コント「教習所ハザード」①
教官「いやぁやっちゃったね…」
生徒「…」
教官「まぁさ、これくらいはよくある話よ!」
生徒「……」
教官「こんなん気にしてたらこの先疲れちゃうよ!リラックスリラックス!」
教官「君はよく頑張ってるよ!このご時世でマニュアル選んでさ!かっこいいぜ?」
生徒「………」
教官「助手席で見てて確信したよ!君、なかなか上手くなるね」
教官「私もさ、ここで教官長らくやってるから分かるんだ!」
教官「こんなトラブルなんとかなるって!君なら無事に免許取れるって!」
生徒「…………」
生徒「いや今俺人轢いちゃってるんすよ」
教官「エッッッッッッッ!?」
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
生徒「いや、えっじゃなくて」
教官「エッッッッッッッ!?ね」
生徒「…同じです、刃牙でもあんまその量の「ッ」見ないっすよ」
教官「え、なに君今人轢いたの!?」
生徒「…そこ、正面に転がってるじゃないですか、見たくはないけど…」
教官「あーあれか…てっきり縁石にでも乗り上げたのかと…」
生徒「バッチリ轢いちゃってます……お、俺やっちまった…っ!」
生徒「就職先決まって、大学生のうちに免許取りたいからって教習所通い始めて…マニュアル取って自慢しようって頑張ってたのに…!」
生徒「それなのに初めての運転でこんなことになるなんて…!」
教官「一瞬100km/hは出してたね、さっき笑」
生徒「退学…?内定取り消し…?いや、逮捕…?」
教官「…あー、しかもあれウチの教習所の所長だね」
生徒「ウワァ…」
教官「ちなみに所長はこの街有数の大地主で」
生徒「アァ…!」
教官「もうすぐお孫さんが生まれる予定で」
生徒「ハッ…ハァ…ッ!」
教官「知らない人の冠婚葬祭に裸で参加して台無しにするのが趣味の上塚(うえつか)所長だ」
生徒「ほな大丈夫かぁ」
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
生徒「…いや大丈夫ではねぇな、冷静になると」
教官「人は人だから、轢いたらダメだよ」
生徒「教官さんがそれ言うのもどうかと思いますけど、ホントにそうですね」
教官「まぁ難しいだろうけど一旦落ち着こうよ、一旦忘れて、他の話しよう」
教官「君、名前は?」
恋太「……知場です、知場 恋太(ちば れんた)っていいます」
来栖「恋太くんね。私はここの教官の来栖 烈(くるす れつ)だ、47歳!」
恋太「ウワ、二回り以上年上の人が初見で名前呼びしてくんの、キツ〜」
来栖「みんなからは烈海王と言われてるよ」
恋太「だから「ッ」多かったのかよ」
来栖「気に入ってるんだ、このあだ名!」
恋太「ちょっといじめられてませんか?それ」
来栖「エッ!?そ、それじゃあ冬に親と友達が見てる中荒川を走って渡れって言われて、結果溺れかけたのも…!?」
恋太「あぁじゃあバッチリいじめられてますね、川の中でもゴンブトの荒川ってチョイスが殺意高いし」
来栖「そうなのか…」
恋太「…」
恋太「……いや親止めろや」
来栖「まぁそんな話はともかくさ!現実見ようよ!」
恋太「現実見たくなくて自己紹介したんでしょうが!」
来栖「まぁそれじゃさ!一旦上塚所長の容態見てくるよ!意識はあ…」
恋太「待って、来栖さん!」
来栖「?」
恋太「……所長さんどこです?」
来栖「…へ?」
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
来栖「ホントだ…さっきまでそこの血溜まりに転がってたのに…」
恋太「というか来栖さん、なんかちょっと周りの様子がおかしくないですか?」
恋太「他の車とか、校舎からも人が出てきますよ」
恋太「あんなフラフラ歩いて…まるでゾンビみたっ…」
ドンドンドンドンッ!
恋太「ウワーーーーーーッ!!?」
来栖「後ろから叩かれてるね!」
恋太「アイツ、さっき学科で一緒に受けてた生徒ですよ!ゾンビになってる!?」
職員「アアァアーッ!」
バンバンバンバン!!
恋太「ヒャーーーーっ!!!!?」
恋太「く、来栖さん!横からも血だらけの死体が!」
来栖「ウチの職員だねぇ!左右から叩かれてるねぇ!!てことは!?」
ヴァァ…グォォォォ……
恋太「今度は正面から声だけ聞こえる…!」
来栖「消えた所長…バンパー下からの唸り声…後ろ、左右のゾンビたち…!」
来栖「これはもう火を見るより明らかでしょう!」
上塚「ッヴェアァア゛アアアッ!!!」
恋太「ギャァァァーーーーーーーーーっ!!!」
来栖「あれ?所長ってブルベだったんだ」
恋太「いや肌腐って青白いだけだろ」
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
上塚「シャアアアアアアーーーッ!!!」
バンバンバンバン!!
恋太「し、所長もゾンビになってますよ、ヒィッ!く、来栖さぁん!!」
来栖「いやぁ所長、変わり果てて…」
来栖「もう二度と趣味の全裸冠婚葬祭、できないねえ…」
恋太「それ社会全体で見たら得だろ」
恋太「…じゃなくて!」
恋太「何が起きてんすか!こんなゾンビが押し寄せてくるなんて意味分かんないっすよ!」
来栖「……まさか…」
恋太「え?」
来栖「噛まれるのは勿論、空気感染ですら人から人に移り、感染者を生ける屍と変貌させる悪魔のウイルス…!」
恋太「そ、それってまさか…っ!」
来栖「そう、AT-ウイルスだ』」
恋太「『T-ウイルス』じゃねえのかよ」
つづく
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