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グランドピアノの割れた鍵盤貼り換え

こんにちは!
実家のグランドピアノ『カワイ KG-2C』の白鍵がもう20年近くも割れたままになっているので貼り換えることにしました。
折角なのでどのように貼り換えるのかをのせたいと思います。

なお鍵盤(白鍵)を貼り換える時は全鍵換えるのが普通なのですが、おっかさんより「割れてるとこだけでいいよ!」とお達しがあったのでそのようにしています。

割れている鍵盤の画像
今回貼りかえる鍵盤。横に線が入っているところが割れている

作業手順

  1. 接着剤を用意する

  2. ピアノを分解し鍵盤を取り外す

  3. 割れている鍵盤をはがす

  4. 新しい鍵盤を接着する

  5. 研磨作業

  6. 仕上げ

1. 接着剤を用意する

まずは鍵盤を貼るための接着剤を用意します。常に力がかかる部分ですので絶対に剥がれないようにします。

「アロンアルフア!!!」・・・を本当は使いたいところなんですが実は市販の接着剤は使えないんです…
理由としては今回のように修理の際には剝がさなくてはならないので「接着力」だけではなく「剥がしやすさ」も必要になるためです。

ってことで専門店から専用の接着剤を購入してもいいのですが貧乏性がヒョイと現れたので今回は自分でつくることにします。


作り方は簡単でアセトンに鍵盤を溶かすだけです。


まずはいらなくなった鍵盤を用意します。

はがした鍵盤の画像
修理の際にはがした鍵盤を再利用
砕いた鍵盤の画像
粉々にしてダメな薬みたいにします。
アセトンに砕いた鍵盤を入れた画像
アセトンを入れた容器の中に…

そのまま一日たつと完成です。よく混ぜて使います。

鍵盤用接着剤の画像
鍵盤が溶けてドロドロに!


2. ピアノを分解し鍵盤を取り外す

鍵盤を外していきます。
グランドピアノは鍵盤が内部のアクションごと引っぱり出せる構造になっています。

まずは鍵盤蓋を外します。

鍵盤蓋を外したピアノの画像
鍵盤の奥まで見えるようになりました


拍子木と呼ばれる鍵盤横の黒いパーツと手前の黒い棒も外します。

拍子木も外したピアノの画像

鍵盤とアクションが出せるようになったので引っ張り出します。

鍵盤を外したピアノの画像
からっぽに
鍵盤の画像
アクションを取外し鍵盤だけに

今回は割れている鍵盤だけ拝借

3. 鍵盤をはがす

割れた鍵盤を蒸気を使ってはがしていきます。
やり方は鍵盤の上に濡れたタオルなどを置いてじゅーっとアイロンを当てていきます。
鍵盤がはがれにくい場合は薬品を使う場合もあります。

白鍵をはがす鍵盤の画像
白鍵をはがした画像
蒸気を当てすぎると木が膨張してしまうので素早く

4. 新しい鍵盤を接着する

鍵盤をはがし終えたら次は接着作業です!

まずは新しい鍵盤を用意します。

新しい鍵盤の画像
ピカピカ
パキッと割ってバリを少し取ります

バリは接着剤がはみ出したときにそれを止めてくれることもあるので気持ち残しています。

傷や接着剤がつくのを防ぐためにマスキングします。

テープでぺたり


さて、ついに接着です。アセトンは揮発性が高く、換気しないで作業してよく気持ち悪くなってました(³3³)
今は自作した塗装ブースを使っています。

接着した鍵盤の画像

接着したら器具などで圧着し乾かします。

5. 研磨作業

接着剤が完全に乾いたらはみ出した白鍵部分を削っていきます。
ピアノの鍵盤は同じ種類の音でも木の大きさが微妙に全て違うためそれに合わせて手作業で削っていきます。

白鍵のほうが大きいため木の幅に合わせて削る

6. 仕上げ

今回は貼り換えていない鍵盤もあるため、もともとの鍵盤と貼り換えた鍵盤に違いが出ないように最後の仕上げをしていきます。

完成!!!

ピアノの鍵盤の画像

できました~

余談になりますが年々高温多湿になっていてその気候にピアノが耐えられずにYAMAHAのグランドピアノ(C3モデル)の白鍵がはがれまくりリコールになったことがありました。
ピアノをお持ちの方はできるだけ湿度を一定に保つことをオススメします

最後までご覧いただきありがとうございました!

ピアノの調律、修理を考えている方はぜひご依頼ください
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ではまた!


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