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【関心領域】 ザワザワする映画でした。

映画「関心領域」は役所広司が主演した「パーフェクトデイズ」と2024年のアカデミー国際長編映画賞を競った上音響賞と併せ2部門を受賞した作品です。

この映画は第二次大戦中にナチス・ドイツがユダヤ人を大量に虐殺したアウシュビッツ収容所が舞台となっています。
アウシュビッツと言っても収容所の中のシーンとかは一つも無くて、収容所から壁一つを隔てた屋敷に住む収容所長とその家族が描かれていきます。

家族の毎日は本当に平和で大きなプール付きの屋敷に住む家族は幸せな生活を送っているように見えます。とは言え映画が進むとともにその幸せそうな毎日が異常なものであることも見えてきます。例えば所長の奥さんに届いた毛皮のコートがユダヤ人から没収したものであったり収容所から聞こえる音や声、煙突からの煙であったり。
そんな毎日が淡々と描かれる映画です。

実は先程あげた「パーフェクトデイズ」と「関心領域」は似ています。
主人公の生活を淡々と描き、しかしその淡々とした生活がちょっとやそっとでは得られるようなものではない事、そして一見世間から切り離された生活が、実は社会と密接に関わっていることがわかる。
という意味でよく似た映画です。

しかし前者は過去に主人公が過去に経験したのであろう、何か大変なことを乗り越えて現在の生活にたどり着いたんだろうと理解します。そして映画を観ている人も主人公の生活が愛おしくなり、映画を見終わってからも何かしら心に温かい物を感じました。
しかし、後者はこの幸せな生活のすぐ近くで行われてる事の違和感を感じ続け、特にラストシーンでこの違和感が現在の我々の生活にも繋がっていると知らされてしまい胸のザワザワが止まらなくなってしまいます。

最後になりますがこの映画、あまり心配事とか抱えている人は観ないほうが良いと思います。
私、その日一日中、ザワザワしてました。