輩「なんで前向き?あんま笑える状況ではないよ?」
後輩「それくらいこの寺にかける熱があるってことですよ」
先輩「まぁ、それはいい心構えだけども…」
先輩「実際問題、お前が肝試しのパトロールに就いたとして、よ」
後輩「はい」
先輩「…盛り上がるのか?」
後輩「やっぱ霊が足りないかぁーっ!」
先輩「量の問題じゃねえよ」
後輩「違うんですか?」
先輩「違うわ!…いや考えてみろよお前」
先輩「肝試しなんて別にお化け屋敷じゃないんだから、霊出てきてほしい訳じゃないんだよ」
後輩「そうなんですか?」
先輩「暗くてちょっと不気味な道を歩ければそれで良いんだから…ガチの怪奇現象はいらないのよ」
後輩「いっぱい霊が出れば人気出ると思いますけど!」
先輩「お前のその量に対する信頼はどこから来てるんだよ…」
後輩「いや〜、ね?」
後輩「霊をね?戦わせたいんです」
先輩「……は?」
後輩「僕が今持ってる霊と、それに呼び寄せられた野生の霊を戦わせて、捕まえて僕に取り憑いてもらうんです!そのたくさん取り憑かれている姿をみんなに見てもらって地域活性化したいんです!」
先輩「罰当たりポケモンマスター?」
後輩「そしていずれは町のちびっこたちにも霊を分けてあげて!それで更に霊を集めて苦しむ子供たちにこういうんです!」
後輩「「みんなもお化け、ゲットだぞー!」って…」
後輩「カスのオーキド博士?」
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後輩「とにかく!肝試しの下見しておきましょうよ!危険な道とかないかの確認も兼ねて!」
先輩「行きたくはないけど…まぁお前を野放しにするよりはいいか…」
後輩「んじゃあ行きましょういきましょう!」
先輩「触んな!霊が感染る…!」
後輩「そんな!小学生の〇〇菌いじめみたいに!!」
後輩「いや〜、今のところは何もないですねぇ」
先輩「今のところは、な」
後輩「というか先輩?」
先輩「んー?」
後輩「先輩さっきお坊さんを10年やってるとか言ってましたけど、そんな長く事お寺にいるんでしたっけ?それにしては割と新入り扱いされてる気が…」
先輩「あーそれか、そうだな、このお寺は2年目だわ、通算で10年目」
後輩「別のお寺にいたんですか?」
先輩「あぁ、この深草寺にはFAで来たんだよ」
後輩「FA!?フリーエージェント!?」
先輩「だから、もともといた濁水寺には俺の年俸の半分と深草寺の坊主一人が送られたんだよ」
後輩「しっかりAランクだ…!すげぇお坊さん!」
先輩「だろう〜っ?」
後輩「いや野球詳しいじゃねえか!」
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後輩「さっき野球のこと知らないように振る舞ってたの、あれなんだったんですか!」
先輩「ホラよく言うだろ、政治宗教野球の話は迂闊にするなってさ」
後輩「政治は置いといて、お寺なんて宗教オブ宗教の場所だと思いますけど…」
後輩「…というか、他の寺から異動っていうパターンなんてあるもんなんですね」
先輩「そうよそうよ、移籍したときメッチャ叩かれたもん!」
先輩「だから交流戦のときなんてブーイングの嵐で…」
後輩「寺で言う交流戦ってなに??」
先輩「え?身元不明でどこの宗派かわからない遺体にみんなで念仏唱えるっていう…」
後輩「下手な念仏は数打っても当たらないどころか悪影響な気が…」
先輩「でもなぁーっ、こっち移籍してきてもそんなに給料上がってないんだよなぁ」
後輩「あーそんなもんなんですかね、お坊さんって」
先輩「やっぱさ、メジャー挑戦したほうがよかったのかね?」
後輩「……キリスト教のこと言ってます?」
先輩「そうそう!」
後輩「予測できちゃう自分が憎い…っ!」
先輩「木魚1打席で100万とか稼げたらなぁーっ!って思うわけよ」
後輩「めっちゃジャパニーズなアメリカンドリーム目指してるこの人…!」
先輩「まぁ現実にはそんな事出来やしないんだけどね、実は」
後輩「知ってます、幽霊ついてても常識捨てたわけじゃないんで」
先輩「さっきの言動からは常識捨ててるとしか思えんけどな…」
先輩「俺たちみたいな薄給の坊主からさ、白い球を追いかける野球選手みたいになりたいよなぁーっ」
先輩「薄給(白球)だけに、な!」
ガシャン!ブオォォォォォォッッッッ
先輩「うおぉ!?えげつない突風!」
後輩「ホラ、うちの霊ちゃんもグロいシャレ言うのやめなって…」
先輩「通じあえてる風なの、何なん?」
つづく
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