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大学生になって初めて行ったキャンプで好きな人ができたり留学生と出会ったり

みなさんこんばんは。

前回は大学での新生活を迎えるお友達にこんな記事を書きました。


ってことで今回は私が大学に入学して直後に参加した

「友達作りキャンプ」の話を書きたいと思います。

上記のような記事を書いといてしっかり友達を作りに行ってた私を憐れみながら(生類か!)

読んで頂ければ幸いです。



そのチラシが入っていたのは実家に届いた大学からの「入学に関する案内」と書かれた封筒の中。

「社会学部新歓キャンプ」と書かれたチラシには40名前後の男女が笑顔でロッジのような場所の前に並んで撮っている集合写真と開催予定日時。

「THIS IS 大学」と呼ぶに相応しいイベント。

「これ楽しいかなぁ」と母親に聞いたところ

「あんた、そんなの絶対楽しめないタイプでしょ」という返答でハッと我に返る。

そうだ・・・高校ですらクラス会にほぼ出席できなかった俺が

こんな人見知り排除イベントを楽しめるわけない・・・

その時はそんな感じでこのキャンプへの参加を断念したことを記憶している。


時は流れて4月。

私は関学の寮へ入寮。

そこでできた同じ学部の友達が「新歓キャンプへ行きたい」と言い出したことであっさりと私のキャンプ参加が決まった。

キャンプは1泊2日で千刈という関学御用達のキャンプ場で行われる。

参加者は関学キャンパス内で集合しバスに乗り込む。

ザっと見ても40人前後はいるようだ。

私は寮の友達とその友達の3人組でバスの前後の席に乗り込んだ。

通路を挟んで左斜め前にはふくよかなメガネをかけた男の子。首がカクカクしていることから惰眠を貪っていることが伺える。

通路を挟んで真左には女の子が一人で座っていた。


佐野は人見知りだが、同じく人見知りで孤独を感じていそうな人間をほっておけない習性がある。

それが女性だったら尚更だ。

「楽しい??」

私は不躾に女の子に話しかけた。

「え?」

戸惑ってはいるが少しだけ微笑んでいる女の子の表情を見て勝ちを確信した。

「とりあえず君の名前当てるわ!」

佐野の鉄板である「女の子の名前を当てるゲーム」を開始。

私の友達もノリを理解して私のボケを全て拾う。

狂ったように笑う女性を見て悦に浸った私はもう既にキャンプに参加したことに満足していた。

ありがとうツカサ(寮の友達)・・・

女の子は・・・そうだな。仮にエリちゃんとしましょう。

私は行きのバスでエリちゃんと付き合う覚悟ができた。

私の発する言葉の一つ一つにとにかく笑うエリちゃんを見て

「運命の人だ・・・」と感じない男はいないはず。

これがあるから新歓はやめられない・・・

関学から千刈まではだいたい60分。

あと15分ほどで到着するというアナウンスが流れたあたりだった。

それまで沈黙を貫いていた左斜め前に座っていた男性がこちらに振り返ってきた。

学部の先輩のアナウンスを目覚まし代わりに利用する図太さを持ち合わせているこの男性は自らを「ナイト」と名乗った。

「楽しそうに話をしていますね」

ナイトは私たちに話しかけてきた。

ナイトもエリちゃん同様1人での参加のようだ。

「僕、中国から来ました。ナイトです。」

ナイトは中国からの交換留学生らしい。見た目はヒーローズに出てくるマシ・オカに酷似している。


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年齢も年上だった。

「ナイトってのは本名?」

思わず聞いてしまった。

「いや、ナイトってのは自分でつけたんだよ」

「あだ名ってこと?」

中国の文化には明るくないのだが基本的に名前は自分ではなく他人につけられるものだと認識していた。

しかしナイトは「自分でつけた」と言い切るので

あだ名かな?という疑問は私以外の友達もエリも抱いたはずだ。

「漢字で書くと騎士だよ」

騎士(ナイト)らしい。

あだ名か本名かは結局分からないままで取り急ぎ私たちは彼を「ナイト」と呼ぶことで落ち着いた。

年上の中国人留学生の乱入によりエリちゃんとの交流が中断されたことに若干の悔しさを感じながら、バスは千刈キャンプ場に到着。

中央にご飯が食べられる施設があり

その左右に複数のロッジが存在する。

左側が男性専用

右側が女性専用のロッジらしい。

それぞれ割り振られたロッジに荷物を置き再び中央の施設に集まり食事を摂る。

明日は7時に朝食、夜は基本22時消灯、お風呂はこの順番で入るように・・・

などなど学部の先輩が注意事項をアナウンスしてその日は終了。

私たちの班はそのままお風呂に入ることになった。

「なんかええ声してるな」

私が風呂場で身体を洗っていると隣で洗っていた男性が話しかけてきた。

名前をユージと名乗る彼は瘦せ型で少し小麦色に日焼けしているボブくらいの髪の長さの関西人。

私が友達と会話しているのをずっと聞いていたようだった。

「ありがとう」

取り敢えず声を褒めてくれたことに関してお礼を述べる。

「歌うたうの好き?」

ユージは関学が誇るグリークラブの部員らしい。

「カンの声、絶対グリークラブに合うと思うねん」

お互いに身体を洗い終えて湯船に浸かる。

ユージは湯船にフィールドを移してからもグリークラブへの勧誘の手を止めることはなかった。

すると「俺も歌好き!」と割り込んでくる男が一人。

彼は自分の名をユッキーと名乗る。

なんかほんとに物語の最初感がすごかった。

次々に色んな人間が自分の名前を名乗りながら話題に入り込んでくる。

ユッキーは自分の歌声に相当な自信があるようで湯船に浸かりながら歌を歌い始めた。

「果てしない~闇の向こうに♪」

ミスチルのTomorrow never knows の大サビを歌い上げた。

先ほどまで言葉という言葉が湯気にも負けない勢いで充満していた浴場に静寂が訪れる。

Tomorrow never knowsが国歌独唱に聞こえたのはこの時が最初で最後。

ドキュメンタルみたいな空気だ。

歌い上げたユッキーは左右に視線を移している。

ほぼ初対面の人間の前で大声で歌い上げた後だ。目が泳いで然るべきである。

「うまいね」

自分でも傷口に塩を塗る行為だと重々承知していながら、これ以外の正解が思い浮かばすに口にしてしまった。

 

でもいきなり大声で歌いだすユッキーもかなりの犯罪者である。

いわば自業自得ってやつだ。

しかし・・・初対面とはいえこのままユッキーが衰弱して行く様を黙ってみてられるほど佐野の良心は腐ってはいなかった。


「は~~~てしないっ!!や~~~みの向こうに!!!」

私はユッキーの歌声の倍のデシベルの大きさで歌った。

すると即座に反応を示す男が一人。

ユージだ。

「ほら!!やっぱり上手い!!!お前やっぱりグリークラブ入れよ!!」

ユッキーとユージが初対面とは思えない合わせ技を繰り出してきたことで私へのグリークラブ勧誘はより強固なものへと進化した。


風呂から出ると男女のキャッキャ声が聞こえてきた。

声がする方へ視線を移すとそこでは男女入り乱れての卓球大会が行われていた。

「これは・・・」

私は言葉を失っていた。

ここまで完璧な大学生キャンプがこの世に存在していることへのショックが大きかったのだ。

あくまでドラマや漫画、カラオケの際に流れる映像の中の話だと思っていた。

湯船に浸かった後に女の子と卓球・・・

最高じゃないの・・・

しかし参加するにはあまりにも勇気がいる雰囲気だった。

私の高校で言うところのサッカー部と女子ハンドボール部の戯れ。

存在が認識されているか怪しかった男子バレーボール部出身の私がお邪魔できるかどうかなんて考えるのも恐ろしかった。


しかし、ここでまっしぐらに卓球台に向かう男がいた。

ユージとユッキーだ。

その2人が私を卓球台に誘い、なんとかこの陽キャ卓球集団に溶け込むことができた。

私、佐野は卓球が下手である。

呆れかえるほどの下手である。

祖父が卓球部の顧問をされていたのに、親父の趣味は卓球なのに、

ドラゴンボールで言うところの悟天なのに(最年少スーパーサイヤ人)

故にプレイヤーにはならず

他人のプレーにガヤを入れるというポジションを勝ち取り

アイデンティティを見出す。

ここでそんなに上手くない女の子を笑いによって救うことで感謝されるかもなどという下心がなかったと言えばウソになる。

でも。。。そーゆーもんじゃない?

すると

「オレモヤリタイ」

ナイトだ。

中国と言えば卓球のメッカ。

ナイトの登場によって卓球台のボルテージは最高潮に。

ナイトが卓球のルールをびた一文知らなかった衝撃はあったものの

大盛況の中、消灯時間がやってきてそれぞれがロッジに帰っていった。


大学生がロッジに帰って大人しく寝るわけがない。

やれどの子が可愛かった談議に入り修学旅行の夜みたいな雰囲気に。

そこで「あ、その子、俺附属から一緒だからLINE知ってんで」

こーゆーファインプレイヤーがいるから関学は辞められない。

関学は附属高校が充実している&社会学部は附属生から人気があるためこのような事案がよく起こる。

附属男子が附属女子(附女子)に連絡を取ったところ

「女子部屋においでよ」

という奇跡のような連絡が来た。

猛る男子諸君。

全員で押しかけたいところだったが

10人前後で押しかけるのもちょっと圧があるのではないかとか

小さな脳味噌をフル活用して

選抜5人で乗り込むことに決定した。

イケメンのユージ、一芸のユッキーは即決。

浴場や卓球大会にて存在感を見せつけていた佐野も無事に選出。

なんだかんだ「俺は寝るわ~」とか空かして辞退する輩も続出。

結果的にメンバーは

ユージ、ユージの友達、ユッキー、佐野。そしてナイトだった。

ナイトはいの一番に手を挙げて女子部屋に行きたいと言っていた。

ナイトは「騎士」だけでなく「夜」にもかかっていることにここで気づいた。


女子部屋までの道中は、それはそれはドキドキしたものだった。

そう。なぜなら女子部屋にはエリちゃんがいるのだ。

出会って初日にエリちゃんの寝間着姿まで拝んでしまうなんて罪悪感すら感じた。

高校生まではなかった感覚だ。

ってか待てよ?!?!?!

なんか変なことになるんじゃないのか?!?!?

高校生までは部屋に行って好きな子の顔を拝むだけで満たされていた。

でも!!!でもだ!!!!

もう大学生だぞ?!

なんか見たことあるぞ・・・・

こんなノリでキャンプの夜に女子部屋に行って・・・

先生が見回りに来て

慌てて好きな子と一緒に布団に隠れて・・・

おかしなことになる映像をDVDで見たことあるぞ?!?!?!


まさか・・・あんな展開なるんじゃないのか?!

エリちゃんと?!

まずいよ!!!

一応まだ高校の時、好きだった子と連絡とってるぞ?!

帰省したら遊ぶ約束とかしてるぞ?!

でもいいのか?!?

エリとそんなことした後にその子と何食わぬ顔でその子と連絡を取り続けても・・・

エリと情事がある前に、この高校の子には「ごめん女できた」と連絡すべきだよな・・・けじめつけてから・・・だよな・・・

エリにも失礼だし・・・


こんなことが脳内を蹂躙している間に女子部屋に到着。

脳内は散らかったままだった。

女子部屋に入るとそこには6人ほどの女子がこちらを一斉に見つめてきた。

きっと女性陣も誰が来るのか予想していたのだろう。

ユージとユージの友達がイケメンなのでそこらへんに不満はなさそう。

最後にナイトが入室した際に少しだけ「先生?!」ってなった雰囲気こそあったものの自己紹介の際に年上の交換留学生と説明したことで女性陣の疑問が解けた音がした。

そして女性陣の自己紹介が終わった瞬間に佐野に新たな疑問が生まれた。

エリたんがいないのだ!!!!!

ちょっと待て!!なぜだ!!エリをどこにやった!!!

大声で問いただしたくなる気持ちを抑え込んで

タイミングを見計らって聞いてみた。

「あれ、布団の数多くない?」

我ながらナイスだ。

ここでストレートに「エリちゃんは?」と聞こうもんなら「は?エリ目当てなの?」とここにいる女性に反感を買う。

なにもここに女性を脈なしにする必要はない。

佐野が持ち得る視野を全開に広げて見つけた下心がバレないエリの探し方だった。

「あー、なんかみんな仲良くなった人同士でロッジの班を入れ替えたのよ」

とか抜かす。

あん?!?

ってことは・・・エリはここにはいない?!?

しくじった!!!

もしかしたらエリは今、ほかの男子グループとよろしくやっているかもしれない!!

そんな不安が脳内に生まれた途端に私は黙りこくってしまった。

俺のフィアンセを・・・

まあでもここで態度が変わりすぎるのもよくない。

とりあえずこの場を盛り上げて

「佐野が面白い」という評判を充満させることでエリの耳にも届いてなんらかのいい効果を生み出す可能性も捨てきれない。

というかこの場にいる女性も正直タイプだ。

ハッスルしないにはあまりにも勿体ないメンバーではある。

鉄板の下りで男女問わずに盛り上げ倒している間に夜は深くなり

眠くなってくる女性もちらほら。

そろそろお開きかという雰囲気が出始めた時に

「えー、今日寝たくないんだけど」

と言い出す女性が一人。

ジュナと名付けよう。

ジュナは雰囲気木下優樹菜感がある

本当に「チョリース」とか言い出しちゃいそうな雰囲気がある女性だ。

このジュナの発言がトリガーとなり一気に合コンムードに。

好きなタイプや恋愛遍歴などなどみんなが洗いざらい話すムードになった。

「ごめん・・・エリ・・・」

エリに対しての罪悪感がなかったといえばウソになる。

でも・・・・

合コンムードも少し落ち着いてきたころ、一人、二人と女性が寝始めた。

すると男女比が歪んでくる。

男は5人いるのに対して

女性は3人になったのだ。


そう。

つまり男がここで2人リストラにならないと次のステージはないのだ。

女性3人は「絶対に寝ない宣言」をしている。これもなかなかないアプローチ。

「それじゃ肝試しとか行く?」

ジュナだった。

どこまでもやばいやつ。

もう既に手に負えない感がすごい。

絶対高校生の時に社会人と付き合ってたタイプ。

仕掛けてこない大学一年生坊主に煮えを切らして積極的になっているのだ。


でもこの提案には含みがある。

「察して誰か2人帰れよ」

というメッセージがあるのだ。

というかイケメンであるユージとユージの友達はその限りではない。

つまりユッキー、佐野、ナイトの誰か1人だけ残っていいよ。

というメッセージである。

この3人の戦闘力を見比べてみるとなかなか伯仲しているようにも見える。

ユッキーは誰よりもなにかありたい!!という気持ちがある。このモチベーションがある人間は残るべきだ。

佐野はまあご察しの通り笑いを生み出す可能性を秘めている。

ナイトは年上だ。

ユージはグリークラブに熱烈に勧誘していたこともあり私に熱視線を送っている。

ユージはどことなくユッキーとナイトに帰れという雰囲気を出している。

でもユッキーもナイトもどこ吹く風といった感じで女性を見つめている。

「ユッキー眠そうだね」とか言っても

「は?どこが?」みたいな半ギレ回答しか返ってこないし

「ナイト眠そうだね」とか言っても

「キモダメシ」みたいな名詞しか返ってこない。

泥試合の様相を呈してきたところで

「んじゃ俺寝るわ」

と折れた男がいた。


佐野だ。

諦めの速さで言ったら静岡随一の佐野の本領が発揮された場面であった。


そして佐野の降伏宣言に追随するものがいた。

ユージだった。

「カンが帰るなら俺も帰るわ」

ってことでユージの友達、ユッキー、ナイトというモブどもで肝試しに行くことに決定。

「あいつら空気読めよな!」

男子部屋に戻ってもユージの怒りはなかなか収まらない様子ではあったが

そんなユージを励ますこともできないくらいに疲弊していた佐野はすぐに床についた。


そんな感じで私の大学生活初めてのキャンプ初夜は終わりました。

次の日にはエリは高校から付き合ってる彼氏がいることが分かったし

キャンプが終わってからナイトが私に話しかけてくることなはく

キャンプで知り合った明るいやつとずっと一緒にいました。

年上の中国人留学生に切られました。



なんか書いてはみたけど。

なんだろう。この体験。

意味のないことなんてないと思ってます。人生の経験に置いて。

でもこのキャンプ。

意味なさそう。

ユージもこのキャンプ以降一切喋ってないし。

このキャンプを複数人で乗り切るための関係。

変なキャンプ。

ありがとうございました。



みなさんからのサポートで自分磨いて幸せ掴むぞ♪