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コント「教習所ハザード」②

来栖「噛まれるのは勿論、空気感染ですら人から人に移り、感染者を生ける屍と変貌させる悪魔のウイルス…!」

恋太「そ、それってまさか…っ!」

来栖「そう、AT-ウイルスだ』」


恋太「『T-ウイルス』じゃねえのかよ」

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恋太「なんて?AT-ウイルス?」

来栖「略さずに言うなら、オートマティック・トランスミッション限定ウイルス…!」

来栖「オートマ限定の人間から人間に即座に感染する恐ろしいウイルスだと聞く…!」

恋太「悪趣味なウイルス!」

来栖「なにか所長を救い出す方法はないのか…!?」

恋太「てか所長オートマ限定かよ!?」

来栖「今すぐにでも助けに行きたいが…俺が行ってもすぐあいつらの仲間になるのがオチだ」

恋太「お前もオートマかよ!!?」

恋太「教官も所長もマニュアル乗れないとかどうなってんすか!?」

来栖「いやだってぶっちゃけ乗らんじゃん、マニュアルって…」

恋太「俺マニュアル志望なのにオートマ限定のやつから教わってたのかよ」

恋太「…ってことは来栖さんがこのマニュアル車運転して脱出するってことは…」

来栖「無理だね!」

恋太「クソがよ!」

来栖「僕と君、どっちが運転しようと教習所の門まで辿り着けずに車がぶっ壊れて大炎上!」

来栖「ゾンビになる前に即お陀仏が関の山だねえ!」

恋太「クソがよぉ!!!!」

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バンバンバンバン!

ゾンビ「ウォォォアアァアウウゥゥゥッ!!!」

恋太「ぞ、ゾンビたちがまた暴れてます!」

来栖「4方向からのDangerousがMAX…これが噂の4DXか」

恋太「お前マジで黙ってろ!」

恋太「でも、このままじゃいずれドアを破られておしまいですよ、どうしたら…!」

来栖「そうだ!前に少し聞いたことがある!思い出したぞ!」

恋太「なんかこの状況を打開する機能とかあるんすか?」



来栖「この車、確か滅茶苦茶バックすると滅茶苦茶進むハズだ!」

恋太「この車チョロQのシステム搭載してるの?」

来栖「だってホラ見てみなよここ」

恋太「ウワTOYOTAじゃなくてTOMICAになってる!ダサいのかダサくないのかわからん!」

来栖「だからホラ!限界までバックしまくって解放すればっ……!」

恋太「ちょっとちょっと来栖さん勝手にペダル踏まないで!!!」

ギュギュギュギュ!!!

来栖「3!2!1!」

恋太「待って心の準備がっ!!」

来栖「GO!シューーートッ!!!!」

恋太「ベイブレードじゃねえかっっ!!!」


ドッガァァァァァァッ!!!!!


恋太「う、うう…」

来栖「…よし!周りのゾンビを蹴散らせたぞ恋太くん!」

恋太「マニュアルってみんなチョロQなの?俺が知らないだけ?」

来栖「横と後ろのゾンビは剥がせたし、前のゾンビはペシャンコだねぇ!」

恋太「前のゾンビ…」

来栖「前のゾンビ……」





上塚「…………(ピクピク)」

二人「「ッ所長ッッッ!!!」」
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恋太「1度ならず2度までも…ホントすんません所長…」

来栖「また100km/hは行ってたね笑」

恋太「ガキの頃見たチョロQのすばしっこさって本当だったんだな…」

来栖「あーあー上塚所長…顔が血だらけでグチャグチャして、なんかチャンジャみたいに…」

恋太「すっげー嫌な例えだけど…チャンジャ以外の何物でもないグチャグチャ顔ですねあれは」

来栖「立派なチャンジャ顔だよね」

恋太「そんな塩顔しょうゆ顔みたいに…事実床に落としたチャンジャみてぇな顔だけども」

来栖「と、とりあえず周りのゾンビは片付いたことだし、少しは脱出方法を考える時間を稼げるかな」

恋太「それもそうなんですけど、来栖さん…」

来栖「うん?」

恋太「俺たちこれからどうなるんでしょう…」

来栖「そりゃあ生き残って、ゾンビになった奴らの分まで生きなきゃ!」

恋太「いや、そういうことじゃなくて…」



恋太「車で轢いた人がその後ゾンビになって、また車で轢いたら何罪に当たるんですかね…?」

来栖「質問来てた!?」

恋太「殺人…?いや車で轢いて死んだわけでもないし…」

来栖「私は本物の弁護士じゃないから何分かかっても要約出来ないな…」

恋太「ワンチャンやってたりしないですか、副業でクルス法律事務所とか…」

来栖「私が法に明るい人間に見えるかい?」

恋太「いや全く」

来栖「辛辣ゥーッ!」

恋太「ゾンビになってから轢いたのは殺したとは言えないし…」

恋太「なんならゾンビを楽にしてあげるために轢いたとも解釈できるのか…?」

来栖「なんか、法学と倫理学の境界でタップダンスしてるね、恋太くん…」

恋太「一体どうすれば…」

来栖「私は詳しいことはわからない!…けど」

恋太「けど?」



来栖「少なくとも、人が怪我した顔を落としたチャンジャみたいだって言うのは、しっかり名誉毀損なんじゃないかな、私たち」

恋太「………」

恋太「確かに!」



つづく


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